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■必死に生きる【第六話】

■喘息持ちの方、もしくは喘息を患っているお子さんのご両親の方へお伝えしたいメッセージ

 小学校4年にして、人生の厳しさ、命の有り難さを実感する事になろうとは、想像すらしなかった。なんとなくであるが、以前から自分自身はごく普通の人生を歩むような気がしていたため、退院後、これからは良いことばかり起こるに違いないと、思うようになった。そして、「自分は、こんなに大変な病気から無事に生還できた。これは、とんでもなくすごいことなんだ。」と自分で勝手に盛り上がったりもしていた。「生還者」という響きが自分自身に勇気を与えた。この病気をきっかけに、精神的に成長し、少し早く大人になった気がしていた。また、この時の経験のおかげで、自分の人生を考える機会も増え、自分自身が生かされた意味、奇跡的に右足が残った意味なども今だによく考える。私は、この身体を大切にしなくてはいけない。私には、この身体を使って成し遂げる大事な目的があるに違いない。私の人生の目的は、そこにあるんだ!と、天から与えられた目的を探すように、大人になっていった。私は喘息持ちであるが、大病に負けない強さを持っていることが証明された。私はそのように思い込むことにしている。

 その5年後、私は高校生になった。しかも、親もとから離れて生活することになった。自宅から100キロ以上離れた高校への進学を敢えて選択した。無理をすれば自宅から通学することもできるが、敢えて、親もとを離れる決意をした。私は、精神的に強くなり自立性、自主性が芽生え、孤独に立ち向かう勇気が出てきた。思い返せば、幼少期の私は喘息の発作から怯えるように生き、孤独感に押しつぶされながら生活していた。しかし、私は大きく成長した。この頃、喘息の発作は、年に数回程度にまで軽くなった。私が、思うに、結局のところ、どのような種類の病気であっても、成長するチャンスは全員に対して、平等に与えられる。

 ■人は成長する            生活環境が変われば、その環境下で生きるために必要な術を必ず見つけることができる。

 ■親もとを離れる勇気が第一歩     喘息持ちであっても、いつかは、自立しなければいけない時が来る。勇気を持ってその一歩を踏み出そう。それが自分自身に対する覚悟であり、成長の第一歩となる。 第七話に続く

 

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