今年 最後の私の安息日に!
今年もあと十数日、
新年へ向けての美容院
髪を切ってさっぱりしたら
テヘッ! 若返っちゃった?
「又、来年もよろしく! 良いお年を!」の声をかけあって
美容院のドアを押して 細い急な階段を下りると
淡い茜色に染まる街に出た
髪を切った後 いつも感じる爽やかな気分
今日も あの店に行ってみよう!
T-SITE ビル8Fにある『AURA』というお店
混雑した時間が過ぎて人が少なくなった黄昏時のお店の上に
閑散とした大きな銀行が2つ それぞれの階を占めている
8階までのエスカレーターは
まだか、まだか? まだ これでもかあ?って
なんだか、スリラー小説のような場面が続いて
やっと、明かりが見え
辿り着くと やっぱりホッとする!
入口近くのテーブル席には すでに一組の女性客がしんみり語り合っていた
長いカウンターの先には体格のいい初老の男性が一人でビールを飲んでいる
ここ【AURA】というお店は 女性一人でもフラりと入ってお酒を楽しめる
気さくで 清潔感があるのは やはり店長さんの人柄が出ているのだと思う
そんなお店がある街に住めたことは 私にとって とてもラッキーなこと!
そういって、そんなに頻繁に来れては いないのだけれど・・
つッと 顔を振り向けると カウンターを挟んで 店長さんの顔が真正面に
「オォ~ッ! お久しぶり!」と、同時に手をあげていた
「どちらの席に?」と 聞かれて すぐさま「こっち!」と答えて
スタコラ 勝手知ったるカウンターに向かい
年老いて縮んだ身体で「おっこらっしょ!」と
背高ノッポの椅子に よじ上るように座った私は
目前の店長さんに いきなり「髪型変えた?」っと言っていた
笑いながら「髪を寄付したンです」と さり気なく言い
「これぐらい」と 両手で髪の毛の長さを示す
「へえ~、ボランティア?」に、コクンと頷く店長さん
「いやあ、すご~い!」小さく拍手する私
バンダナの店長さんも 格好いいけど、
髪を切った店長さんは また違った印象で 若く見えた
「メガネ 忘れた!」と言いながら、メニューを顔面間近かに持っていく私
「おススメは この豚の・・」と メニューの写真を指し示す店長さん
「お店の前の写真を見て、これおいしそうやなあ!って、これにするわ!」
「お飲み物はどうします? いろいろありますが・・」
「う~ん、ジンジャーエールかなあ」
「クランベリーもありますよ」
「クランベリーって 甘いんでしょ?」
「多少甘いけど、豚肉のソースが 甘いもの合うんですよ」
「あ~ そうなん! じゃあ、クランベリーに!」と 言い、すぐに
「ご飯 少な目に!」と 言っていた
店長さんは「じゃあ!」と にっこりされ オーダーを入れた
しばらく、取り留めのない話で ご無沙汰を埋めていると
あたたかいオニオンスープが出てきた
トロトロオニオンのあまい味と香りは たまらない!
カップを 抱え込むようにして飲み干すと
ちょっと 冷えていた身体があたたまってくる
スープの余韻を楽しんでいると
お料理が出て来て、目を見張った
お盆の上に並んだ小鉢が3つと やわらかなリーフサラダ
豚肉の大きな切り身が 柔らかく美味しそうに盛り付けられ
(これは蒸し物?それとも、焼いてあるの?)と 思いつつ問いかけもせず
側のソテーしたキノコや根菜類を巻いて 食べてしまったいた
ああ、私としたことが
毎度のことながら、又もや
このお料理の写真を撮るのも忘れ
キレイに平らげてしまっている!
お腹が満たされて、後ろを振り返ると
つるべ落としの濃紺の夕闇に
街の明かりが点々と広がり
思わず椅子から立ち上がり「写真撮ってもいい?」と聞いていた
「いいですよ!」の声に
「ガラケーやけど、キレイに写るかなあ」といいながら
私は オレンジ色に照らされた店内にも向ける
手振れが起こって 上手く撮れているかわからないけれど
夢中でパシャパシャと写真を撮る
バレーボールのTシャツが 何枚も掛かっている壁にむけると
「僕も入るんですか?」と聞く若い店員さんに
「うん、入って、入って!」と、促すものの
「逆光やわ、上手く写るかなあ?」と 独り言をいう
「noteに 載せてもいい?」
「どうぞ、どうぞ!」
ああ、こんなに夢中になったの、久しぶり!
「noteに書けたら、また印刷して持って来るね!」
それを聞いた店長さんが
「なるべく早くに、よろしく!」って言ってくださったこと
私は お酒も入っていないのに
なんだかふわふわして、お店を出た
仕事帰りの混雑したバスの席に揺られながら
クリスマスが済んだら、
新年の準備の大掃除やなあ
ふ~っと息を吐いて
【AURA】の情景を思いかえした
お料理の写真を撮るのを忘れて キレイに平らげてしまったこと
小鉢の中身が何だったのか?
あの豚肉は蒸されたていたのか? はた又 焼いてあったのか?
トロリとしたブルーベリー色のソースは 何で出来ていたのか?
毎度のことながら
何も聞かずに・・
食べっちゃった!
ああ、私としたことが・・
自分に呆れながらも、
今日 私は
今年最後の安息を【AURA】というお店で過ごせたことに違いはない!と
思い 満足気にバスの座席に 再び 深くゆったり座りなおしたのでした。
<お断り>
noteに挙げようと思ってガラケーで撮った写真が
ほとんど 逆光と手振れでぼやけてしまっていたので
店員さんの写真を記事に挙げることができませんでした。
ここにお詫び申し上げます。
オ~ッと、