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競売入札シミュレーション 京都地裁本庁編R2.8.20開札①

今回は京都地裁本庁の1Kマンションです。

入札期間は、8月6日~8月13日まで
開札期日は、8月20日となっています。

入札期間の間違いがないようにご注意ください。

では、見てきましょう。

事件番号 令和01年(ヌ)第73号
売却基準価額 360,000円
買受申出保証額 72,000円
買受可能価額 288,000円

種別:土地 持分売り
物件番号:1
所在地:京都市山科区日ノ岡坂脇町
地目(登記):宅地
土地面積(登記):465.00m2
用途地域:第一種低層住居専用地域・その他
建ぺい率:40%・40%
容積率:60%
持分:30分の1

種別:区分所有建物
物件番号:2
所在地:京都市山科区日ノ岡坂脇町
種類(登記):居宅
構造(登記):鉄筋コンクリート造1階建
専有面積(登記):5階部分 20.27m2
間取り:1K
バルコニー面積:不明
管理費等:12,000円
敷地利用権:所有権
占有者:債務者・所有者
築年月:昭和50年3月
階:5階
総戸数:33

■ポイント■

まず初めに、注意事項として下記の文言が書かれています。
本件の買受申出については、差押債権者から買受申出(買受申出額金42万円)がなされていることから、その買受申出額(金42万円)に達しない金額では買受することができません。

上記の文言があります。
読んで字のごとく、売却基準価額が36万円となっていますが、42万円以上でないと入札参加できないということです。

ですので、入札する際は最低が42万円と思って入札される方はご注意ください。


★物件明細書より
・その他買受の参考となる事項より
【物件番号2】
管理費等の滞納有。
【物件番号1】
(1)売却対象外の土地を通行のため利用している。
(2)隣地との境界が不明確である。

★現況調査報告書より
・建物所有者が居宅として使用している。
・滞納は、約355万円【令和元年10月調査時点】
・管理会社は介入されていません。管理組合法人が自主管理されているようです。
・本件建物内は動産類が散乱しており、浴室、流し等は使用できず、建物内の状況を確認することは困難である。
・債務者以外の複数の個人あて及び法人宛の郵便物、小包などが存在した。
・玄関扉の裏が金属板で補強されている。
・玄関付近に防犯カメラが2台設置されている。
・ベランダに大きなハチの巣がある。
・現地概則の結果、本件マンションの一部が南側隣地に越境している可能性がある。
・本件マンションの敷地は東側で水路を介して建築基準法上の道路に接しているが、本件土地には接面する道路はない。
・現地概則の結果、本件マンションから上記道路に至るには、南側隣地を通行する必要があると思われる。

※関係人の陳述等より
・本件マンション担当のマンション管理士の回答より
1.管理人はいません。
2.エレベーター、駐車場はありません。
3.室内では小型犬1匹まで飼育可能。
4.マンションに規約共用部分はありません。
5.民泊禁止規定はありませんが、規約に明記する予定。

・債権者代理人の弁護士担当事務員より
1.聞いた話では、本件マンションの一部が南側隣地に越境しているそうです。また、南側隣地を通らないと道路に出られないとの事。
2.マンション建築当時の南側隣地所有者とは、南側隣地を通行することについては、何も言わないという約束をしていたとの事。
3.本件マンションは、小型犬及び猫1匹の飼育が可能との事。

・南側隣地所有者より
1.本件マンションの敷地と南側隣地は境界が確定されていないので、明確なことは言えないが、本件マンションの共用部分が南側に越境しているという認識。越境部分の利用権は何も設定していない。金銭等の授受もない。
2.本件マンションから東側の道路に出るには、南側隣地を通る必要がある。
3.南側隣地を購入する時に通路として使用されている言う話は聞きました。
4.南側隣地に通行権は何も設定していませんし、金銭等の授受もありません。本件マンションの理事長等と話し合いの途中。難しいかもしれないが、本来であれば、本件マンションの敷地内で道路に出られるようにするべきと考えている。

※執行官の意見より
1.本件マンションの敷地の利用形態は複雑であり、建物の建て替えには相当の困難が予想される。
2.平成24年11月頃、ライフラインの契約は終了していた。
3.本件建物は※○○○事務所として使用されていたと思われる形跡がある。
※3点セットをご覧下さい。

※間取り及び室内写真より
1.1Kの間取りです。
2.浴室トイレは分かれています。
3.ミニキッチンがあるようです。
4.収納があるようです。
5.室内の写真では荷物の量が多く所狭しと荷物があふれている様子が窺えます。

★評価書より
1.最寄駅から徒歩4分の場所にあります。約300m。
2.総戸数が33戸
3.経済的残存耐用年数は約0年とされています。
4.エレベーターなし
5.駐車場なし
6.マンション全体の修繕積立金は約1660万円となっています。
7.調査時点での大規模修繕計画はないようです。
8.建築確認等受付カードでは、4階建てでの申請のようですが、建物は6階建てになっているようです。検査済み証の交付はされていないようです。
9.エレベーターなしの5階部分に位置するようです。
10.基礎となる価格として約183万円が評価額として算出されています。
11.算定人の算出している賃料の目安が2.8万円/月。年間で33.6万円となっています。

【では、入札時のシミュレーションを見ていきましょう。】

計算式1【売却基準価額での計算】
33.6万円÷42万×100=80%(表面利回り)
※売却基準価額は36万円ですが、42万円以上でないと入札できないようなので、42万円で算出。

計算式2【基礎価額での計算】
33.6万円÷183万×100=18.36%(表面利回り)

計算式3【計算式2より2割減で求める計算】
33.6万円÷146万×100=23.01%(表面利回り)

上記のような数字となりました。

普通に考えると売却基準価額参考値で落札できると凄い利回りですが、滞納があるので、それを踏まえるとどうなるのか?

33.6万円÷(42万+355万)×100=8.46%(表面利回り)

ここから荷物の処分(恐らく強制執行)+改装費

それを考えるとすでに不動産投資としては不向きになっています。

物件自体の問題としては、建替えの問題や通行の問題など、様々な問題があります。ひとつひとつ解決していくための道筋を考えようと思いましが、総合的判断から入札する人はいないだろうと思ったのでそれ以上のことはしません。

恐らく申立人である債権者のみが落札されるのだろうと思われます。

あえて入札参加される方はかなりチャレンジャーな方としか言いようがないですが・・・

これも競売の醍醐味なのかもしれませんね。

※筆者の紹介

前職の会社で約2年半で競売物件60件程度の落札、占有者交渉、リフォームプランニング、売却を手掛ける。

勤め先の会社では強制執行をしなくても良いように占有者との交渉で対話を重ねる。結果、自身担当での強制執行は0件。現地調査、裁判所記録閲覧、3点資料の読み込みにより写真から占有者の性格等を読み込み、入札する、しないなどを選別する。反社会的勢力の所有が疑わしい物件を写真から判断。そして現地管理人へのヒアリングで確認すると的中するように至る。

やり方がわかれば簡単です。何か難しそうであったり、落札後のリスクが読めないため入札を躊躇される方も多くいらっしゃると思います。ですが、しっかりと注意点を抑えていけば何も難しくもなく参加できるので、安く買いたいとお考えの方は一度競売を考えてみてはいかがでしょう?

現在下記のホームページでも競売投資のお話も書いています。

併せて読んで頂けたら幸いです。


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