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旧司法試験 刑訴法 平成12年度 第1問


問題

甲に対する覚せい剤取締法違反被疑事件に関し、同人方を捜索場所とする捜索差押許可状の発布を受けた警察官が同人方に捜索に赴いたところ、玄関が施錠されていた。そこで、証拠が隠滅されることを恐れた警察官は、「宅配便です。」と声をかけ、甲にドアを開けさせた。警察官は、甲に同許可状を示して捜索に着手したところ、その場に居合わせた乙があわてて退出しようとしたため、これを制止した上、乙の上着のポケットに手を差し入れて捜索し、ビニール袋に入った覚せい剤を発見したので、これを差し押さえた。
この警察官の行為は、適法か。

関連条文

刑訴法
111条1項(1編 総則 9章 押収及び捜索):押収捜索と必要な処分
112条1項(1編 総則 9章 押収及び捜索):執行中の出入禁止
218条1項(2編 第一審 1章 捜査):
 令状による差押え・記録命令付差押え・捜索・検証
219条1項(2編 第一審 1章 捜査):差押え等の令状の方式
222条1項(2編 第一審 1章 捜査):
 押収・捜索・検証に関する準用規定、検証の時刻の制限、被疑者の立会い、身体検査を拒否した者に対する制裁

問題文の着眼

宅配業者を偽っている

一言で何の問題か

・111Ⅰ前「必要な処分」
・場所に対する令状の効力

答案の筋

覚せい剤は小型であることが多く、証拠隠滅が比較的容易であり、これを防ぐため、噓をつきドアを開けさせた欺罔的行為は必要な処分として許される。
場所に対する令状の効力は居合わせた第三者の身体には及ばないのが原則だが、証拠物を隠匿していると疑われる場合は例外的に許される。

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