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音楽のコラム

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2021年7月の記事一覧

禁じられたロシア語聖歌

図書館で『禁じられたロシア語聖歌』を借りてきた。

①「主の祈り」からはじまる。以下はロシア語で「主の祈り」を書いたものである。

Отче наш, сущий на небесах!
да святится имя Твое;
да приидет Царствие Твое;
да будет воля Твоя и на земле, как на небе;
хлеб наш насущ

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ビリー・アイリッシュ

それは稲妻に打たれた時のような衝撃だった。ドンドンと重低音が響き渡る中でささやきのように歌うビリー・アイリッシュの歌はまるでテクストに対峙する哲学者のように慎重な態度で優しく繊細である。
つらく、痛々しいまでに繊細でたまらない。ビートルズに影響を受けているという印象がぼくの中で拭えなかった。
表現者の権化のような出立ちとは考えられない激しさと伝達不可避な音楽で魅了された。コンテンポラリーダンスを見

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アラム語聖歌の魅力

 僕は図書館でアラム語の聖歌が吹き込まれているCDを借りた。聴いてみると、とても心地よい。教会でよく唱えられる「主の祈り」がアラム語で歌われている。グレゴリアンチャントも魅力的だが、個人的な音楽体験としてはアラム語聖歌に軍配が上がる。

 アラム語とはイエス・キリストがしゃべっていた言語である。「タリタ、クム」「少女よ、わたしはあなたに言う、起きなさい」(マルコの福音書第5章41節)や「エリ、エリ

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チャイコフスキーの交響曲第5番

これを聴くとぼくは元気になれる。パワークラシックだ。
メランコリックでメロディアスな曲調が印象に強く残る。
同じ主題が変奏曲のようにうつり変わって展開していく。
 日本の演歌に似たものを感じ取ることができる。激しさ
の中に繊細さが潜んでいる。

芥川也寸志 交響曲第1番

 これを聴いたとき衝撃がぼくの中で走ったデモーニッシュな音楽で力強い。チャイコフスキーを連想させるモティーフでメランコリックである。映画音楽に近いのかもしれない。音楽が語っているのであhる。それもかなり雄弁に。しかし、繊細さを欠いているわけではない。緻密な構成でかなり神経質なつくりとなっている。

 基本情報としてこの交響曲は1954年に芥川が團伊玖磨、黛敏郎とともに組織する作曲グループ「3人の会

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