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■ダンサー人生[第十九話]

あなたは、自分の中の「本当の姿」を知っていますか?そして、その本当の自分に変身する鍵を手に入れましたか?誰も知らない、本当の自分に会いたいですか?yesであれば、この話(ストーリー)をヒントに、本当の自分に会う鍵を見つけてください。■■■

 よさこい演出担当の人たちと、よく夢を語った。「いつか、壮大な演出したい。」「がらっとイメチェンしたい。」「斬新なことしたい。」しかし、私自身、未だ具体的な案があるわけではなかった。みんなの夢を聞いて、少し気持ちが焦った。私達の場合、よさこいの演舞は毎年構成を変え、曲や衣装、振付全てが変わる。毎年、踊り子のみならず、見る人にとっても、とても新鮮な印象を与えてくれるのである。私は、憧れの北海道のチーム演舞を見ながら、閃いた。

「よし、今年はこれでいこう!」私が、閃いた構成は、斬新すぎたため、他チームでのそれは見られなかった。私のチームでは、数日前まで、構成の案出しが停滞しており、この構成案は、皆からすぐさま歓迎された。しかし斬新だった為、どのように実現できるのかを、想像出来る人はいなかった。すぐさま振付のNさんと数名が集まり、その斬新な構成の実現に向けての話し合いが行われた。私達のような役割を担当している人は、深夜の打ち合わせが連続することも珍しくなかった。話し合うこと数日目、ようやく具体的な方法が見出された。この構成は、発案の私が、命名し、「分身の術」と、名付けた。実は、構成の名前をつけることにあまり意味はないが、楽しんでやっていた結果のことである。チーム全体集合の際に皆の前で、この構成内容を発表した。皆、この発表を待っていた。そして、この日、チーム皆を集めた目的は他にもあった。この構成を実際の人を使って、動いてみて観客目線でどのように、見えるのか、などをチェックしながら、構成内容を作り込んでいくのである。実際に人をイメージ通りに並べていく。まるで、碁盤のうえで将棋の駒を並べているように。そして、次のフオーメーションに移り、並んでもらう。それを数回繰り返して、フオーメーションの変化を正面から見てみる。私の中でのイメージは、目にも止まらぬ速さで、しかも幾何学的な動きであった。なかなか思うように伝えられない。そして、何度かやっていくうちに、雰囲気が出てきた。踊り子の皆も、「完成したら、これはすごいぞ!」と言わんとしている、そんな顔をしていた。 一つの演舞を創り上げるパワーは、踊り子皆の力なしでは到底実現出来ない。だが、それは、生みの苦しみではなく、「生みの喜び」だった。

◆本当の自分に会うポイント◆      ① 仲間みんなと、生みの喜びを味わうことで、自分自身の中の「愛」が芽生える。

② 仲間を愛すること。そして、創り上げた作品を世に披露した時、「掛け声」そして、「笑顔」は、仲間との友情の証である。だから、見る人を魅了するのだろう。

第二十話に続く

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