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『鞆の浦をめぐる旅』密着レポート!(ともに、鞆の浦プロジェクト)

2021年12月3日、『ともに、鞆の浦プロジェクト』にて開催された、「鞆の浦をめぐる旅」に密着してもらいました!以前ともに鞆の浦の映像制作をしてもらったはっしーに、旅の様子をレポートにまとめてもらいましたので、鞆の浦のまちの様子とともにご覧ください。

▽動画で旅の様子を知る

「ともに鞆の浦プロジェクト」とは?
福山市出身の藤本(ふじもん)とともに、「鞆の浦」の人や関係性をめぐり、つながり、まちとの関わりをつくる企画です。(今年は「中と外との関係づくり」をテーマに、鞆の浦オンラインイベント、鞆の浦ポップアップショップ、鞆の浦ツアーなどを開催)

色とりどりのメンバーと、風の気持ちいい港まち福山駅に集合して、自己紹介から旅がスタートします。

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関西や愛知など色とりどりの参加者が福山駅前に集合

今回の旅のメンバーは、様々な背景で参加されていました。

鞆のゲストを招いたオンラインイベント鞆の浦トークがきっかけで、まちに興味を持ち愛知県から参加された方。尼崎で福祉の事業をされており、鞆の浦の福祉の現場やまちづくりに興味を持って参加された方。保命酒や鯛味噌など鞆の浦の素材を使った1日店舗鞆の浦酒場を開催した京都のお茶屋さんなど。

企画を主催するふじもんの「鞆の浦、いいところだよ」という声から、人や事業、穏やかなまちの風景など各々の切り口で興味を持ち、この日集うことになりました!

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(ともに、鞆の浦。オススメMAP)まちの全体の説明とオススメの場所をこれからめぐる。

福山駅から30分ほどバスに乗り、鞆の浦に到着します。海の向こうに見える島々を眺めながら海沿いを散歩したり、小洒落た路地裏を散歩したり。

『崖の上のポニョ』や『流星ワゴン』など、様々な作品のロケ地となった穏やかな港町を、五感で味わいます。

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江戸時代から続く入江保命酒

最初に訪れたのは、保命酒のお店、入江保命酒さん。
江戸時代からつくり続けられている保命酒を試飲させていただきながら、蔵の歴史や製造の裏側、美味しい保命酒の飲み方などについてお話いただきました。

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入江社長と意見交換しながら保命酒活用のアイディアが広がる

社長やスタッフの方にお時間をいただき、直接お話を伺えることで、いつもなら「お酒はあまり飲まない」と通り過ぎてしまう人でも、興味が出て飲んでみたり、人に紹介したいとお土産を買うきっかけになっていて、生産者の声を聞ける機会は貴重ですね。

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地元の食事を味わえるおてび。おばんざいもオススメ。

ランチは瀬戸内のお魚を使ったおてびさんにて。地元でとれた新鮮な魚のお刺身や瀬戸内ならではの小魚の煮物などをいただきました。

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NIPPONIA鞆港町は1日鞆の住民になる宿がコンセプト

次に訪れたのは、NIPPONIA鞆港町の鳥井さん。昔ながらの文化や風景を残した宿泊施設の運営をされています。この鞆の浦に辿りついた経緯や、どのような想いで宿を運営されているのか、お話していただきました。

この仕事を始める前は、鞆の浦にゆかりがなかったという鳥井さん。参加者の方には地域の方との関係づくりに関心がある方が多く、「地元の方からどのように受け入れられ、巻き込んでいったか」といった質問が多くありました。

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鞆の浦の景色を見ながら泊まれる宿

港町という土地柄、歴史的にオープンでお節介焼きなのが鞆の人の特徴のようですが、地道にまちの集まりに足を運んで関係を築かれたという話に、みなさん関心を寄せていました。

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何も考えずぼーっとできる間

お話の後は、フロントから少し離れた宿泊棟を見せていただきました。
こちらの棟まで15分ほど山道を歩くのですが、なんと宿泊者は地元のおじちゃんにガイドをしてもらえるそう。鞆の人のあたたかさを伝える一つの仕掛けのようです。

窓からの景色は絶景で、内装もとても贅沢。部屋を見てまわる度に「うわ〜めっちゃ良い」という声が漏れるのも納得です。実際に宿の周辺も歩くことで、まちの良さをより感じることが出来ました。

