わたしの心 三十五話 特別回
■恐れ 人は皆、探究心に満ち溢れている。自分自身の未来を知りたいと思う。しかし、実際は、未来を正確に知ることは出来ない。それは、今知るべきではないことだからではないだろうか。この先、自分自身に降りかかる難の全てを、今の時点で知ってしまった時に、それに耐えるだけの精神力がないため、精神的に潰れてしまうだろう。未来を知ることは難しいが、遠く離れた、霊場とつながる方法があった。
四国霊場八十八箇所と繋がる場所。そこは、まさにパワースポットだ。
お寺の本堂入口左側に、巨木がそびえ立っていた。この巨木には、神秘的な雰囲気があった。毎日、このお寺の本堂から聞こえてくるお経を何十年も何百年も聞いてきた、この巨木に触れると、とてもあたたかいものに包まれるような安心感を感じた。ここにあるものには、とてつもなく大きな力で満ち溢れている。私が抱いていた恐れは、いつしか薄くなり、霧が日の出と共に消えていくかのように消えていた。この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？