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【連載小説】雲の中のマンゴー

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この小説は、自動車部品メーカーを営む静岡の中小企業の若き経営者「沢村 登」が、雲を掴むがごとく様々な問題や課題に直面しながら、企業グループの新しい未来づくりを模索し農業という新事…
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2022年1月の記事一覧

雲の中のマンゴー|#23 スマート農業へ

▼前号を読む ▼最初から読む 第23話 「第4章~その3~」 2020年10月初旬、季節は秋模様になってきた。しかし、マンゴーハウス内は温度35℃と高温である。シーズンオフではあるが、この時期の作業も重要であり、施肥・誘引直し・灌水チューブ掃除と詰まり水量の確認など、日々休まることがない。事務所から一番遠いハウス内で黙々と作業を進めていると、遠くから「か細い声」が聞こえた。だれか対応するだろうと思い作業を続ける。 「沢村さーん!」 「沢村さーん、いますかー!」 「ど

雲の中のマンゴー|#22 こども店長派遣

★前回はこちら ★最初から読む 第22話 「第4章~その2~」 8月末になり、なんとかマンゴー原体の販売を終えた。結果、昨年末に農園を譲り受けた際に計画した見込みの「4分の1の販売実績」であった。正直、経営的には非常に厳しい結果だ。しかしながら、ワンシーズンを通して経験したからこそ浮き彫りになった、問題課題が登の来シーズンへの動機づけにもなりえた。 黒岩もひと回り半の経験を身に着け、良いも悪いも合わせて文書化に取り組んできた。あとは追熟に販売が追いつかないマンゴーをカッ