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【旅日記】空の下&はっぴーの家ろっけん・6 【西川自由珈琲店】

【西川自由珈琲店】


色々な国でフリーコーヒー(道行く人にコーヒーを振る舞う)をやった、自転車冒険家の西川昌徳さんという人が兵庫県の姫路に住んでいる。
全国で講演するかたわら、子ども達に自転車旅の手ほどきなどもして回っている。

今日のフリースクール活動ではその方のところに行くそうで、私も連れて行ってもらう事になった。



出発前に、リビングで、はっぴーオンラインイベントの際に配信された西川さんの動画を見直していると、

例の社長の娘さんがランドセルを背負ってとことことやって来る。
時すでに朝9時過ぎ。
ポッキーをポリポリ食べながら
「これ食べたら学校行くねん」
と言っている。

フレックス登校だ。

突如、私が広げていたノートPCに
「かいたろ」
と言って、ポッキーのチョコ部分で何か描かれた。

意表を突かれて私が笑っていると、
彼女は、今度は高知みやげでワダケンが買って来た芋けんぴの袋を取り上げてまじまじと見ている。

やがて、友達の姿を見つけた彼女は
「ちょっといもけんぴのふくろでなぐってくる」と、持って行ってしまった。

この芋けんぴがなぜそこにあったのかは後でわかる事になる。

彼女が登校した後には食べかけのポッキーの袋が残されていた。

そんな平常運転のはっぴーを後にして、今日もワダケン運転のキャンピングカーに子どもたちと乗せてもらう。

たまたま居合わせた看護師さんも巻き込まれて同行する。

はっぴーの一室にいた牛のぬいぐるみもなぜか巻き込まれて同行する。

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柚子山で一緒に作業をした少年2人は、65km以上ある西川さん宅まで自転車で向かうという事で別動隊。

キャンピングカー組は、途中、播磨町にあるはっぴーの支店「はっぴーの家はりま」に立ち寄る。

買ったばかりのキャンピングカーはまだ使い勝手がわからず、どうやって車いすを乗せるのか検証してみたいとの事で、はりまの入居者さんに実験台となってもらう。

実習に来ていた中学生達が、スタッフの赤ちゃんを抱っこして見守る中、入居者さんを乗せた車いすを固定するのに苦戦。
寒いのでタオルケットをかぶせられた入居者さん、苦笑しながらお付き合いくださる。

はりまの子どもたち
車いす


そんなこんなで時間がかかり、待ちあわせた途中地点のうどん屋では、自転車隊の少年達がとっくに着いたという様子で待っていた。

ワイワイとうどんを食べてそこからしばしまた走ると、姫路の川べりの西川さん宅へ到着。


家の前にはフリーコーヒーの屋台があり、今にも雨が降り出しそうな黒い雲が垂れ込めた寒空の下、準備万端整えて西川さんは待っていてくれた。

屋台


屋台の前にちゃぶ台やテーブルが置いてあり、
横には赤いおみくじマシンが置いてある。
10円を入れるとコインの重みで中のスロットが回っておみくじが出て来るのだが、このおみくじ、主に子ども達が書いたもので、とても趣深い。

さらにこのおみくじは、自分で書いてマシンに入れる事により、10円もらえるルールになっている。

おみくじマシン
こどもみくじ

「きょうおはなをみるでしょう。」「あしたあなたはしあわせでしょう」「おはなかわいい。」


突如何かを思い出すワダケン。
ワダケン「あっ、高知みやげの芋けんぴ忘れた!」
西川さん「うわあ〜…」
ワダケン「やってもうたー!」
西川さん「あ〜あ〜大っ好物や〜この世でいっっっちゃん好きなやつやわ〜…」
と西川さんがワダケンをいじめているのを見ながら、 
リビングに置いてあった芋けんぴがどうなったか私は思い出していたが、黙っていた。

そうして西川さんが丁寧に焙煎して淹れた熱いコーヒーを飲んだり、
目の前の川にはしゃいだりしている間に、
雲行きが怪しかった空からついに雨が降って来る。
皆でバタバタと片付けてセットされていたテーブルなどを軒下に入れていたところ、雨はあっという間に上がり、なんと空に大きな虹がかかった。

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私はあんなに大きな虹を見たのは生まれて初めてだった。

そもそもそれだけ遮蔽物がない場所が、東京にはあまりない。

おそらく、虹を見た事自体も、両手に収まるほどしかないと思う。
そしてどこで見たのかもほとんど覚えていない事にこの時気がついた。

でもこの虹の事は、覚えていられるだろう。

川

この日はかなり寒かった。わざわざ川に降りて水に足をつけてみる一行。


さて、雨は上がったが、寒い日だった事もあり、家の中に場所を移して、色々な意味でぜいたくで豊かなお茶会は続く。

西川さんの家は、もとはご親戚が住んでいたという素敵な古民家だ。
木造平屋建ての高い天井に、太い梁がむき出しになっている。

壁には、西川さんへの応援の手紙や横断幕がいっぱいに貼られている。
最近始めたというウクレレを爪弾きながら歌う西川さんは、とても自然体な人だが、実は世界中で命がけの冒険をして来た人だ。

普通の観光客ならばヘリコプターで上から見る、あのグランドキャニオンを自転車で走った時には、広すぎて、
「なんやグランドキャニオン、こんな方までグランドなキャニオンやんけ!」と途方に暮れたらしい。

テントで寝ていたら強盗に襲撃され、暴力をふるわれて荷物をほとんど持って行かれたり、
大きな川に飛び込んで流されこの先は滝!というマンガのようなピンチに陥った事など、笑えないような大変な話がたくさんあるのだが、彼が話すとなぜか笑える話になる。

そして大変だった以上に、人に助けてもらって来たと言う。
遭難しかけたところを、猟銃を持ったおじちゃんに拾われたり、
フリーコーヒーのコーヒーが尽きると見るや近くのカフェの店主達がコーヒーを持って来てくれたり、
イスラム圏では「自分の前に現れる人は神が会わせた客人」と言って親切にされ、通りすがりの人に食事を奢られたり。

そんな経験をたくさんして来た人と会っているのにも関わらず、
なんとこの日は、そんな冒険の話についてあまり聞かなかった。
もったいないと思うかも知れないが、そういう話は講演などで聞けるし、大勢で聞いたほうが良い。

せっかくお会いできたのだから、
今日はただ一人の人として、彼を感じる。
それもこの日の最高のぜいたくの一つだった。

初めて会った、どこの誰かもよくわからない私にも別け隔てなく、丁寧にコーヒーの淹れ方を教えてくれる西川さんの姿に、通りすがりの西川さんに親切にしてくれた世界中の人達の姿を重ねてみる。

ひとしきりコーヒーを淹れて飲んで、皆で後片付けをして、日が暮れる頃に西川自由珈琲店を出た。

西川さんは姿が見えなくなるまで、ずっと外で見送っていてくれた。

焙煎
豆の味
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おみくじマシン内部
おみくじマシン内部
おみくじマシンタグ
おみくじづくり
おみくじ

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