廃病院パーティーの話①
僕には誇れることがあります。それは音楽フェスティバル『廃病院パーティー』を主催開催したことです。
このフェスは、東京は初台の廃病院で2013年〜2019年にかけ4度に亘り開催したもので、地下室や病室、ICUなどをライブ会場にし、病室などでお化け屋敷、落語、授業、現役格闘家やトレーナーによるマッサージ(なぜかプロレスの覆面を被っている)などが同時進行で行われるというもの。
その他にも仮装コンテストやプレゼント交換会、フェス主催者による公開対談を行ったり、コスプレイヤーが会場の至る所で遊んでいたりと、自分で言うのもなんですが稀にみるほどカオスで楽しいフェスになったと思います。
公言はしていませんでしたが、廃病院パーティーには2つの目標がありました。ひとつは、スタッフに遊んでもらうこと。もうひとつは、お客さんの顔が見れるフェスにすることです。
上記の目標は、以前に共同代表を務めたとあるフェスの反省に基づいています。そのフェスはサッカースタジアムという大きな会場でたくさんのお客さんに集まってもらい開催しました。
ボランティアスタッフさんの管理が上手くできず、ひとりの女の子にずっと出演者駐車場の番をさせてしまいたした。引き継ぐスタッフが来なかったんですね。真面目な彼女は、休憩もせず、ライブも見れず、ずっと駐車場の番をしてくれていました。
これを後で知った時、僕はこのフェスは正直失敗だったと感じました。成功だったと言える要素はたくさんあったものの、僕はそう感じざる得なかった。
その反省から、廃病院パーティーではスタッフに「遊んで」とずっと言い続けました。そして彼女/彼らは僕の期待に見事に応えてくれました。医師や看護師などの格好に思い思いにコスプレし、仮装コンテストに出場し、泥酔しない程度にお酒を飲み、ライブを見たり、お化け屋敷や落語や授業なども楽しんでくれたと思います。もちろん受付やアーティスト誘導などの仕事をしてもらいながらですが、スタッフが遊んでる、なんならイチバン楽しんでるフェスにできたかなあと思っています。
もうひとつの目標「お客さんの顔が見えるフェスにする」ですが、大規模な会場で、たくさんのお客さんが来場するフェスでは、どうしてもひとりひとりのお客さんが楽しんでいるか、つまらなそうにしているか僕にはわからなかった。
前述のスタジアムでのフェスでは、業務に奔走し、気づいたらフェスが終わる時間を迎えていました。お客さんの顔を見る余裕はまったくなかったです。
僕はこれをとても残念に感じました。お客さんの笑顔を見ることは、主催者の喜びであり、やりがいであり、醍醐味であるのに。もう大規模フェスはやめようと思いました。実際にやめました。
廃病院パーティーは1回につき350人くらいのお客さんに来てもらいました。フェスの集客数としては最小の部類でしょう。その代わり、ちゃんとお客さんの顔を見ることができました。帰っていくお客さんとハイタッチをしたり、喫煙所でたまたま話しをしたお客さんが次の回でキュレーターになってくれたこともありました。
これはフェス当日の話しではないですが、宣伝のためにとあるアイドルのライブの後にフライヤー配りをしていたら、そのアイドルのファンの方が「フニャ院長ですよね。手伝いますよ」なんて言って僕の手元からフライヤーをごっそり持って行って配ってくれたこともありました。
つまり僕からお客さんの顔が見えるということは、お客さんからも僕の顔が見えていたわけです。汗をダラダラかいて、準備の疲れで目やにだらけの目をして、でもめちゃ楽しそうにしてる僕を見てもらえた。話すことができた。
もちろん廃病院パーティーでも反省点は多々あったし、まったくお金は稼げなかった。でも僕はすごく楽しかったし、開催できたことが誇りになり、ちょっと大袈裟ですが、生きる上での自信にもなっています。
ちなみにですが廃病院パーティーは「気の弱い僕たちのためのちょっと悪ふざけパーティー」というサブタイトルが付いていました。まったく浸透しませんでしたが(笑)。この話もいつか書けたらと思っています。
下の動画は第3回目の様子。韓国のYouTuberさんが撮影してくれました。
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