ビデオニュースドットコム「コロナがつきつける人間と自然の関係の再考」2021年01月02日

第1030回、三重大学人文学部教授森正人氏がゲストの回。
これ、一度聞いただけでは理解が追い付かなくて何度も聴いたけど、回数を重ねるごとに興味深い。
地理学での人新世の意味、人間の生産物によって地層が形成されるっていう知識だけでなく、考え方がおもしろい。
宮台氏も森氏も共通していっており私の中にすごく入ってきたのは、現在社会が、アルゴリズム化、計算可能性を重視し、そうした確率化されている制度の中にいる没人格化した人間がつくられている。でも、宮台氏は、コロナを機にその制度から出ていくことが見直されるとしているが、森氏は既に生身の人間にまでデジタル化されている統治が及んでおり、コロナでも大きくは変わらないんじゃないかという考え(実践知や様々なものでずらすことはできても)。3.11でも変わらなかったと。
宮台氏はこの話をするときに、いつもウェーバーを引く。ウェーバーは官僚制が進んで没人格化が進むことを憂いて、神経が衰弱したと。
これに関して、コロナで気付くことには至っても、変化するまでには至らないかもっていうのが私の考え。でも、あえて楽観的にみると、例えば森喜朗の女性蔑視発言が取り上げられたのも、コロナだったから出てきた発言、異論が盛り上がったのも、コロナで社会的弱者の存在が注視されていたからというのもあるかもしれない。もちろん、Me too運動の盛り上がりとか、その前から下地ができていたのはあるけど。で、例えば、女性の社会での存在価値が上がると、既存システムの行き詰っている価値転換を作るきっかけにもなるんじゃないかと。新しい価値の提示や未知なものへの価値づけって、柔軟な対応が得意だったり、既存システムから疎外されていた女性のほうがどちらかという得意なんじゃないかなと。ただ、社会が女性の価値向上に本気で取り組むとも思えないから、これは楽観しすぎかもしれない。女性側がすごく頑張って、ちょっとずつ変えていくイメージしかわかないから。

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