略称「滬」=上海

 上海をさす地域呼称を、滬(hu4・日本語音読み「こ」/簡体字では沪)といいます。
 「滬」は本来、竹を編んで作った淡水漁撈用の定置漁具(ヤナの一種らしい)の名称です。上海はもともと長江デルタの河口部先端にあたり、今でも縦横に大小のクリークが無数に走っています。
 かつて呉淞江(蘇州河)の河道沿いに深くいりくんだ入江があり、それが「滬瀆(hu4 du2・ことく)」と呼ばれたことから、上海の呼称を「滬」というのだそうです。地域性をよく表した名称で、僕は好きです。
 上海を「滬」という呼び方は、今も使われています。「滬杭鉄路」は上海-杭州間の鉄道の路線名ですし、上海の車のナンバーはたとえば「滬 E00000」のように表記されます。
 こうした地域呼称は各地方にあります。例を挙げると、河北省=「冀」、河南省=「豫」、湖北省=「鄂」、湖南省=「湘」…などのようにです。かつての王朝時代の行政地区名が使われている例も多いです。
 ちなみに僕のフィールド、南京は「寧」といいます。かつて「江寧」だったからです。
 こういう中国の地域呼称を見たり調べたりするのは楽しいです。

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