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(1)ノマド的プロ野球ファン

 プロ野球観戦が趣味という人は多い。
 ある人は、毎日のニュースで勝敗を確認し、また別の人は、年間指定席を購入し、殆どの試合を現地観戦しているという。
両者が野球好きであることは違いない。そして、その共通点は、プロ野球の「特定のチーム」を応援しているということである。

 つまり、プロ野球は、ひいきチームを中心として、ペナントの行方を見守る、という見方が定着しているといえる(無論、例外は多分にある)。
 これを言い換えれば、他の楽しみ方が入り込む余地は少ないのかもしれない。例えば12球団を満遍なく観戦するといったスタイルは、熱狂的◯◯ファンからすれば「球界の風見鶏」といったところか。政界で同様に呼ばれた大勲位よろしく、プロ野球党における党内基盤は脆弱になりそうだ。

 しかし、プロ野球は90年近い歴史を積み重ね、曲がりなりにも国民的娯楽として、その地位を固めてきた。それを、より奥行きのある文化に昇華するためには、新たなファン像を提示することが必要ではないか。
 ここでは、応援するチームにとらわれず、きままに全国の球場で観戦するという試みを提示したい。当面は「ノマド的プロ野球ファン」を自称し、その実践結果をこの場で報告しようと思う。
 と、鼻息を荒くしたまではいいものの、いわば単なるプロ野球観戦記にすぎないのである。