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「小説創作演習」の授業について


私が大阪芸術大学(以下、芸大)の文芸学科で担当しているのは「小説創作演習」と「児童文学論」になります。

今日はそのうち「小説創作演習」を紹介したいと思います。
芸大の文芸学科では、数名の教員が「小説創作演習」を教えており、それぞれの専門性を活かした授業をしているので、学生はシラバスなどを参考に選ぶことができます。

私の「小説創作演習」は、授業計画であるシラバスにおいて、以下のようなことを目標に掲げています。

 童話やショートショートなどの短い作品を完成させることで、物語の構造を理解すると同時に「原稿を最後まで書く感覚」を身につける。
 また、作品を改稿することで、ブラッシュアップの重要性を学ぶ。

通年の授業の流れとしては、以下のような感じです。

第1回目。
まずは私が自己紹介をしたあと、学生たちにも自己紹介をしてもらいます。

第2回目。
『しあわせなハリネズミ』を読み込み、自分の考えたキャラクターを発表してもらいます。
原作には、ハリネズミ、もぐら、うさぎ、りす、くまなどが出てくるのですが、そこに「新しい登場人物」を加えることで、それぞれの物語を作り出してもらうのです。

第3回目以降。
作品が書けたひとから提出してもらいます。
原稿はパソコンからUNIPAというシステムを使って、提出および配布します。提出された作品をあらかじめ読んでおき、授業で合評していきます。

合評は、作品について「よかったところ」「気になったところ」を発表していくかたちです。

このエッセイは中高校生くらいの子も読むかもしれないので、いちおう、説明しておきますと、芸大の授業は夏休みをはさんで「前期」と「後期」のふたつに分かれています。

前期は『しあわせなハリネズミ』の世界観を使って、自分ならではのキャラクターを考え、作品を書いてもらいます。

後期は自由課題となり、オリジナル作品を提出してもらいます。
児童文学や童話だけでなく、恋愛小説やホラーを書くひともいます。

提出された原稿は、私のほうで「気になったところ」や合評のときに指摘された部分に黄色くラインを引いて、学生に返します。
学生は返された原稿を「書き直して」再提出します。

この「気になったところ」を修正して、より良い原稿に仕上げていく作業を「ブラッシュアップ」といいます。

・原稿を最後まで書きあげる経験
・原稿をブラッシュアップする経験

これらが創作のスキルをアップさせる上では、非常に重要だと思うので、このような授業を行っているのです。

ちなみに、『しあわせなハリネズミ』(講談社)は、こんな本です。
https://www.amazon.co.jp/dp/4065168791

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