「絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか」を読みました
「絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか」という本を読みました。
著者はノーベル経済学賞受賞のバナジーとデュフロ、2020年に話題となった本なのですが今読んでも面白い、いや今だからこそ2020年時点の社会の重大問題が、その後どうなったか現在と比較ができるので益々興味深い。
ここで「社会の重大問題」と言っているのは、移民、貧困、貿易、(経済の)成長、不平等、環境に関することで、研究者たちの実験結果や統計情報を元に、必ずしも通説や常識が正しいとは限らないということを警告しています。
難しい問題を扱っていますが、やさしい言葉とわかりやすい説明で、私の場合、ほぼ一気読みとなりました。
移民や貧困の問題から、子供の教育や、大人になってからの再教育(が、なぜ難しいか)ということも取り上げています。
つまり、親が子に「いい子にしてね」と指図するよりも「あなたはほんとにいい子ね」と思いやりを持って言うほうが心理学的によくて、
それでも、失敗し挫折した子には一個の人間として扱い、上から見下ろすことはせず「敬意を払い」、「否定しないで真剣に聞く」ところから再出発となるのだと、
それが、移民や貧困から、社会の重大問題を解決させるほんの小さな一歩で、こういう取り組みから「見捨てられた集団や窮乏した世帯を生産的な労働へ導く」ことへ繋げてゆくべきだというのです。
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この本には「AI」についての記述もあります。
テクノロジーが職を奪い、不平等が拡大することは、実は過去から何度も経験済みのことで、
例えば、19世紀に機械化で職を失った労働者たちが起こした行動として、機械を壊して回ったラッダイト運動があり、少し前に起きたハリウッド俳優のストライキなどは起きて当然ともいえる出来事のようです。
そして、過去のSF作品と同様に、機械との共存で仕事を奪われた主人公の次のような思いが、私にとって身近に感じられます。
読んでいただき、ありがとうございます。
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