見出し画像

ただの散歩

出汁に使うカツオがなくなってしまった。以前までは粉末を入れるだけのスティックタイプを使っていたのだけど、カツオで出汁を取るようになってからその美味しさを知り、もう戻れなくなってしまった。スーパーは高いから、業務スーパーへ買いに行きがてらサイクリングすることに。業務スーパーまでは自転車で約20分。都会だと遠いと感じるけど、ここだともはや近所の感覚。愛車のクロスバイクに乗って、家の前の急な坂道を下る。玄関前で井戸端会議をしているご近所さんに、おはようございますー!と通り過ぎがてら挨拶した。すると、おはようー!あっ、いってらっしゃーい!と返してくれた。私はいってきまーす!とさらに返した。このやり取りがなんだかとても嬉しい。今日はもういい日だ。

猫ちゃんにも挨拶。

最近では地図を見なくても色んな場所へ行けるようになった。歩道がほぼない細い道や、凸凹に陥没した道が多い。車社会の街だからだろう。決して自転車が走りやすい道にはなっておらず、日常的にクロスバイクに乗っている人は自分以外に見たことがない。こちらが気をつけていないと、しょっちゅう車に轢かれそうになる。私もそのうち免許を取ろうと考えているけど、自転車はゆっくり走ったり、止まりたい時にすぐ止められるのがいい。初めて通ってみた道で、桜並木を見つけたから止まってみた。2月中旬から河津桜を見ているから、そこからずっと春な感覚になっている。伊豆半島の春は長い。

業務スーパーへ着き、1kg1000円のお徳用カツオを購入。しばらく出汁には困らなさそう。こんなに大量のカツオを買ったのは人生で初めてだ。今日の用事が済み、後は思うままに自転車を走らせる。まだまだ知らない道がたくさん。すると「自然食品れもんの木」というお店が目に入り、行ってみることに。いつもと違う道を通ると、こうした発見があるから面白い。無添加食品や、玄米で作られた商品がたくさん置いてあって、健康オタクな私は大興奮で目移りしまくる。思わず店員さんに話しかけた。この辺りには自然食品を扱うお店は他になく、熱海からわざわざ買いに来る人もいるそう。最近引っ越してきたことを伝えると、私の住んでいる地域からは夏になると花火が見えると教えてもらった。家の前で花火見えるのすご。夏が楽しみだ。また来ますと伝え、店を後にする。この街でまた一つ繋がりが増えた。

以前から通り過ぎざまに気になっていた足湯に浸かる。普通の交差点にポツリとあって、目の前はマックスバリュという日常の景観の中、足だけが非日常で不思議な気持ちになった。数十分浸かっていただけなのに、全身湯に浸かったようなホカホカさを体の内側から感じる。自転車を漕ぐのも、さっきより楽になった気がした。

風景画に描きたい風景を探しながら、パン屋に寄ってお昼ご飯を買い、いつもの海岸へと向かう。健康オタクな私も、外では普通に色んなものを食べる。パンを食べながら雲一つない海を眺めて、これはとんでもない生活だな…と思った。もちろんいい意味で。土曜日だからか観光客がたくさんいる。一番の閑散期に引っ越してきたから人がいない方を見慣れていて、その光景がちょっと新鮮だった。いい街でしょ〜と勝手に優越感に浸る(笑)

それから家へと戻り、まだ散策したりないと感じて、自転車を置いて散歩へ出かけた。今度は平坦な道ではなく、自転車では行けないような坂を登る。ずっと気になっていた上り坂の先を行ってみることにした。周りに家がたくさんあるから気がつかなかったけど、ここって普通に山の中だよなあと。リスも蛇も出るのは当たり前か。登った先の景色を見て、自分はすごいところに引っ越してきたのだと今更ながら実感した。コンクリートの1Kから、山の中の一軒家は急すぎる変化だ。でも不思議と違和感はないし、前より自分の家だと感じている。住む場所を単なる目的ではなく、街で選んだからかもしれない。

まだまだ散策したい気持ちもあったけど、流石に疲れてきたからこの日はここまで。身体は疲れているけど、気持ちはインプットしまくって上がっていたから、風景画を1枚描き上げた。夜ご飯は早速、れもんの木で買った10割そばにした。一玉150円。最高の贅沢だ。そして明日も明後日も、特別ではない最高の贅沢が待っている気がしている。

この記事が参加している募集

#新生活をたのしく

47,953件

#この街がすき

43,736件

頂いたサポートは活動のために大切に使わせていただきます。そしてまた新しい何かをお届けします!