[漫才] 豪華客船ウエストランド号(当て書き:ウエストランド)
#オチを予想してお楽しみください (4文字)
河本太:僕そろそろ船乗りになろうと思ってるんですよ
井口浩之:何で「そろそろ」なんだよ。お前今まで船乗りになる努力なんてこれっぽっちもしてないだろ。何かしてきたのかよ
河:毎日自転車に乗ってますよ
井:それは足漕ぎボート乗りになる練習だろ。白鳥の形した。観光地の湖によくあるやつ。なぜか子どもが乗りたがる。でも最後まであきらめずにペダルを漕ぎ続ける子どもはほとんどいないあれだろ
河:あれだって立派な船だろ
井:所詮ボートだよ。ボートっていうのは通常,河川・湖沼・沿岸で使用される小型船舶だからな
河:詳しいね。お前こそそろそろ足漕ぎボート乗りになった方がいいんじゃないの?
井:だからなんで「そろそろ」なんだよ。足漕ぎボート乗りなんて目指してないよ。っていうか何で足漕ぎボート乗りなんだよ。船について詳しいんだから船乗りでいいだろ。「船乗りになった方がいいよ」って言えよ
河:そういうことなら…一緒に船乗りになろうぜ!
井:そういうことじゃないよ。それはまた別の話だよ。船乗りなんてなりたくないんだよ。漫才師として生きていきたいんだよ
河:だったら船の上で漫才すればいいだろ
井:余興だろそれ
河:超豪華客船で漫才するんだったら余興じゃないだろ
井:営業だろそれなら。超豪華客船の営業なら相当な額のギャラが発生するだろ。それならむしろお前よりも僕の方がやりたいよ
河:そういうことなら一緒に船乗りになろうぜ!
井:そういうことじゃないんだよ。だいたい「船乗り」って言わないんだよ,そういうのは
河:船に乗ってるじゃないですか
井:船に乗ったことある人が「船乗り」なら日本全国総船乗りだろ。それに僕たちが船に乗ってるのは漫才してる時だけだろ
河:漫才してる時だけなの?
井:そうだよ。営業なんだから
河:あ~漫才をやる時だけヘリで駆けつけて,1時間ほど漫才やって,またヘリで帰っていくっていうあれね
井:それじゃないよ。そんな多忙な芸能人じゃないだろお前は。僕もだけど。それに1時間もネタをやる時間をもらえるわけないだろ。たとえもらえたとしても1時間も漫才やったらヘトヘトになるだろ
河:1時間くらいなら大丈夫でしょ
井:それはお前だけだろ。お前はほとんどしゃべんないからだよ
河:それはお前がおしゃべりだからだろ
井:おしゃべりじゃないよ。ツッコミだよ。お前のボケが弱いから変なテンションでつっこんでるんだろうが
河:そうやってすぐ怒るからヘトヘトになるんだよ
井:怒ってるんじゃないんだよ。これもまたツッコミなんだよ。変なテンションだから怒ってるように見えることもあるけど
河:怒ってるわけじゃないのね
井:怒ってるわけじゃないよ。たまに本気で怒ってるパターンもあるけど
河:本気で怒ってることもあるの?
井:あるよ。あるけどいいんだよそこそんなに掘り下げなくて。「船乗りになりたい」っていう話はどうなったんだよ。なりたくないのかよ
河:なりたいよ!僕はどうしても船乗りになりたい!お前に反対されてもなりたい!
井:何だよ急に。そのあふれ出す熱意は。初めて見たよお前の情熱。お前にもあったのかよ熱い思いが。で,何で船乗りになりたいんだよ
河:船乗りになって,幾多の荒波を乗り越えて,ひとまわりもふたまわりも大きな人間になりたいんだよ
井:なんだよそれ。それなら僕も行くよ
河:なんでだよ
井:僕だって大きくなりたいからだよ
河:切実な顔で言うなよ
井:切実なんだよ
河:どんなに大きな荒波を乗り越えたって,背は大きくならないんだぞ
井:分かってるよ!分かってるけど…「大きくなれる」って言われたらとりあえず乗らないわけにはいかないんだよ,その船に
河:そういうことなら…一緒に船乗りになろうぜ!
井:おう!やっとお前のその呼びかけに快く返事できたよ。三度目で。三度目の正直とはまさにこのことだよ。良かったよ
河:じゃあ僕ちょっと船買ってくるから
井:お前そんなコンビニに「ちょっとアイス買ってくる」みたいなテンションで船なんて買えるのかよ
河:小さい船なら買えるだろ
井:どれくらいの船だよ
河:これくらい
井:小さすぎるだろ。手のひらサイズか!そんな船あるのかよ。あったとしても乗れないだろ
河:お前なら乗れるだろ
井:乗れるか!そんな小さい船。バカにしすぎだよ。これは本気で怒ってるパターンだからな
河:まぁそんなに怒るなって
井:バカにされたら怒るわ!もっと大きい船買ってこい!小さい船なんて絶対ダメだからな
河:なんでだよ
井:小さい◯じゃ◯◯(◯)がおさまらない
あらゆるオチを誰よりも先に小噺化するプロジェクト『令和醒睡笑』過去の創作小噺を何回も何回も回すと"古典小噺"になる・・・はず・・・【小噺はフリー台本】