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[漫才] トノサマガエルの不祥事(当て書き:銀シャリ)

#オチの直前まで無料

#オチを予想してお楽しみください (10文字)

鰻和弘:人それぞれ好きな食べ物ってあるやんか

橋本直:ありますね〜

鰻:何が好き?

橋:僕はたらこですね。僕は「たらこの話」でご飯3杯はいけます

鰻:たらこでご飯3杯いけるんやなくて,「たらこの話」でご飯3杯もいけんの?

橋:もちろん,たらこでもご飯3杯…いや…4杯はいけるから,「たらこの話」をしながらたらこ食べたら,合計でご飯7杯はいけますね

鰻:食べすぎや。お米食べすぎ。腹パンパンなるやろ

橋:それくらい「たらこが好きや」ということや

鰻:「たらこの話」すんのも好きなん?

橋:好きですね〜たらこについてやったら間違いなく1時間は語れますね〜

鰻:それやったらこれから語る?たらこについて

橋:ええの?めちゃくちゃ長なるよ。たらこについて語り始めたら

鰻:「たらことは何か」というところから語るからやろ?

橋:「たらことは何か」てなんやねん。何語ればええの?

鰻:「たらことは,たらこ唇によく似た食べ物のことで…」みたいなことから始めてやな…

橋:逆やろ

鰻:何が?

橋:「たらこ」あっての「たらこ唇」やから

鰻:「『たらこ』あっての『たらこ唇』」てどういうことや

橋:だから分かるやろ。「たらこ」が「たらこ唇」に似てるんやなくて,「たらこ」に似ている唇のことを「たらこ唇」と名付けたんやがな

鰻:誰が?

橋:それは知らんけどもやな

鰻:誰が名付けたのかも知らんくせに,よくもまぁそんな偉そうなこと言えるなぁ。「たらこ唇」に似ている食べ物を,「たらこ」と呼ぶようになった可能性もあるやろ

橋:あるわけないやろ。それはお前,「この鶏肉鳥肌立ってるな〜」言うてるようなもんやで

鰻:その例えはよう分からんけど,鶏肉ってだいたい鳥肌立ってますよねぇ。あれって,冷蔵庫にずっと入れられて冷えてもうたんやろな。冷蔵庫ん中寒そうやもん

橋:お前アホなん?

鰻:人前で「アホ」って言うな

橋:鶏肉のあのぶつぶつは,寒くて鳥肌立ってるんやなくて,鳥の羽をむしった跡や。寒いときなどに生じる人間の肌のぶつぶつが,その鳥の肌のぶつぶつによう似てるから,それを「鳥肌」と呼ぶようになったんやないか

鰻:誰が?

橋:そのいちいち「誰が?」て聞くのやめてくれる?そこまでは知らんねん

鰻:ほんなら,「冷蔵庫の中の鶏肉は,あんなに鳥肌立つほど冷えきってしまってかわいそうやな〜」って思う必要ないの?

橋:あたりまえや。今までそんなこと思ってたん?

鰻:いつも心配なんや俺は。鶏肉のことが

橋:お前は何を心配してんねん。なんなんですか,その親心にも似た鶏肉に対する愛情は。親鳥かお前は。とにかく,「鳥」あっての「鳥肌」。「たらこ」あっての「たらこ唇」やから

鰻:それはあれか。「殿様」あっての「トノサマガエル」と同じことやな?

橋:え?何を言うてんの?

鰻:だから…,「殿様」が「トノサマガエル」に似てるんやなくて,「トノサマガエル」が「殿様」に似てるっていうのと同じ考え方ってことやろ?

橋:「同じ考え方」の前に,トノサマガエルって「殿様」に似てます?

鰻:似てるはずや。わざわざ「トノサマガエル」って名乗ってるわけやから

橋:どの辺が?

鰻:「どの辺」て…,まぁ〜あの〜,「殿様」いうたら,責任の取り方とかやろ

橋:責任の取り方!? なんやねん「責任の取り方」て。トノサマガエルの話やで?

鰻:殿様の責任の取り方といえばあの〜…,切腹や

橋:何?切腹?

