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絵柄が定まらない人はどうすべきか


もしあなたがイラストレーターよりもアーティスト(作家)を目指したい場合、絵は上手いか下手かよりも、その人らしい画風がそこにあるかのほうが大事です。


たとえばSNSでも、ただ「絵を描く」というコンセプトで運用するより、「このジャンルの絵を描く」というコンセプトのほうが、コアなファンは集まりやすいし支援してくれる可能性も高まります。

僕もイラストレーターになるとは言ったものの、正攻法では画力おばけの神絵師には絶対敵わないので、できればそういう作家性を併せ持ちネームバリューを上げていきたい。というわけで、ここ一年くらいはずっと「自分にとって良い絵柄」を探して色んな描き方に挑戦していました。

しかし今思うとこれが大きな失敗だったのかもしれない。


-絵柄、全然定まらない


絵柄を手に入れるのに一番良いのは、他人の絵柄を真似することですが、ネットで検索すればいくらでも良い絵に出会える現代、自分にとって理想と思える絵柄が多すぎて中々絞りきれません。

「よしこの絵柄でいこう!」と決めても、描いてるうちに「やっぱりあっちの方が理想に近いのでは…?」と迷走し、色々試しているうちに気づけば一年。むしろコロコロ絵柄を変えたせいで、一貫性がないとすら思われてそう…

こうなるともはや「作家性」を高めるどころか、何が描きたいのかよくわからない人になってしまいます… これではいけませんね。


-絵柄がブレると上達が分かりづらい


問題はそれだけじゃありません。絵柄をコロコロ変えると、上達しているのかしてないのかが分かりづらいです。

絵における上達はいつだって「完成品が良くなる」ことで実感できるもの。絵柄が変われば完成イラストが「前と比較してよくなったのか悪くなったのか」判別しづらいわけです。


特にイラストの場合、構図や配色、キャラクターデザインやテーマ表現などが見栄えに大きく影響します。これは模写やデッサン、パースや人体構造などの基礎知識だけでは学べない部分なので、どうしても試行錯誤を繰り返す中でどうすれば安定して魅力的な絵を描けるのか反省と改善を繰り返さないといけません。

しかし絵柄を変えることで、その反省点が見えづらくなります。反省点わからなければ改善もできません。絵柄を変えることの大きなリスクがこれです。


-絵柄が定まらない原因


本題はここから。どうすれば、絵柄を一つに定めることができるか?
そもそもなぜ他の絵柄に浮気してしまうのか? 僕の場合、考えられる原因はこちらです。

・もっと良い絵柄を見つけてしまうから
・元々の絵柄を真似しきれない焦り


-原因① もっと良い絵柄を見つけてしまう


ネットの発達によりこうも上手い絵ばかりが目に入れば、当然何が自分にとって理想かわからなくなってくるよね。というのが、考えられる原因の1つ目。

これに関しては「ネットを見ない」で解決しますが、絵を描くには資料が必要です。今の時代にあえて本や実物だけを頼りに絵を描くのも良いですが、ネットの便利さを捨ててまでやるのは骨が折れます。

というわけで、これに関してはある程度諦めます。(SNSを見ない程度なら効果あるかも)


-原因② 元々の絵柄を真似しきれない焦り


続いて2つ目。「元々の絵柄を真似しきれない焦り」から別な絵柄に変えたくなる説。僕はこっちが主な原因である気がします。

参考書を買ったのに成績が上がらない時、ダメなのは参考書のせいだと決めつけ、他の参考書を買ってしまう。これと同じ心理なんじゃないかと。

つまり、絵柄を決めて頑張っても、中々真似しきれない。評価もされない。何が悪いのか? この絵柄は自分に向いていないのか? そういった焦りが、他の絵柄への浮気に繋がり、成長できなかった癖に「次こそは大丈夫」という謎の自信だけは一丁前にあるもんだから、ついつい絵柄を変えてしまう。そういうことなのではないかと思ったわけです。


ではそれを避けるにはどうすればいいか。結論から言うと、「100%真似する」しかないと思う。真似しきれない焦りから絵柄を変えてしまうなら、真似しきるしかない。

元々は自分の憧れた絵柄です、もし全く同じものが描けるのであればその時点でかなり満足感はあるはずだし、その絵柄が評価されている限り、それを真似した自分の絵柄も評価されるはず。こうなれば、他の絵柄に変えたくなる可能性はかなり減るんじゃないでしょうか?

いやそれができれば苦労しないという話ですが。


-根本的な原因は焦りかもしれない


「とにかく上手くなれ」という根性論では解決しないので、他にどうすればいいか考えます。

先程、絵柄を真似しきれない焦りが原因なら、真似しきればいいと言いましたが、”焦り”が原因であるならばこうも考えられます。

焦りを感じなければ、絵柄を変えずに地道に頑張れるかもしれない。


ではなぜ焦るのか。僕の場合はたぶんこれが原因です。

・お金が尽きると絵を描く暇がなくなるから
・上手い絵を上げないとSNSのフォロワーが減るから

だから早く上手くなりたいし、早く売れたい。しかし冷静に考えると、別にお金が尽きても死なない限りはなんだかんだ絵を描く暇くらい作れますよね。SNSに関してもたとえフォロワーがいなくなっても多分僕は描き続けると思う。

そう考えると実はあまり焦る必要はないのかもしれない。


-じっくり向き合うことが必要


思えばSNSや掲示板、その他ネットサービスはまさにこの焦りを助長する仕組みになっていると思う。

みんながみんな、次々と上手い絵を上げる(ように見える)もんだから、自分も早く上手い絵を上げなきゃ置いていかれる気がする。そういう感情になる人は少なくないんじゃないでしょうか。


しかし本当は、もっとゆっくり一ヶ月~半年くらいの時間をかけて、1枚の絵に対して自分の何が足りないのか、なぜ絵柄が似ないのかをじっくり考えるべきなのかもしれません。

時代の流れが早い今こそ、時には自分の好きなものだけに黙々と集中することが大事なんじゃないかと。


まぁ今は依頼もあるので、それは納期守ってちゃんと描かないといけませんが、少なくとも自分の自由に描ける絵に関しては、絵柄が似るまで何度も描き直し修正して描きあげていこうと思います。

願わくばお金が尽きるまでに、「これが自分の目指した絵だ」と胸を張って言えるくらいになりたいですね。それでは。


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