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【旅日記】空の下&はっぴーの家ろっけん・2 【空の下1日目】

【空の下1日目】


成田空港から飛行機に乗って高知空港に降り立ち、迎えに来た農家の友人、るんちゃんの車に乗せてもらう。
今回は高知で生姜と柚子を作っている彼女を手伝いに来たのだが、
雨の予報だったので着いた初日の農作業はとりやめの予定にしていた。
果たして着いた時から風が強く、スコールのような雨が降って来ていた。
さすが南国だ。(東京からしたら)
そのまま市街地を案内してもらったりして、山の中にある事業所には日が暮れてからの到着になったが、雨はさらに強くなる一方だった。


農家「空の下」事業所は、木や畑に囲まれた古民家であり、家の半分は土間だ。
そこがリビングでありダイニングでありキッチン。
そこで木造の事業所を叩く激しい雨音を聞きながらぼちぼちと世間話をして過ごしていると、
ふと、土間の床に居るモノに目を奪われた。
東京ではお目にかからないような格の大ムカデ。(安心してください、画像はありません)


私が「大きなムカデ的なモノがいるんだけど…。あれは…ムカデ?」と言うと、
居合わせた空の下メンバーが
「あっ!そんなのに噛まれたら大変!あやちゃんお手柄!」などと言って、
包丁を持って来て、ステーキを切るような手つきでムカデの頭をキコキコと切り落とした。
ムカデの胴体はしばらく土間を歩き回り、やがて動かなくなった。
頭と胴体は、あとで空の下の一員であるニワトリの栄養になったらしい。

空の下LDK

ムカデが出現した場所。


また、メンバーの一人が、ニワトリになりかけた茶色いヒヨコの死骸を持っており、どうしたのか聞くと「こごえ死んだ」との事だった。
こちらも無駄にされず、さばかれて食卓にのぼった。


トイレは外にあり、列車のトイレのようなインターフェイスになっている。
最小限の水で済むよう、洗浄ガンという勢い良く出る水鉄砲のようなもので流すと、便器底のフタが開いて排泄物が落ちるような仕組みになっている。
先ほど書いた通り、その日は土砂降りの雨だった。
トイレに行くときは傘をさして行く。
お風呂も同様。


庭の逆側に向かうと、かろうじて降りられるゆるやかな崖のようになっており、砂浜に続いている。
さながらプライベートビーチ。


都会ではできない経験が立て続けにできる「空の下」事業所。 
おそらく慣れれば快適な生活でもあるのだと思うが、
私の普段と違いすぎて、情報量に圧倒された。


そう、そして何よりこの日、大事な出会いがあった。



この日の夜、激しい雨の中、
神戸の「はっぴーの家ろっけん」というパンクな高齢者住宅の中に発生しているフリースクールの面々が、空の下事業所に来てくれた。
小学生から大学生の年頃の子ども達、そして引率の先生とその奥さん。

先生は子ども達に「ワダケン」と呼ばれている。
化学を専攻して院まで進み、中学校の先生を辞めてはっぴーに来てしまったという経歴の持ち主だ。

はっぴーでの肩書は「ワダケン」で、
フリースクールの引率の他に来客対応などの突発的な用務もこなす切れ者なのだが、性格は大変に優しく、子ども達には「ワダケン、しっかりしいや」「ワダケン、だから嫌われんねんで」などと日々どやされながら慕われている。


ひときわしっかりしたローティーンの少年が、礼儀正しく私に挨拶してくれる。
名乗られて「あ、あの時の子だ」とすぐに気づく。
私は以前、はっぴー主催のオンラインイベントに、末息子(スライムメンタル)と参加した事があった。
その時に「はっぴーに居候しています」と自己紹介していた彼だった。
(ちなみに息子はその時学校に行っておらず、オンラインイベントにも「不登校特待生」として参加させてもらっていたのだが、それをきっかけに、オンラインでワダケンに構ってもらい続ける内にどんどん元気になって行き、今は学校に行って楽しくやっているので、今回の平日中心の道行には参加していない)


実は、高知に来る前に、
私はまったく別口で、はっぴーの家に行く事を決めていた。
不本意な事の多い老健勤めで心底疲れ切っていた私は、
仕事を辞めたら、まず真っ先に、
利用者さんをできるだけ自由にしたいと願うはっぴーの空間に浸って、解毒したかったのだと思う。
それとは何の関係もなく高知行きが決まったとたん「神戸のはっぴーの家ってところから少年2人が手伝いに来る」と知らされ驚いた。
「え、そのはっぴーに行こうとしてたところだったんだけど…知り合いだったの?」


まったくの偶然なのだが、るんちゃんと、はっぴー関係者が古い友達で、行き来があったのだそうだ。


でも、そういうのは、偶然ではないのかも知れない。
なんて、月並な文句だが、
不思議なチカラとかそんな事以前に、
自分を偽らず、付き合う人を選んでいれば、おのずと重なる部分が多くなって来るし、確率的にシンクロも起きやすくなる訳で、
考えたら当たり前の事なのかも知れない。


延々と激しい雨の音がする中、ワダケンとるんちゃんは、日本の教育について長々と話し込んでいた。


パタさん

アイドル兼番犬のパタさん。


次回、いよいよ柚子山へ。


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