鰻:潔く腹を切って責任を取る。それが殿様のあるべき姿や

橋:殿様の場合はそうかもしれんけどもやなぁ,トノサマガエルの話やから。トノサマガエルの場合は「責任取る」とかないやろ。あいつらカエルやから。責任取るような重要な任務任されてないやろ

鰻:トノサマガエルだって時には責任取らんといけない場面もあるやろ

橋:あります?そんな場面。トノサマガエルが「責任」て

鰻:時にはあるやろ

橋:「時には」ってどういう時や

鰻:分からんけど,例えばあの〜…,不祥事とかや

橋:不祥事!? トノサマガエルの不祥事!? どんな不祥事やそれ。「トノサマガエルの不祥事」て

鰻:それは僕の口からは言われへんやろ。トノサマガエルの秘密漏らしたら僕が切腹や

橋:お前いつからトノサマガエルにお仕えしてんねん

鰻:日本で一番偉いお方やろ?お殿様なんやから

橋:あのな,トノサマガエルはそんなに偉くないです

鰻:「トノサマ」って呼ばれてんのに?

橋:「呼ばれてる」とか関係ないねん。それ言うたら,「殿さまキングス」なんて相当偉いお方ってことになりますからね

鰻:あ〜殿様兼王様ってことね。トノサマガエルよりもさらに高い地位についておられるお方がおるんやな。「上には上がいる」とはこのことや

橋:お前,「殿さまキングス」知らんやろ?

鰻:殿様と王様の二足のわらじを履いておられるお方のことやろ?

橋:違うわ。「殿様兼王様」て,そんな兼業パターンあるか。「殿さまキングス」というのは,1970年から80年代に大活躍した男性コーラスグループや

鰻:殿様兼王様兼歌手ってこと!? そいつすごない?

橋:「そいつ」って言うな。殿さまキングスは「殿様兼王様兼歌手」ちゃうわ。っていうかもうええねん殿さまキングスの話は。僕はただ「たらこがとってもうまい」という話をしたいだけやねん。それなのにお前がアホなことばっかり言うから,たらこ唇とか,鶏肉とか,鳥肌とか,殿様とか,トノサマガエルとか,しまいには殿さまキングスの話までさせられて…

鰻:そやったそやった。話が横道に逸れてもうたけど…

橋:逸れすぎや。横道入ってどこまで行くねん。もうすぐ平成も終わろうというこのご時世に,昭和に入って,大正と明治通りすぎて江戸まで辿り着いたやろお前は。次は安土桃山か。それとも室町か。まさか鎌倉まで行く気やないやろな

鰻:何を言うてんねん。分かったから。たらこの話がしたいんやろ?

橋:僕はたらこの話がしたい。僕は「たらこの話」でご飯3杯はいけるから,「たらこの話」をしながらたらこ食べたらご飯7杯は…

鰻:分かった。それさっき聞いた。思う存分したらええがな。たらこの話を

橋:僕がこれから「たらこがとっても美味い」という話をするから,お前余計なこと言うなよ

鰻:分かった

橋:え〜では,少々お時間をいただきまして,たらこの話をさせていただきます

鰻:よっ!待ってました

橋:ご飯のお共というと,「たらこよりも辛子明太子のほうが好き」という方が多いみたいですけどね,僕がどうして「辛子明太子よりもたらこのほうが好きなのか」というと…

鰻:僕は辛子明太子のほうが好きやな

橋:もちろん僕も辛子明太子も好きなんですけどね,それ以上になぜたらこが好きなのかというと…

鰻:たらこって辛子明太子によく似てますよね

橋:あの〜僕が話をする番やから。ちなみにみなさん知ってると思いますけどね,たらこに唐辛子とかで味付けしたのが辛子明太子ですから。似てるのはあたりまえです

鰻:たらこが辛子明太子に似てるんやなくて,辛子明太子がたらこに似てんの?

橋:まっ…似てるというか…,「たらこ」あっての「辛子明太子」や

鰻:「たらこ」あっての「辛子明太子」?

橋:「たらこ」あっての「辛子明太子」や

鰻:話が違うやないか

橋:何が?

鰻:お前さっき,「『たらこ』あっての『たらこ唇』」言うてたやん

橋:言いましたよ

鰻:でも今は,「『たらこ』あっての『辛子明太子』」って言うたやろ

橋:言うたよ

鰻:話が違うやんか

橋:いや…あの〜,それは両立するからや

鰻:「両立」てどういうことや

橋:だから,「『たらこ』あっての『たらこ唇』」と,「『たらこ』あっての『辛子明太子』」という話は両立すんねん

鰻:「両立」て,そんな上手い話あるか

橋:「たらこ」と「明太子」の話やで。美味い話に決まってるやろ

鰻:そっちの「美味い」ちゃうわ。「両立」てほんなら,「たらこ唇」と「辛子明太子」はどういう関係やねん

橋:どういう関係?「たらこ唇」と「辛子明太子」?

鰻:そうや

橋:君は何を聞いてんねん

鰻:「両立する」言うんやったらな,「たらこ唇」と「辛子明太子」にも何らかの関係があるっちゅうことやろ?

