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旧司法試験 刑訴法 平成12年度 第2問


問題

被告人は、「X日、Y町のA方において、同人の高級時計を窃取した。」として起訴されたが、公判では、「その時計は、そのころ、同所付近において、知人から、盗品であるかもしれないと思いながらも5万円で買い受けたものである。」と主張している。証拠調べの結果、裁判所は、被告人の主張どおりの事実の心証を得た。
1 裁判所は、窃盗の訴因のままで、盗品の有償による譲受けの罪で被告人を有罪とすることができるか
2 窃盗の訴因のままでは有罪とすることができないとした場合、裁判所はどうすべきか

関連条文

刑訴法
1条(1編 総則):この法律の目的
256条3,6項(2編 第一審 2章 公訴):起訴状、訴因、罰条
312条1項(2編 第一審 3章 公判 1節 公判準備及び公判手続):起訴状の変更
刑訴規則
208条(2編 第一審 3章 公判 1節 公判準備及び公判手続):釈明等
刑法
235条(2編 罪 36章 窃盗及び強盗の罪):窃盗
256条2項(2編 罪 39章 盗品等に関する罪):盗品譲受け等

問題文の着眼

窃盗と盗品有償譲受の相違、非両立性

一言で何の問題か

訴因変更の必要性(要否)と許容性(可否)、求釈明、訴因変更命令義務

答案の筋

1 窃盗罪の訴因であるが心証は盗品等有償譲受罪であり、罪責が異なる以上、審判対象画定に不可欠な事実に変動が生じているため訴因変更を要する
2 「公訴事実の同一性」が認められて訴因変更が許される場合、訴因変更の求釈明ができるが、訴因変更命令を下す義務までは負わない。仮に命令がなされても検察官が応じない場合は無罪判決とせざるを得ない

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