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令和6年度滞納整理事務の充実を目指して(6月17日現在)

 令和5年度出納閉鎖(令和6年度5月末)が終了し決算数値が確定するころだと思います。そして令和6年度がスタートしたということで少し視点を変えて組織に「揺らぎ」を与えることを提案したいと思います。 


 組織に「揺らぎ」を与えるとは

 先日『迷いの先に 仕事と人生の羅針盤』(中鉢良治著、日経BP社、2017年10月、P74)という本を読んだ中に書いてありました。現状を維持することに汲々として、今いるその世界だけがすべてになってしまう弊害を脱却するにはどうしたらよいのか。そのためには組織に刺激を与える必要があるということです。

 「強い組織には、組織に刺激を与える自由な発想をする人たちと、それをまとめる人たちが必要だ。両者の最適なバランスが取れた組織は、自由な発想をする人が与える「揺らぎ」で全体のエネルギーが高まる。」と記載されているのです。 

 滞納整理事務における「揺らぎ」とは

 令和5年度の決算を分析し、何か新たな取組みが必要であると考えるならばこれまで実施していない取組みに着手してはどうですか。例えば、臨戸は実施しない方針という自治体においては、全く接触のとれていない滞納者と接触するための臨戸は残された唯一の方法だと考えてみるのはどうですか。このまま未接触のまま放置することはできないのです。  

 差置き文書の準備

 臨戸するときは、必ず差置き文書(封筒も持参)を事前に準備した上で不在であれば封筒に担当者の氏名、訪ねた時間を記載していつまでに連絡をしてほしいと記載することです。これは通常の郵便とは違うことを滞納者に意識させることです。改めて未接触の滞納事案について、どう対応するのか組織として話し合ってほしいものです。 

 確定延滞金のみの滞納事案

 滞納繰越分の中には、本税が納付されたが延滞金だけが残っている滞納事案もあります。少額であれば、費用対効果の観点で検討する必要がありますが、例えば30万円を超える滞納事案については、全件差押処分の対象に再度財産調査して滞納処分を行うことも必要です。納期内納税者との均衡を図るうえではとても大切なことです。 

 悪質な滞納者等の取組み

 各自治体にはそれぞれ悪質な滞納者がいると思います。差押処分すると怒鳴ってくる滞納者や自治体の理事者側にクレームを言ってくる人など様々です。年度の開始直後のこの時期、このような人たちに対して今年度どう対応するのか組織として検討してほしいのです。場合によっては、捜索を淡々と進めることです。意外とこれは効果があります。 

 高額の執行停止該当事案

 今年度執行停止が妥当だと思われる滞納事案については、一定額以上の高額滞納事案については捜索を執行停止の前提条件にされるのはどうですか。組織内の監査を受けることも含めて、説明責任を果たすためにも捜索を視野に進めてほしいのです。 

 とになく一度新たな視点で取組んでみる

 組織全員でこれまで取組んでこなかったことを一度実践してみてはどうですか。その上で再検討する組織になってほしいと考えます。

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