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ーカメの生態についてー


こちらの投稿について
Twitter(140字)だと説明しきれない部分を
もう少し丁寧に解説・補足したいと思います。


早速ですが
皆さんは甲羅の構造ってなんだと思いますか?

ノコノコ(スーパーマリオブラザーズ)


キャラクターなど見てると
「甲羅は脱げる」と思ってる方も
多いのではないでしょうか?

実際は脱げることはありません。
Twitterにも記載してますが
甲羅の正体は肋骨だからです。

ー甲羅の構造ー

もう少し詳しく確認しましょう。
まず、亀の甲羅の裏側はこのようになっています。


真ん中の真っ直ぐ伸びた骨が背骨
背骨の横に何本も繋がってる骨が背骨
肋骨と肋骨の間を骨甲板と呼びます。


そして
甲羅に背骨や肋骨がくっついてるのではなく
肋骨が横に伸びることで甲羅となります。

甲羅=肋骨 という説明は
このような仕組みとなります。

しかし、これだけだと
説明が少し不十分です。

骨甲板の上には
もう一つの甲板が重なっています。
これが角質甲板と呼ばれるものです。

角質甲板はケラチンというタンパク質から
できていますので、爪や嘴(くちばし)
などと同じ成分になります。

アルマジロは皮膚が変化して作られたもの(皮骨)
亀の甲羅は骨(肋骨)が変化したものです。
骨+角質甲板=亀の甲羅という構造です。

もう少し詳しく説明すると、、、
一般的に他の動物は「皮骨」と呼ばれる、真皮(表皮と皮下組織の間の皮膚層)に発生する骨性の物質が変化してできた組織から構成されています。亀の甲羅は皮骨由来の成分を含まない、肋骨だけが変化してできた特殊な甲羅になります。


あまり見かけないと思いますが
角質甲板が捲れると白色の骨甲板が見えます。


そして角質なので
この甲板は古くなれば捲れます。
いわゆる脱皮と呼ばれるものです。

僕も亀を昔飼っていたのですが
よく捲れてました。
もしかしたらこの古い角質が捲れるから
亀は甲羅が脱げると思われていたのかもしれません。

身体の外に骨があるというより
骨に直接薄い角質が何層にも重なってる
みたいなイメージで捉えて下さい。

だから身体の外に骨(甲羅)があるというより
骨で作られた甲羅の表面(角質)が見えている
というイメージです。

甲羅も身体です!!
正確言えば極端に表層に位置した内骨格です!!

私たちはドラゴンボールを見ていたりするので

甲羅は身体と分かれているという認識を持ちやすく
この辺のイメージの
ギャップは強いのかもしれませんね。

また、
亀の甲羅は背中(背甲)だけではなく
腹の甲羅(腹甲)もあります。
むしろ、起源を辿るなら腹甲がはじまりです。


背甲と腹甲は繋がっています。
今までの話をもとに考えると
極端に表層に位置する骨が背中側とお腹側で
ぐるりと繋がっている生き物だと言えます。

これを人間にビジュアル化するとこうなります。

川崎悟司 作 『カメの甲羅はあばら骨』


中々インパクトありますよね…

ただ、亀目線だと逆に人間の
見た目の方がインパクトあると思うので
そこら辺は互いに言いっこなしにしましょう。

次に
皆さんはこんな疑問抱いたことありませんか?

「亀は肺呼吸なのになぜ水で生活できるんだろう」
「水の中で冬眠することなんてできるの?」

ー亀の呼吸方法ー

Twitterでも書きましたが
今度はコチラも詳しく確認していきましょう。

そもそも亀には大きく三つの種類がいますけど
全て肺呼吸です。

アニメでも有名な海に生息している亀(ウミガメ)
最もポピュラーな川や池に生息してる亀(淡水ガメ)
動物園とかで人気の陸に生息してる亀(リクガメ)


この三種は基本的に同じですが
生息環境が大きく異なるので
それぞれの環境に適した身体となっています。

また、どの亀も鶏とかと同じ
総排出/排泄腔です
(直腸・生殖口・排尿口が一つに繋がってる)

だからTwitterの発言は
正確に言えばお尻の穴というより
cloacal respiration(総排出腔呼吸)です。

ウミガメも淡水ガメも肺で呼吸しますが
水のある環境で生息します。

※この時点で今回の話についてリクガメは殆ど関係ありません。リクガメ好きはすいません。
(機会あればリクガメだけの記事も書きます)

さて亀に限らず様々な種が
水の中でも生きていけるように
酸素を獲得する技術があります。

亀の場合は
皮膚・頬咽頭・総排出腔で行います。

亀は他の種と比べて
総排出腔の呼吸(水生酸素獲得技術)が発達してます。

オーストラリアの動物学者の調査によると
『The importance of the cloacal bursae as the primary site of aquatic respiration in the freshwater turtle, Elseya albagula』

