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第9話 都内と郊外(藤沢)の最大の違いとは。ネオンってこんなに大事だったのか!

20年ほど前にパリに1年ほど住んでいた。ほんとうに。15区のConventionって駅のすぐ近く。まだバーガーキングもパリになくて、ハンバーガー屋さんはマクドナルドかQuickに行ってたっけ。
その頃に出会ったインドネシア人のデビット(仮)はとにかく日本が大好きだった。日本人の友達も多く、留守電は英語、フランス語、マンダリン(中国語)、大阪弁で対応していた。
そんな彼になぜ日本が好きなのか尋ねると「ネオンが好きやねん」と言った。日本だったらどこに住みたい?と聞いたら「なかめ(中目黒)」と答えた。

帰国後、歌舞伎町付近でティッシュ配りをしているデビットに偶然出会った。どこに住んでいるのか聞いたら「新大久保」と答えた。おいおい、中目黒じゃないのかいと思ったが、彼いわく「なかめは家を借りられないねん」とのこと。彼は大金持ちの息子なのでお金が理由ではなさそうだ。彼は日本のミュージシャンだとB'zが大好きだった。なんとなくB'zとネオンは近いものがある気がする。

デビットいわく、日本の魅力であるネオンのなかで歌舞伎町のネオンは格別らしい。個人的にはタイのヤワラート(中華街)のネオンが好きだが、外国人からみたら歌舞伎町のネオンは異世界に思えるのだろう。

私はこれまで都会にしか住んだことがなかった。いわゆる住宅街と呼べる場所に住んだことがない。私が住んだ場所で一番のイナカはパリだと思う(めちゃくちゃイキっているように聞こえるが、それがデフォルトだし、何度も言うが金持ちではない。都会に住んでいただけ)。そんな私にとって藤沢は未知の世界だった。ゼルダに例えるならタイマツを持っていないリンクが入った洞窟みたい。街灯が都内と比べて明らかに暗い。かといって、都内のネオンからは1円も貰えない。道を照らすという役割において藤沢の街灯も歌舞伎町のネオンも同じなのではないか…。つまりネオンとは概念だと気づいた。ロックやギャルと同じ、Attitudeなんだと思った。ネオンで道がギラギラするだけでテンションがあがる。そのことに気づいて以降、真っ暗闇の中での帰宅の際には心にネオンを灯しながら帰っている。

おまる

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