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月刊カメラマンの想い出。

皆さん、衝撃の発表から少し時間が経ちました。なんとなんと!42年続いたモーターマガジン社刊「月刊カメラマン」が休刊してしまいました。
これはもう、ショックでショックで・・・。
初めて手にしたのはおそらく高校生の頃だったと思う。写真部の部室でパラパラとめくる。おお、こういう撮り方かぁ。こういう写真もありかぁ。なんて思ったのを今でも思い出せます。そして実はその後アタシはカメラ雑誌を見なくなりました。写真を撮るにあたり少し邪魔になったのを覚えています。ああ、マネしてみようとかこういうのやりたいとか。いつしか苦しくなって居たのでしょう。18歳からずっと見ずにすごして来ました。その後弟子入りからの独立。情報誌やファッション誌等で仕事をさせていただきつつ、写真雑誌は一切ご縁が無かったのです。その頃には「興味が他にあった」というのが正直な所でした。

大きな転機がやってきたのが2007年某俳優の写真展を原宿で開催したときであった。大学の大先輩でもあり写真誌で沢山の記事を書かれている有名写真家さんが来廊くださった時。びっくりしてお話させてもらった。「藤里くんは大倉先生のお弟子さんなのに、写真誌は一切やってないんだねー、興味は無いの?というかやって欲しいんだよな」と。大御所からのこの提案は本当にびっくりした。もちろん「機会があればお願いしたいです」と返答するしかなかった。その後数年、作りもしない機会が来るわけでもなく、何年も過ごしてしまった。そして大御所との再会の機会があった際に、雑誌紹介してください!とお願いし、藤里くんは月刊カメラマンがいいんじゃないかなぁ、とご推薦をいただいたのでした。編集部へ初めて行った感想は「え、おっさんばっかじゃん、編集部」とびっくり。40代半ばの写真家、一般誌だと編集さんはみんな年下で、若い彼らからすると使いにくい世代の写真家に突入していたので、このおっさんばかりの空間にどこか安心感というか「よし、むちゃくちゃ言って頼ってしまおう」って思ったのだ。初めてお目にかかった色が沢山詰まった服と金髪の編集長「坂本」さんに、今までの作品などを見ていただいた際「おお、大倉さんのお弟子さんなんだねー、いいねー」って言ってくれたのを良いことに「僕はカメラマン誌の表紙をやりたいんですよ」と暴言を吐いてみたんです。しかし、さすがの編集長「お、いいじゃんいいじゃん!、でもすぐって訳にはいかないぜー」と、ニヤっとされたのが超楽しく、超やる気が出たのだった。その後、人気連載「カメラマン最前線」に出させてもらった。これはやっぱり嬉しい出来事。今まで広告ばかりをやっていたので、写真業界では全く名がしられておらずの自分をこれを機にどんどん起用してくれる様になってきた。中でも記憶に残っているのはポートレートバトル。大御所何名かと同じスタジオ、モデル、持ち時間1時間で勝負するという人気企画。これで人気一位になれば表紙やらせてください!この時も坂本編集長に話したもんだった。もう聞き飽きたという坂本さんは「はいはい、そうだねーうんうん」みたいな反応でしたよねー。そしてついに運命の時はやってくるのであった。

突然の電話。通知は「ゲッカメ坂本編集長」だ。「イチローちゃん、ウチの顔を頼みたいんだ。表紙の担当をお願いしたい」と。来た!ついに来た!!もちろん、二つ返事で「やります!」と答えるが、ニヤリとすると共に写真誌の表紙の重圧たるもの、なかなかの大きさだった。業界でも「え?誰?こいつ」ってなる先輩方も沢山いらっしゃるでしょう。表紙を狙っている写真家がいったい何人居るんだろうと思うとちょっとうずうずしてくる。武者震いに近い。よし!表紙担当になるんだからこれは誰もやってない事をやって楽しんじゃえ。と思い坂本編集長に相談しつつこんなビジュアルまで作った。

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こんな事、まぁ、最初で最後でしたねー。悪のりさせてくれた編集部、付き合ってくれたアートディレクター三村漢、本当にありがとう。そしてこのまま1年間の表紙担当と相成りました。1年と決めていた訳ではないんです。ただ、これ以上やってもなぁ、という思いと、その1年で爪痕を残したいと思った次第。12名の女優さんを撮らせてもらいました。良い経験。その中でも最も印象に残った「佐久間由衣」さんの写真は富士フイルムのウェブでご紹介いただいているくらいです。

とにもかくにも、写真家人生の中でこの1年間は忘れられない1年になったこと、40周年記念年に担当できた事、本当に大切な出来事です。

見てくれていた皆さんへ爪痕として記憶に残っていれば大成功です。


ご協力いただいた皆様に感謝するとともに、休刊から復刊へ向け、なにか出来る事はないかと企んでおります。

写真人なら1度は手に取った事があるだろう「月刊カメラマン」は、
また帰ってくると信じて。

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