旧司法試験 刑訴法 平成21年度 第1問
問題
警察官Aは、振り込め詐欺事件に関与した疑いの濃厚な被疑者甲について、銀行の現金自動預払機から現金を引き出す際に防犯ビデオカメラに写っていた犯人との同一性を判断するため、甲宅前路上から、同宅2階の居室を監視し、その窓のカーテンを開けて甲が窓越しに顔を見せた際、所携のビデオカメラで、甲の容ぼうを撮影した。また、警察官Bは、防犯ビデオカメラに写っていた犯人の右手首のあざが甲にあるかを確認するため、甲が入ったレストランに客を装って入店し、かばん内に装備した小型ビデオカメラで、飲食している甲の様子を撮影した。
警察官A及びBの撮影行為は適法か。
関連条文
刑訴法
197条1項但書(2編 第一審 1章 捜査):捜査に必要な取調べ
218条1項(2編 第一審 1章 捜査):
令状による差押え・記録命令付差押え・捜索・検証
問題文の着眼
2階にいる被疑者を一時的にビデオカメラで撮影
一言で何の問題か
強制処分と任意捜査の限界
答案の筋
Aの行為について、外見上確認可能な身体的特徴の秘匿性は小さく、撮影による侵襲の程度は軽微であり、強制処分には当たらない。また、カーテンが開いていた場合、外部の通行人からも窓越しに観察でき、その限度でプライバシーに対する期待や要保護性は減少して、任意捜査としての相当性が認められるため適法
Bの行為は、誰でも立ち入ることができるレストランでの撮影であり、かばん内の小型カメラを用いた態様であり社会通念に照らして相当と認められ、任意捜査として許容されるため適法
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