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人生の伏線回収


大学の時、サボりすぎて英語の単位を落とした。
一つ下の学年と一緒に授業を受けたその日、
早く終わり5分余った。

先生は「せっかくなので洋楽を1曲流しますね」と言う。
離れた席から「早く帰らせろよw」と声が聞こえた。
自分も居心地は良くないから帰りたい。


そこで流してくれたのは、シンディローパーの Time After Time



あの場にいたほとんどの学生にとって無駄な時間だった。
当の先生も単に好きな曲を流しただけかもしれない。

けれど、頭から離れず、
少し古い洋楽の名曲を聴くようになった。



大学を卒業して数年経ったある日。
友達2人と入った小さなライブバー。

客が自分達だけだったため、店主と会話をする。

「店内のスピーカー Bluetoothでつなげるから、何でも流してよ」と言ってくれた。


そこに、1人外国人。
拳4個分はあるビールジョッキを悠々と飲みだす。


いつの間にか、この外国の方も巻き込んで話し出していた。


カタコトの英語で、
「シンディローパー イズ ベリーグッド!」
と言ったら、「Yeah!」的な反応。

会話が通じる以上に、なんとなく気持ちが通じる気分になった。

レッドツェッペリン the lemon song という曲を勧められ、こちらはごくたまに聴く。
全然ジャンル違うじゃないか。



そして、シンディローパーの Time After Time を合唱した。
洋楽を雰囲気だけで合唱する。
なかなか無い経験だった。


しかし、役に立った。
あの無駄かと思った授業最後の5分は、ここの伏線につながった。



また学生に戻り。

自転車で群馬から大阪まで行った。
5日かかった。
大阪に到着しても感動せず、
ほぼつまらなかった。
なんでこんなことしたんだろう。


偶然仮眠した施設がサウナの聖地「しきじ」だったり。
釘が刺さってパンクした時に入った、
古びた自転車屋のおじさんとの会話が沁みたり。
覚えているのは、そのぐらいだ。



しかし、「無駄だったフォルダ」に入っている。


「自転車で大阪行ってよかった〜」と言わせてほしい。
伏線回収を待って10年過ぎた。