呼称をどうするかという問題

教員をするにあたって、学生に対する「名前の呼び方」について、少し悩みました。

かつての学校現場では、男子は「くんづけ」で、女子は「さんづけ」が一般的だったように思うのですが、いま、息子が通っている小学校では、男子も「さんづけ」で呼ぶ先生が多いのです。

たしかに、こちらが「相手の見た目」で「男子」だと判断しても、実はそのひとが自分を「女子」だと認識している可能性があったり、そもそも呼称を性別で分ける必要があるのかという疑問が浮かんだりします。

そこで、私も学生に対しては、苗字に「さんづけ」で統一することにしたのでした。

でも、実は、男子に対しては呼び慣れていないので、まだ違和感があり、つい「××くん」と呼びそうになります。
それから、性別に関係なく、下の名前がそのひとのイメージにぴったりだと、そちらで呼びたくなったり……。教員と学生という立場上、学生によって呼び方を変えることは不公平感にもつながりかねないので、統一しようと思っているのですが、人間関係においては、下の名前やあだ名で呼ぶことで親しみを表現することもあり、距離感が難しいところです。

ちなみに、学生を性別に関係なく苗字に「くんづけ」で呼ぶというパターンも考えました。しかし、国会議員みたいな「わざとらしさ」が否めず……。
女子を「くんづけ」で呼ぶ年配男性には「文化人っぽい」という印象もあるのですが、理由を考えてみるに、たぶん、子供のときに『美味しんぼ』で刷り込まれたのではないかという気がします。

小説の登場人物を描くときも、相手に対する呼称ひとつで、キャラクターや関係性をうまく表現できたりするので、文章を書く人間というのは、こういうところにこだわりがちです。

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