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競売入札シミュレーション 大阪地裁本庁編R2.10.2開札⑥

今回も大阪地裁本庁からです。

ピックアップする物件は【3DKタイプ】です。

入札期間は9月18日~9月28日です。
開札期日は10月2日となっています。

事件番号 令和02年(ヌ)第33号
売却基準価額 3,230,000円
買受申出保証額 650,000円
買受可能価額 2,584,000円

種別:土地 持分売り
物件番号:1
所在地:摂津市千里丘五丁目
地目(登記):宅地
土地面積(登記):278.54m2
用途地域:第二種住居地域・第二種中高層住居専用地域
建ぺい率:60%
容積率:200%
持分:43009分の4946

種別:土地 持分売り
物件番号:2
所在地:摂津市千里丘五丁目
地目(登記):宅地
土地面積(登記):12.73m2
用途地域:第二種住居地域・第二種中高層住居専用地域
建ぺい率:60%
容積率:200%
持分:43009分の4946

種別:区分所有建物
物件番号:3
所在地:摂津市千里丘五丁目
種類(登記):居宅
構造(登記):鉄骨造1階建
専有面積(登記):3階部分 49.46m2
間取り:3DK
バルコニー面積:あり
管理費等:9,000円
敷地利用権:所有権
占有者:債務者・所有者
築年月:昭和52年4月
階:3階
総戸数:8

■ポイント■
★物件明細書より
3.買受人が負担することとなる他人の権利
【物件番号1~3】
なし
4.物件の占有状況等に関する特記事項より
【物件番号3】
本件所有者が占有している。
5.その他買受の参考となる事項より
なし

★現況調査報告書より
・建物所有者が本建物を住居として使用している。
・管理費等の滞納なし
・表札と郵便ポストの名前が違うようです。
・北東側洋室の傾斜した天井部に雨漏り箇所とクロス剥がれ、北西側洋室のサッシ戸のガラスにひび割れが認められた。
・和室の壁面に損傷(壁穴)箇所が認められ、室内の壁面や天井クロスの継ぎ目に随所で剥がれが認められた。
・すべてのサッシ戸が片側のみ開閉しかできなくなっており、浴室のゴム栓が壊れておりお湯が貯められないとの陳述がある。

※関係人の陳述等より
・債務者より
①私が現在、住居として使用しています。
②大雨の時に北東側洋室の傾斜した天井部で雨漏りがある。
③複数個所で壁紙の剥離箇所がある。
④浴室の浴槽のゴム栓に不具合があり、お湯が貯められないため使用していない。
⑤すべてのサッシの引戸が片側のみ開閉可能な状態。

・管理組合理事長より
①令和2年4月現在滞納は無い。
②滞納が生じたときは法律の規定に従い特定承継人(買受人)に請求する。

※執行官の意見より
目的建物は、債務者が住居として使用・占有しているものと認められる。

※間取り及び室内写真より
1.間取りは3DKです。
2.天井に傾斜のある部分が図面上に記されています。
3.室内には必要な生活家電が揃っているように窺えます。
4.傾斜部の写真が写っています。雨漏りによる雨染みまでは写真ではわかりませんでした。
5.室内には生活雑貨などが揃っており現在も生活されている様子が窺えます。

★評価書より
1.最寄駅から徒歩11分。約810mと記載があります。
2.総戸数8戸
3.経済的残存耐用年数は約2年とされています。
4.エレベーター、ゴミ置き場、オートロック、駐車場なし。駐輪場あり
5.マンション全体の積立金は約95万円となっています。令和3年頃に改修計画有り。
6.建築確認あり、検査済み証なし。
7.保守管理の状態:やや劣る
8.管理の状況、共用階段の廊下部分にクラックが見られるなど、老朽化の進行が見られる。
9.基礎となる価格として約575万円が評価額として算出されています。
10.評価人の算定した賃料設定の賃料でみると6万円/月。年間で72万円となっています。

【では、入札時のシミュレーションを見ていきましょう。】

計算式1【売却基準価額での計算】
72万円÷323万×100=22.29%(表面利回り)

計算式2【基礎価額での計算】
72万円÷575×100=12.52%(表面利回り)

計算式3【計算式2より2割減で求める計算】
72万円÷460万×100=15.65%(表面利回り)

上記のような数字となりました。

今回の物件は総合的判断で計算式3の460万円位が落札される金額になりそうな気がします。

★入札時のポイント★
1.雨漏りがあること。
通常マンションでは修繕積立金を使用して大規模修繕工事を行います。共用部の改修や屋根、外壁の防水塗装など。それが行われずに現在も雨漏りしていることから当然に雨漏りが続く可能性が高いため。
2.修繕積立金が少ないこと。
マンションの場合、戸数の数も重要です。お部屋の数で管理費、修繕積立金が貯まっていくので、大規模修繕工事ができない理由はここにあります。
そして、大規模修繕工事を行うにあたりお金が足りないので、各戸から別途徴収される可能性があります。
3.自主管理であること。
自主管理の場合は、理事をされる方によってマンション運営が変わってしまいます。また、修繕費などを貯めるのにも大きな決断ができないケースも考えられます。
また、住宅ローンを利用したくても使えないそのようなケースもあります。

よって、今回は買取再販業者の入札は考えられにくいので、不動産投資物件として考えられる方が入札をされるのではないかと考えます。

もしかすると、リスクが高いと判断して入札も入らない可能性が考えられますが、駅からも徒歩11分と決して場所は悪くなさそうなので、買受可能価額では入札が入るのか?

将来性を考えるとビギナーさん向けではないですね。

※筆者の紹介

前職の会社で約2年半で競売物件60件程度の落札、占有者交渉、リフォームプランニング、売却を手掛ける。

勤め先の会社では強制執行をしなくても良いように占有者との交渉で対話を重ねる。結果、自身担当での強制執行は0件。現地調査、裁判所記録閲覧、3点資料の読み込みにより写真から占有者の性格等を読み込み、入札する、しないなどを選別する。反社会的勢力の所有が疑わしい物件を写真から判断。そして現地管理人へのヒアリングで確認すると的中するように至る。

やり方がわかれば簡単です。何か難しそうであったり、落札後のリスクが読めないため入札を躊躇される方も多くいらっしゃると思います。ですが、しっかりと注意点を抑えていけば何も難しくもなく参加できるので、安く買いたいとお考えの方は一度競売を考えてみてはいかがでしょう?

現在下記のホームページでも競売投資のお話も書いています。

併せて読んで頂けたら幸いです。


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