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DTMで厚みのあるギターサウンドにしたい

先日アイマス楽曲を有志が集まってロックなリミックスにしたものを一挙に配信するロキマスというバカ熱いイベントがありました。私も参加し楽曲を提出しました。よければ聴いてください。

この記事の対象は以下の様な人です

ポップパンクやメロコア系で良くある(?)抜けの良いデジタルなディストーションギターサウンドが欲しい人

学生の頃は多少なりともバンド活動をしていて、自分のバンドサウンド観に最も影響を与えたのはメロコアやポップパンクなんです。最近は4つ打ち系ばかりでしたが完全打ち込みでバンドサウンドを出すのはかなり新鮮かつ苦労しました。その中で一番苦労したのがギターです。不覚にも一応はギターを演奏し、音を覚えてしまっており、曲を聞くとギターに耳が行くという性格上、いざ自分で打ち込むと「なんでこんなに抜けが悪いん???」となってしまいました。今までは他にもシンセが鳴っていたりして誤魔化していたのですが、バンドサウンド中心の構成となるとそうはいかず頭を抱えました。で、結論として辿り着いたのは以下のやり方。

1.ダブリングは当然必要
2.ダブリングさせる音源の音色に差をつける
3.ダブリング音源同士のパン振りに差をつける

どういう事か、1つずつ見てきます。

1.ダブリング

厚みを出したいなら単純に同じノートを演奏した音源を2つ準備し重ねて再生させてしまおうというとてもシンプルかつ一般的なやり方です。ギターだけではなくシンセでも同じリードを複数の音で作って重ねるというのはよく目にする手法ですね。(スペルミスはご愛敬)

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上記のように全く同じノートを演奏させたものを並べ同時に再生させます。ここでポイントなのは同じ演奏をさせるにしても、重ねる音色はそれぞれ変えるべきという点です。これは2に繋がりますが、全く同じ音を重ねても音が大きくなるだけでステレオ感や厚みが増したとは感じません。

2.ダブリングさせる音源の音色に差をつける

2について、どう言う事かというと今回の内容について言えば「ダブリングする際片方のギターは中音域以上に集中、もう片方は低音に集中」という点です。どういう事か実際に音を聴いてみましょう。私が実際にリミックスした曲をベースに説明していきます。

まず、全楽器を含んだオケから。こちらは私がリミックスしたアンデッド・ダンスロックのイントロです。よかったら聴いてね。

で、宣伝はさておき、気を取り直してイントロオケです(以下のサンプルは全部2mixです)。

次にイントロのリズムギターのみを聴いてみます。この曲はリズムギターは2本準備していますので同じノートを演奏しているリズムギターが2つ存在しています。

まずはリズムギター1から。こちらはミドルとトレブルが聴こえやすいようした音作りです。まだパン振りを行なっていない状態です。音の輪郭はハッキリしていますが、パンチが足りないですね。

次はリズムギター2です。こちらは低音が響きやすい様に意識した音作りです。ブラッシングした時のジュクジュク言う低音が良いです。こちらもパン振りはまだです。

で、これらを重ねると以下の様になります。

ドゥンドゥン言うギターながらもエッジさが残っているのがわかるかと思います。さて、私も一度考えたのですが、「だったらギター1本で低音も高音もカバーする音作りすればいいじゃん」と言う疑問が浮かびます。これに対する個人的な答えは「それがあなたの求めるサウンドならOK」と言う事です。私の場合、自分が鳴らしたい音を1つで叶えてくれるギターアンプ のプラグイン を知りません。「このアンプの重低音は好きだけど、中音域以上はモコモコしてるんだよな〜」となる一方「こっちのアンプはエッジがクリアでいいけど、重さ(低音)のパンチが無いな」と思い、ダブリングしかないとなったわけです。これがレイヤーを重ねる音は変えるべきと言うか、むしろ結果を得るためにそうせざるを得ないと言うところでしょうか。

3.ダブリング音源同士のパン振りに差をつける

これはステレオ感につながります。上であげたサンプルはパン0%の正面から聞こえる音ですが、これにパン振りの差を付けます。実際の自分のプロジェクトファイル数値を確認しましたが上であげたリズムギター1は23%左にリズムギター2は7%左に振っています。実際振り具合は感覚で決めてますが、低音の出るリズムギター2はリズム隊と少し近づけておこうと言うことで、あまり中心から逸らしていません。どちらも左に振られているのは右はリードギターに譲っているためです。

で、重ねるとこうなります。

まあ、正直あまりわかりませんね。ダブリングの方法としては用意した2つの音源を完全に左右にキッパリ分ける方法もあり、その様にした場合はよりわかりやすいかと思います。もう一つ、同じ音のパンに差をつける理由として、人の耳は左右で同じ内容を演奏されていてもイコライジングが異なるとステレオ感を覚えるためです(浅い知識で調べたところその様な説明があり、しっくりきたので採用)。従って左はミッドを削ってハイをブースト、右はミッドをブーストしハイを削るといったイコラジングをすると良いとかなんとか。確かに全く同じ音を鳴らすよりはステレオ感を得られます。言い換えるとサウンドの違うリズムギターを同時に鳴らしパンを振ればまあまあステレオ感が得られるだろうと言うことです。まあ実際のところはプラシーボ程度に思っていますが、2で説明した音色に差をつける部分でより大胆に差をつければ理解できるかと思います。

補足(ギター自体の音作りについて)

おおよそ上記の通りに行えば目標とした音が出ますが、その前にギターの音が整ってないとそもそも無理があります。求める音次第ですので、事前にこういう音を準備しようとは言えないのですが注意点としてはギターのイコライジングです。ディストーションギターの美味しい低音は個人的には100Hz辺りにあると考えています。問題はこのエリアがキックやベースと被るんです。なのでキックとかに帯域を譲るとコシの無い音に成る、かと言って削らないとモコモコするというジレンマです。これはご自身の曲にあった最適ポイントを見つけるしかないかと思います。オケを鳴らしながら徐々に削ったりして自分を信じて判断しましょう。

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また、上のEQのスクショは本稿で例としてあげたリズムギター1の実際のイコライジング状態です。なんとなくボーカルの抜けが良くなる気がして、MS処理でサイド側の中音域はブーストしてますがミドル側の中音域は減らしています。これはまあ好みでしょうか。正直自分のイコライジングの仕方はあまり良くないだろうなあとなんとなく思っていますが、今のところこんな感じです。あとはステレオイメージャーを使ってわざと音を少し浮き気味にしたりしています(これがデジタルっぽく聴こえる理由ではと割と考えています)。個人的にはストレイテナーのTITLEの頃みたいな音になったなと思っています。ギターの音作りの参考になれば幸いです。

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