見出し画像

競売入札シミュレーション 神戸地裁本庁R4.8.2開札①

さて、今回取り上げるのは「ファミリータイプマンション」をチョイス!
持ち分売りの事件です。
神戸地裁本庁編

土地が0件・戸建てが12件・マンションが8件で、合計20件の開示です。

入札物件の期間は、

入札期間は7月20日~7月27日

開札期日は8月2日です。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

事件番号:令和03年(ヌ)第58号

売却基準価額:7,840,000円

買受申出保証金:1,570,000円

買受可能価額:6,272,000円


1.区分所有建物

種別:区分所有建物 持分売り
物件番号:1
所在地:神戸市中央区下山手通五丁目
家屋番号:下山手通五丁目
種類(登記):居宅
構造(登記):鉄筋コンクリート造1階建
専有面積(登記):6階部分 51.91m2
間取り:2LDK 
バルコニー:南西向き
敷地利用権:所有権・その他
管理費等:24,470円
バルコニー面積:あり
占有者:債務者・所有者
築年月:平成22年7月
階:6階
総戸数:195
持分:324分の150

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

■ポイント■

★物件明細書より
3.買受人が負担することとなる他人の権利
【物件番号1】
なし

4.物件の占有状況等に関する特記事項より
【物件番号1】
本件所有者が占有している。

5.その他買受の参考となる事項より
・本件建物は共有持ち分についての売却であり、買受人は、当該物件を当然に使用収益できるとは限らない。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

★現況調査報告書より

1.建物所有者が本建物を住居(空家)として使用している。
2.管理費等|管理費12,600円。修繕積立金11,670円、駐輪場代200円
3.滞納の有無|なし【令和3年11月調査時点】
4.集合ポスト、玄関表札にはいずれも表示はない。
5.立ち入り調査を行ったところ、ライフラインは停止され、添付写真のとおり室内には家財道具、衣装などの動産は存在するがゴミで埋もれた上であり、長期間居住者のいない状況と認められた。占有関係としては、1階集合ポストや室内に債務者宛の郵便物が認められたことから、記載のとおり債務者が動産を残置した空家の状態で占有しているものと認めた。その他に第三者による占有を示すものは認められない。
6.本件建物には、ゴミなどによる汚臭があるが、雨漏りや水漏れなど特段の損傷不具合箇所は見受けられず経年と思われる劣化が見受けられた。
7.管理会社からの回答によれば、管理費等の他、月額1,430円のインターネット利用料が徴収されている。
8.本件建物の共有者に対し、占有状況等の照会書を送付したが、期限までに回答はなく、本報告書提出までに連絡もなかった。

※関係人の陳述等より
本件マンション管理員より
1.本件建物に居住者が住まわれているかどうかわかりませんが、郵便受けが郵便物で満杯の状態であり、電気も通じていないようです。

※執行官の意見より

今回はコメントはありません。

※間取り及び室内写真より

1.間取りは、2LDKのようです。
2.室内には家財道具少なく、家電製品が見受けられます。
3.室内にはごみ袋が散見されます。
4.状況的には男性が最後まで部屋住まいされ、その後退去された様子が窺えます。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

★評価書より

・最寄駅から約100m。徒歩2分です。
・用途地域|商業地域
・接面道路の状況|北西側幅員約22m市道、南西側幅員約18m市道。
南側幅員約6m市道
・ライフライン|上水道、ガス配管、下水道あり。
・経済的耐用年数|約40年程度
・総戸数|195戸
・設備等|エレベーターあり、駐車場受付順(総台数118台)、集会所あり。オートロック・宅配ボックスあり。
・管理会社|あり
・マンション全体の修繕積立金|約3億3千万【令和3年9月調査時点】
・基礎となる価格として約2645万円が評価額として算出されています。
持ち分評価により784万円の売却基準価格が設定されています、
・評価人の算定した募集事例より算出約18.48万円/月。年間で約221万円となります。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【では、入札時のシミュレーションを見ていきましょう。】

計算式1【売却基準価額での計算】
221万円÷784万×100=28.18%(表面利回り)

計算式2【基礎価額での計算】
221万円÷2645万×100=8.3%(表面利回り)

計算式3【計算式2より2割減で求める計算】
221万円÷2116万×100=10.44%(表面利回り)

上記のようになりました。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

★入札時のポイント★

今回は持ち分の競売事例です。
持ち分も324分の150ということで、約2分の1近い持ち分とも言えます。

一般的には、持ち分売りの場合、競売にかかっていない共有者はそちらにお住いのケースが多いのですが、今回は共に退去されている状態です。

皆さんはどのように感じますか?

共有者も住んでおられなければ、簡単に進められると感じるか?
共有者が不在のため、話を付けるのに時間はかかるのか?

私は、後者です。

いわゆる持ち分の競売のため、競売にかかっていない共有者の持ち分を取得しないと処分ができません。

万が一それを無視して改装やらを進めてしまった後では、色々と問題がでてきます。
そのためには、残りの共有者の持ち分を取得する必要があります。

評価人の評価額が2645万円となっているので、売却基準価額で落札できれば、ほぼ同額で購入できたと仮定すると784万円×2=1568万円。
その差額約1000万円。
これで話ができるなら、買取再販事業者は大きな商いに繋がりますね。

ただ、共有持ち分がある競売事件は多く札数は入らないので、今回のケースでの落札はどうか?
個人的にとても興味がある事件です。

上級者向けの競売のため、安易に入札、落札されると手間暇かかる事件なのでご注意ください。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
YouTubeちゃんねる
『不動産屋ちゃんねる』
こちらでも、色々と情報を配信しています。よければ、そちらもチャンネル登録の上、ご覧下さいませ🤗
https://youtube.com/channel/UC6tfWMQ9mbEdcG1EkCSCkMQ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

※注意しましょう!
現在、入札する添付書類が増えています。
「陳述書」です。
せっかく調査して、振込して、提出する入札書です。
くれぐれも書き間違い、書き損じ、書き忘れなどがないように注意してください。
これから入札検討される方は、「陳述書」の添付気を付けて下さいね。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

※筆者の紹介

前職の会社で約2年半で競売物件60件程度の落札、占有者交渉、リフォームプランニング、売却を手掛ける。

現在は、自身でも入札をしています。
個人的に入札するのは、表面利回り20%以上の見込みがる物件のみです。
なので、ビギナー向けではありません。
これから不動産投資を始めたい、競売で購入したいとお考えの方はビギナー向けの物件から始められるのがよいでしょう。

個人的には1R,1Kタイプがお勧めです。収入は低くなりますが、マンション全体の管理を管理会社がしてくれるので、御自身の負担は少ないです。

勤め先の会社では強制執行をしなくても良いように占有者との交渉で対話を重ねる。結果、自身担当での強制執行は0件。現地調査、裁判所記録閲覧、3点資料の読み込みにより写真から占有者の性格等を読み込み、入札する、しないなどを選別する。反社会的勢力の所有が疑わしい物件を写真から判断。そして現地管理人へのヒアリングで確認すると的中するように至る。

やり方がわかれば簡単です。何か難しそうであったり、落札後のリスクが読めないため入札を躊躇される方も多くいらっしゃると思います。ですが、しっかりと注意点を抑えていけば何も難しくもなく参加できるので、安く買いたいとお考えの方は一度競売を考えてみてはいかがでしょう?

現在下記のホームページでも不動産競売投資のお話も書いています。

併せて読んで頂けたら幸いです。


サポートよろしくお願いします!頂いたサポートで競売物件の現地レポートなどの活動費として活用させて頂きます!