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競売入札シミュレーション 神戸地裁本庁R2.6.23開札③

今回も神戸地裁本庁の不動産投資用収益物件を見ていきたいと思います。
今回取り上げている神戸地裁本庁の入札期間は

6月10日~17日です。本日から入札開始となっています。

今回は1Rマンションタイプです。

早速見ていきましょう。

事件番号 令和01年(ケ)第174号
売却基準価額 1,760,000円
買受申出保証額 360,000円
買受可能価額 1,408,000円

所在地:神戸市東灘区魚崎中町二丁目
種類(登記):居宅
構造(登記):鉄筋コンクリート造1階建
専有面積(登記):3階部分 13.04m2
間取り:ワンルーム 
バルコニー:北東向き
バルコニー面積:あり
管理費等:9,620円
敷地利用権:所有権
占有者:あり
築年月:昭和61年11月
階:3階
総戸数:58
このようになっています。
では、3点セットを見ていきましょう。

■ポイント■
★物件明細書より
・最先の賃借権が付いています。
・賃料は25,500円
・期限の定めはありません。
・サブリース契約となっています。なので、転借人が現在占有しています。

★現況調査報告書より
・賃借人(転貸人)との契約で、家賃以外の取り決めあり。
1.管理費4,500円月額
2.補修積立金3,010円月額
が、賃借人から所有者へ支払されています。
・転貸人と転借人(現在の占有者)との契約内容
1.賃料32,000円月額
2.管理費4,500円月額
3.その他あり。直接落札者に関係する事項出ないため割愛しています。

※関係人の陳述等より
・管理会社担当者
1.所有者が変わるたびに新所有者との間で賃貸借契約書を作成している。
△このコメントからもわかるように度々収益オーナーが代わっているのが伺えます。謄本を取得してみるとその履歴が見れますので、入札前に取得して見てみるのも一つです。
2.以前の所有者との契約書類は手元にないので、現在の所有者との契約書類をお送りします。契約書の内容はずっと変更はありません。
△落札した後も、落札者から契約解除ができないため同様の契約内容にて更新する可能性が高いです。
・現在の占有者
1.平成28年6月から住んでいます。
2.入居する際に不都合な箇所は直してもらったので、現在不都合を感じるところはありません。

※執行官の意見より
1.本件建物の居住者の占有の始期及び占有権限に関しては、転貸人と転借人の陳述及び提示された関係書類に齟齬する点はなかった。
△特に問題がある人が住んでいるわけではなさそうです。
2.本件建物の最先の担保権の設定登記も平成29年6月になされており、賃借人の賃借権、ひいては平成28年6月から本件建物を占有している転借人の転借権が買受人との関係でどう処理されるかが問題となる。
3.本件の最先の担保権設定当時には既に本件建物に居住者が存在していたこと、本件建物の賃貸借契約が締結されたのは、担保権設定登記がなされた日と同じで「劣後」はしていなことから、本件建物に関する賃借権は保護されるべきものと思料した。
△上記2.では権利関係について疑問を投げかけていましたが、3.の解釈により「最先の賃借権」と認定されているため、買受人は現在の賃借人に対して契約解除の申し出ができないとなっています。

※室内の写真及び間取りより
・間取りは1R(洋室)
・ユニットバス(トイレ、浴室同じ)
・ミニキッチン
・下駄箱
・クローゼット
・洗濯機置き場は室内でなく外置きのようです。
・室内の様子は男性単身が住まわれているように見受けます。
室内写真が1枚のみです。かなりプライバシーに配慮されたのか?
個人的には最低3カットほど欲しいですね。

★評価書より
・経済的残存耐用年数は約10年程度。
・エレベーターなし
・マンション全体の修繕積立金は約796万円
大規模修繕がいつ行われたのかの記録がないため少ないかどうかの判断が難しいです。
・調査時点では、管理組合に対する滞納はないようです。
・基準の㎡価格を251,000円として採用。令和1年9月の事例を参考に算出しているようです。

【では、入札時のシミュレーションを見ていきましょう。】

現在の賃料で売却基準価格で購入するとした場合
売却基準価額176万円

計算式1
賃料2.55万円×12ヵ月=30.6万円
30.6万円÷176万円×100=17.38%(表面利回り)
サブリースのためこれだけでていれば良しですね。

計算式2
次に鑑定人が使用している基準価額である㎡251,000円×13.04㎡=約327万円です。

これで計算すると
30.6万円÷327万円×100=9.35%(表面利回り)となりました。

10%を下回りました。これでは入札の楽しみが半減してしまいますね。

計算式3
それでは、競売に似合う計算として先ほどの価格より2割減で計算すると
327万円の2割減だと約260万円です。

30.6万円÷260万円×100=11.76%(表面利回り)となりました。

サブリースのため高望みはできませんが、15%(表面利回り)確保する意味合いで考えると200万円あたりで落札できればおもしろそうな物件です。

今回は特にややこしさもないので初心者、経験が浅い方でも大きなトラブルになるようなことは無さそうなので気軽に入札されても良いかもしれませんね。

開札結果が6月23日なのでそれ以降でまたご報告しますね!

※筆者の紹介

前職の会社で約2年半で競売物件60件程度の落札、占有者交渉、リフォームプランニング、売却を手掛ける。

勤め先の会社では強制執行をしなくても良いように占有者との交渉で対話を重ねる。結果、自身担当での強制執行は0件。現地調査、裁判所記録閲覧、3点資料の読み込みにより写真から占有者の性格等を読み込み、入札する、しないなどを選別する。反社会的勢力の所有が疑わしい物件を写真から判断。そして現地管理人へのヒアリングで確認すると的中するように至る。

やり方がわかれば簡単です。何か難しそうであったり、落札後のリスクが読めないため入札を躊躇される方も多くいらっしゃると思います。ですが、しっかりと注意点を抑えていけば何も難しくもなく参加できるので、安く買いたいとお考えの方は一度競売を考えてみてはいかがでしょう?

現在下記のホームページでも競売投資のお話も書いています。

併せて呼んで頂けたら幸いです。


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