橋:「『たらこ唇』と『辛子明太子』の関係」て言われてもやなぁ…,そんなん「たらこつながり」っていうだけの話やろ

鰻:「たらこ唇」と「辛子明太子」は,「たらこ」でつながってんの?

橋:「『たらこ』でつながってんの?」て聞かれるとなんかあれやけど,まぁまぁ「たらこつながり」であることは間違いないわ

鰻:なるほどね。「たらこ唇」と「辛子明太子」は,「たらこ」でつながってるんやな?

橋:いやなんかその「『たらこ』でつながってる」っていう言い方がちょっとニュアンスおかしいけどもやな…

鰻:あれやろ?冷えきった夫婦関係をつなぎとめている子どものように,「たらこ唇」と「辛子明太子」の冷えきった関係をつなぎとめているのが,「たらこ」ってことやろ?

橋:え?何言うてんの?

鰻:だから,「たらこ唇」と「辛子明太子」の関係や

橋:いやあの〜…,「たらこ唇」と「辛子明太子」は,言うほど関係はないよ

鰻:関係がない!つまり今は冷えきった関係だと

橋:「冷えきった関係」とか言うてないやろ

鰻:「たらこ唇」と「辛子明太子」の関係が冷えきってる原因知ってるか?

橋:「『たらこ唇』と『辛子明太子』の関係冷えきってる」てどういう状態や

鰻:おそらく,ずっと冷蔵庫の中に入っていたからやろな

橋:お前はアホか。辛子明太子は冷蔵庫に入れるけど,たらこ唇を冷蔵庫に入れるやつおらんやろ

鰻: そりゃそやな。ということは,「たらこ唇が冷めてしまった原因はまた別のところにある」と,お前はそう言いたいわけやな

橋:いやいやいや。そんなことが言いたいわけやないねん。僕はただ,「たらこがとっても美味い」という話がしたいだけや

鰻:やっと分かった

橋:何が?

鰻:冷蔵庫の中で何が起きてるのかがや

橋:はぁ?お前はさっきから何言うてんねん。冷蔵庫の中で何が起きてんねん

鰻:たらこ唇との冷えきった夫婦関係に悩んでいる妻・辛子明太子の隣りにや,冷蔵庫の冷気で冷えきった鶏肉が鳥肌を立ててぶるぶると震えてたんや

橋:「たらこ唇」と「辛子明太子」が夫婦ってそれなんの話や。妻の「辛子明太子」はまだ最後に「子」がついてるから許せるけど,夫の名前「たらこ唇」て

鰻:「かわいそうな鶏肉。わたしの唐辛子の成分カプサイシンで体を温めてあげるわ」

橋:何それ。妻の「辛子明太子」のセリフ?

鰻:とかなんとか言っている間に二人は恋仲に…

橋:なんやねんこの冷蔵庫の中の不倫話。しかも「辛子明太子」と恋仲になった相手「鶏肉」て

鰻:一方そのころ,やはり冷えきった夫婦関係に悩んでいた夫・たらこ唇は,偶然街で見かけた美しくも物憂げな女性トノサマガエルに一目惚れ

橋:トノサマガエルの設定まさかの女性!?

鰻:しかし,たらこ唇には辛子明太子という妻と,たらこというかわいい子どもが…

橋:「たらこ」言うたら「たらちゃん」やん。たらちゃんのお父さんが「たらこ唇」で,お母さんが「辛子明太子」なの?

鰻:そしてトノサマガエルには,殿さまキングスのボーカル宮路オサムという夫が…

橋:トノサマガエルの夫が,まさかの殿さまキングスの宮路オサムさん!?

鰻:たらこ唇トノサマガエル。出会うべきでなかったこの二人。いけないと分かっていても,一度火がついた恋心。そう簡単に消すことなどできやしねぇ。「別れよう」「別れられないわ」「やっぱり別れましょう」「別れられるはずがないだろ」。悩みに悩み抜いたあげく,たらこ唇は妻と子どもを捨て…

橋:妻の「辛子明太子」と子どもの「たらちゃん」を捨てて…

鰻:トノサマガエルは夫と殿様という立場を捨て…

橋:殿さまキングスの宮路さんを捨てて…

鰻:二人は見知らぬ土地へと駆け落ちする決意を固めたのでございます!

橋:よっ!これがかの有名な…,◯◯◯◯◯◯◯の◯◯◯

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あらゆるオチを誰よりも先に小噺化するプロジェクト『令和醒睡笑』過去の創作小噺を何回も何回も回すと"古典小噺"になる・・・はず・・・【小噺はフリー台本】