モーツァルト レクイエム

歌をうたいあげるような鎮魂歌である。この曲はとても祝祭的でポリフォニー(多声)でできている。音の粒が一つ一つなめらかでいかにもモーツァルトらしいではなかろうか。このレクイエムは未完であるが、モーツァルトが秘密裏で門外不出教会音楽「ミゼレーレ」を書き留めてしまったという事件があったというと納得のいく出来栄えである。映画『アマデウス』でもあやしげな使者の注文によってこの曲を書くことになるのであるが、ベートーヴェンの『ミサ・ソレムニス』と違い、構成をがっちりして書きあげたというそぶりが痕跡として残ってないことが実に驚くべきことである。アリアの美しさとダイナミックさもうかがい知ることができる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?