大きさによって異なりますが
62〜78%が水の中で酸素を取り込みます。
つまり、外で息継ぎするよりも
水の中で呼吸してることになります。

そして水生酸素摂取量の内(皮膚・頬咽頭・総排出腔)
半分近く(48%)が総排出腔で呼吸しています。


冬眠中に限らず、カメは水の中でも
この技術を上手く活用しています。
特に子ども(小さい)カメほど
総排出腔呼吸をよく利用してます。

これはなぜかと言うと
外敵や水流がある環境で生きていくには
水の中の方がより安全だからです。

逆に言えば大きくなるにつれて
泳ぐ・息継ぎの技術や外に出ても大丈夫なら
水生呼吸はそこまで活躍しません。
(子どもは80%近くですが大人は50%前後)

水生呼吸と肺呼吸を両方駆使するカメが殆ど

ただし
中には100日以上外に出ない亀もいます。

主に北米など寒い地域にいる淡水ガメです。
寒い地域だと池とか湖が凍っていて
肺呼吸のカメは息継ぎ出来ません。

そういう環境にいるカメは
水の底で冬眠しており
その際、活躍するのが総排出腔呼吸です。

ちなみに
2019年絶滅危惧種になったカクレガメも
総排出腔呼吸を駆使していて、腸呼吸ではなく
「生殖器で呼吸してる」と話題になりました。
(これも単純に呼び方の問題です)

カクレガメ  ロイター/Chris Van Wyk


しかし
冬眠しないカメも存在します!!
それが皆さんも馴染みのあるウミガメです。

ウミガメはディズニーなど馴染みもありますが
世界で約300種類いる内の7〜8種だけという
特殊な存在です。

先ほどの呼吸とは
異なる仕組みを持っているので
その辺も詳しく確認してみましょう✨

ーウミガメの呼吸方法ー

ファインディング&ニモ

ディズニーランドでも
お馴染みのウミガメのクラッシュ
観た方も多いと思います。

この映画を観てる方は思い出して欲しいんですが
クラッシュ達は海流に乗って世界を移動しています。

実際のウミガメも世界を移動しています。

冬眠とはそもそも寒い環境の中でどう過ごすのか?
という動物達の生存戦略なんですが
ウミガメの生存戦略は

海水が冷たくなれば
暖かい場所へ移動する
ことで対応しています。
(そもそも一つの場所で定住し辛い環境です)

だから
冬眠する必要がありません。

※ただし、一部の地域のアオウミガメとクロウミガメは泥の中に潜って冬眠するそうです。

アオウミガメ


では、肺呼吸のウミガメは
海の中で生活してるのでしょうか?

まず、淡水ガメと異なり殆どのウミガメは
総排出腔呼吸が発達していません。

※ 冬眠するウミガメは総排出腔呼吸を行います。

そのため違う仕組みで
水の中で過ごす技術が発達しています。

1.心拍数を大幅に低下させることが出来ます。

第一に酸素の節約技術が長けています。休息中などは最大の心拍間が9分間超えることもあるそうです。冬眠しないと書きましたが、実際は冬眠と似たようなことが出来ます。

2.代謝率を下げられます。 

亀の特徴というより変温動物なので哺乳動物より
酸素はそんなに使わなくても済みます。

3.肺が大きい。 

ウミガメは体の比率で見た時に肺が大きいので、より多くの酸素を取り込むことが出来ます。しかも肺が畳み込まれてるため、表面積は他の動物と比べても大きいのも特徴的です。

4.ミオグロビンが高い

ミオグロビンとは筋肉組織にあるタンパク質で、代謝する時まで酸素を溜め込むことができます。ミオグロビン値が高い生き物(イルカとか)は酸素をより多く溜め込むことができます。

5.ヘマトクリット値が高い

陸に住む爬虫類と比較して、ヘマトクリット値(血液中の赤血球量)が高いので酸素をより多く運ぶことが出来ます。


食事を探す時など活動時は5分おきに息継ぎしたりしますが、眠っている時は最大10時間潜り続けられます。


凄いウミガメ!!!!


Twitterにもあげたウミガメの寝てる映像などみると「酸素大丈夫なのかな?」と心配する方もいると思いますが、そういう時は、代謝とか心拍数を下げることで酸素をそこまで消費せず済んでるそうです。

ウミガメは私たちと同じでちゃんと睡眠します。

睡眠不足やストレスが高いと
身体に悪い影響を受けるのは人間と同じですね。
その辺は親近感が湧きます。




どうでしたか?
他にも話したい亀の特徴など沢山ありますが
それは今後、マイペースに追記していきます。

また、他の動物や人間の心理や行動についても
今後、書いていきますので
興味ある方はnoteとTwitterのフォローお願いします。

リクエストなどは随時
受け付けております🙇‍♂️

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