競売入札シミュレーション 神戸地裁本庁編R2.9.15開札②
今回も神戸地裁本庁編です。
今回は1R、1Kの開示がありませんでした。500万円以下で入札できそうな物件をチョイスしています。
事件番号 令和01年(ヌ)第65号
売却基準価額 2,170,000円
買受申出保証額 440,000円
買受可能価額 1,736,000円
種別:区分所有建物
物件番号:1
所在地:神戸市須磨区友が丘一丁目
種類(登記):居宅
構造(登記):鉄筋コンクリート造1階建
専有面積(登記):5階部分 65.76m2
間取り:3LDK
バルコニー:南向き
バルコニー面積:あり
管理費等:17,000円
敷地利用権:所有権
占有者 :務者・所有者
築年月:昭和48年11月
階:5階
総戸数:
■ポイント■
★物件明細書より
・買受人が負担することとなる他人の権利
【物件番号1】
なし
・物件の占有状況等に関する特記事項より
【物件番号1】
本件所有者が占有している。
・その他買受の参考となる事項より
【物件番号1】
管理費等の滞納有。
本件は団地管理組合の滞納管理費等を請求債権とする競売申し立てである。売却基準価額は、滞納管理費等の額を控除せずに定められている。ただし、これにより買受人は滞納管理費等の支払義務を免れるものではない。
※今回は団地管理組合が申立て債権者になっています。
かなり高額の滞納をされているんでしょう。いかほどなのかは続きをご覧ください。
★現況調査報告書より
・建物所有者が本建物を住居として使用している。
・滞納金あり約90万円【令和元年11月現在】
・本土地は、敷地内駐車場やA1棟とA3棟の敷地としても利用されている。
・滞納額に関して、滞納駐車場費に関して、駐車場未納によって解約された平成29年11月末日までは、月額4千円の請求であったが、平成29年12月から引渡しがなされた平成30年7月までは、管理規約に基づいて定めらえている一日500円の駐車場使用料が請求されている。
・滞納額には、本件強制執行競売申し立ての債務名義取得のための費用等として司法書士費用267,518円と裁判費用12,088円が加算されている。
・滞納管理費等に関しては、日歩4銭の遅延損害金が加算される。
※執行官の意見より
1.建物には、オートロック、エレベーターなし。
2.室内の状況として、北東側和室の押入れの扉とLDKから玄関に出る部分の扉は壊れて外れたままになっており、南東側和室とLDKとの間の壁は取り外されている。
3.室内には相当な量の動産類が放置されたままで、和室の畳の状況等を確認できなかった部分も多いが、建具などは破損部分も散見できることから、上記扉などの状況も併せて考えると相当な補修工事が必要であろうと思料された。
※間取り及び室内写真より
1.昔に作られいた一般的な団地の間取りです。
2.お部屋はすべて和室になっています。
3.家財道具一式が残されたままです。
4.室内に自転車もあります。
5.室内に荷物が多くありますが、生活感は感じられません。
★評価書より
1.最寄駅から徒歩23分。約1.8kmと記載があります。
2.総戸数が120戸(A-1~3含め)
3.経済的残存耐用年数は約5年とされています。
4.駐車場はあるようでうすが、受付順となっているようです。120台
5.建物入り口はオートロックあり。エレベーターなし。
6.マンション全体の修繕積立金の額は約1億3千万円となっています。
7.基礎となる価格として約443万円が評価額として算出されています。
8.算定人の算出している賃料の目安が6.38万円/月。年間で76.6万円となっています。
【では、入札時のシミュレーションを見ていきましょう。】
計算式1【売却基準価額での計算】
76.6万円÷217万×100=35.29%(表面利回り)
計算式2【基礎価額での計算】
76.6万円÷443万×100=17.29%(表面利回り)
計算式3【計算式2より2割減で求める計算】
76.6万円÷354万×100=21.63%(表面利回り)
上記のような数字となりました。
冒頭でもありましたとおり、滞納がありますので、約100万円を売却基準価額に加算すると約320万円
改装費用が200万円かかると考えて、520万円程度ですかね。
そうなると、14.73%が表面利回りとなりました。
意外に感じたのは滞納金の低さです。多いところはもっと膨れ上がっているので、今回はまだ少なく感じます。
でも早く対応するに越したことはないのです。
恐らく所有者は現在住んでおられないと思われるので、その辺は慎重にことを運ぶ必要がありそうです。
また、マンション全体の修繕積立金が1億3千万円は凄いですね。
3つで割ったとして、4千万ほどあるので、しっかりとした管理ができているのが窺えます。
ビギナー向けではあるように見えますが、気になる点があるので入札を検討される方は一つ一つ課題をクリアして進める必要があることを理解のうえ入札されてくださいね。
※筆者の紹介
前職の会社で約2年半で競売物件60件程度の落札、占有者交渉、リフォームプランニング、売却を手掛ける。
勤め先の会社では強制執行をしなくても良いように占有者との交渉で対話を重ねる。結果、自身担当での強制執行は0件。現地調査、裁判所記録閲覧、3点資料の読み込みにより写真から占有者の性格等を読み込み、入札する、しないなどを選別する。反社会的勢力の所有が疑わしい物件を写真から判断。そして現地管理人へのヒアリングで確認すると的中するように至る。
やり方がわかれば簡単です。何か難しそうであったり、落札後のリスクが読めないため入札を躊躇される方も多くいらっしゃると思います。ですが、しっかりと注意点を抑えていけば何も難しくもなく参加できるので、安く買いたいとお考えの方は一度競売を考えてみてはいかがでしょう?
現在下記のホームページでも競売投資のお話も書いています。
併せて読んで頂けたら幸いです。