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目の前の瀬戸内の海や渡船を見ながらの海の見えるカフェ

少し歩き疲れた夕刻。渡船場上にあるカフェSHION-潮音-で、柔らかい表情の店主さんに迎えられながら、瀬戸内の飲み物と絶景の景色を眺めながら、参加者同士で交流しました。

「母校が一緒です」という話から学生の頃の思い出を語りあうなど、店主さんがお客さんと交じって歓談できる距離感もあって、とても居心地が良い時間でした。この景色を眺めながら気軽にお茶ができる場所があるってとても良いですね。

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やさしいお宿をコンセプトに福祉施設が運営する古民家を活用した集いの場とお宿

夜は、宿泊させていただく燧冶(ひうちや)に移動し、地元の産品を使ったお弁当を食べつつの懇親会を開催。懇親会には、NIPPONIA鳥井さんの奥さんや、燧冶が運営する介護施設、さくらホームのスタッフの方も駆けつけてくれました。

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中の人外の人が混ざりながらの交流会

仕事のこと、宿のこと、鞆の浦に興味を持った背景などを話しながら、交流を深めます。真剣な話だけではなく、学生時代の懐かしい話や世代ギャップの話など緩やかに話し、仲が深まっていきました。

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朝のひうちや。鞆の朝はととも心地よい時間

2日目、一部の参加者の方たちと、さくらホームに訪れました。さくらホームは、生活密着型のグループホームとして、福祉の界隈では注目されています。運営されている羽田さんから施設やまちの福祉に対する考え方についてお話を伺いました。

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地域と福祉が溶け込み合う福祉のあり方を行動し続けるさくらホームさん

お話の中で印象的だったのは、この施設に通わない人も見守っているということ。その意識が、少しずつまちにも根付いてきているようです。過去には、「施設を通うことに抵抗があった方の安否を確認するために、その方と相談し、新聞がとられているかを毎日確認していた」といったエピソードをお話くださいました。

自分の親の老後とどう向き合うか。自分自身はどんな環境で老後を過ごしたいか。
まちぐるみで見守りあう鞆での生活を聴きながら、自分たちの暮らし方を考えなおす時間になりました。

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アール・ブリュットの作品展

旅の最後は、築150年の蔵を美術館とした『鞆の津ミュージアム』へ。
ちょうどこの時は、福祉の現場から生まれた雑貨の展示会の開催期間でした。中には京都の事業所から生まれた作品もあり、旅に来て地元を知る出会いも。売店では、福祉事業をされている方を筆頭に、みなさん夢中で買い物を楽しみました。

緩やかだからこそ、いい旅

この旅の良さをひとつ挙げるなら、”いい意味で”目的が決まり切っていないこと。

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きっと「企業研修」と仕事モードでお話を聞いたり、「移住したい人は視察に行きましょう!」と目的が定まっていたら、今回のような多様な参加者は集まらなかっただろうし、もっと目的を見据えたプログラムになっていたと思います。
様々な層の人が参加することで、各々が関心ある部分について質問がなされ、自分の関心テーマの一歩隣の話題に触れられるのも視野が広がるきっかけに。

まちのプロジェクトや人のあたたかさになんとなく惹かれ、訪れる。だからこそ、背伸びをせずに交流ができたり、現地の方ともフラットな関係で仲良くなれる。そうやって、なんでもない話をしながら思い出を作れるのは、この旅の特徴だと感じます。

その結果、それぞれの関心テーマやとっかかりが出来て、将来の移住先なのか、仕事なのか、何度も戻りたい旅の目的地なのか、各々の関わり方を見つけられると感じました。

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旅の参加者にとっては、鞆のあたたかさを感じ、もう一度来たいと思えるきっかけに。現地の人にとっては、外の人の関心ごとや事業について話せる刺激のある時間になったように感じます。

懇親会では、お互いに旅の話やおすすめの地域、プロジェクトをどう運営しているかなど質問しあい、大盛り上がり。福祉の事業者同士で活動をシェアしあいながら、「鞆の浦verもやりましょう!」といったコラボレーションの話も生まれました。

少しずつ輪を広げいく「ともに、鞆の浦。」プロジェクト。今回の鞆の浦をめぐる旅を終え、来年以降も開催するとのふじもんの話しだったので、「鞆の浦」に興味を持っていただいた方は、鞆の浦プロジェクトの旅にて、ぜひ一度訪れてみてください。

文章・写真・映像:橋野貴洋

《今回ご案内した場所》
入江保命酒
おてび
カフェSHION-潮音-
NIPPONIA鞆港町
燧冶(ひうちや)
さくらホーム
鞆の津ミュージアム