大阪メトロ御堂筋線・駅めぐり
今年5月、大阪の地下鉄1号線=御堂筋線が開通90周年を迎えました。
駅に置いてあるフリーペーパー「アルキメトロ」を読んでたら、無性に出掛けたくなりました。
実は御堂筋線には、全国・世界の人たちに自慢したい駅がありまして。
それは天井の高い駅たち。
大阪地下鉄生みの親・当時の大阪市長:関 一(せき・はじめ)氏の先見の明が今も活かされていると言えます。
改札を入り階段を降り始めた時に見える風景、そのインパクトの大きさは21世紀の今も自慢できるものです。時々訪れる東京でも見る事の無い広々とした地下空間!いや、ニューヨーク地下鉄でもこんな駅は無いと思います。
近年は、90年を経て老朽化した各駅のリニューアル工事が進められていますが、今回は、そんな広々した駅の数々を訪ねて写真を撮ってきました。
◾️中津駅
開業は昭和39年(1964)なので新しい部類ながら、以前は薄暗い不気味な駅として悪評でした。それが2020年、フルリニューアルされ、明るい駅になりました。
ホーム上部の天井はそれほど高い訳では無いのに、線路上部にまで届く照明のおかげでとても高く見えます。
◾️梅田駅
開業以来90年、不動の地位を誇る大阪地下鉄最大のターミナル駅です。
開業当初から大きな駅だったものの、それを上回る利用客の多さで、昭和の頃から常に大混雑が問題でした。そこで1989年、島式一面のホームを東側へ拡大、大リニューアルを行いました。
この為、北行は従来のドーム状ホームながら、南行は天井の低い通常の駅となっています。北行ホームと南ホームは数ヶ所の通路で繋がっています。
巨大モニターは折角のドーム天井の美しさを壊しているものの、インパクトは大!最も利用客の多い南改札側なので、広告効果は絶大なんでしょうね。
◾️淀屋橋駅
梅田から南へ1駅。
江戸時代から蔵屋敷が立ち並び、ずっと大阪ビジネスの中心だったエリアです。
まだリニューアル工事の「掛かり」なので薄暗さは否めない。その分、昭和の時代の雰囲気を少し感じられます。
と、ココでお気付きでしょうか?
ドーム天井のメイン照明。実はシャンデリア状ですが、使っているのは普通の蛍光灯です。何本もの蛍光灯を組み合わせてキラキラしたシャンデリアを思わせるデザインに組んであります。アイデア勝ちですね。
◾️本町駅
こちらも淀屋橋から続くビジネス街。そして繊維問屋が集まる船場のど真ん中という事で、常に活気有る駅です。
関一市長が折角作った立派なドーム天井なのに、淀屋橋駅も本町駅もその半分ほどは混雑緩和の為の連絡デッキが作られていて残念です。まぁそれだけ混雑が著しいのも確かです。
◾️心斎橋駅
キタの玄関:梅田駅から3駅。ミナミの玄関として90年前開通時に開業した南端の駅でした。駅から上がれば大丸百貨店、南へ歩いて数分で道頓堀へも行ける、今も昔もショッピングとエンタメへの期待が高まる駅ですね。
今年春、リニューアル工事が完了しました。まだ工事の本格化がこれからの淀屋橋駅と対照的に、明るく気品のある美しい駅となっています。
ホンマ清水さん、関さん、おおきに。
◾️大国町駅
はい。ひと駅飛ばしました。
なんば駅は、地下鉄心斎橋開業2年後に延伸されましたが、当初からドーム天井では有りませんでした。昔も今も、人が多いのに天井も低く、落ち着かない駅です。
一方、なんば延伸の3年後(昭和13年(1938))に開業した大国町駅は、天井が高く作られました。4年後開通する四つ橋線との連絡駅として二面四線で有る事から、パッと見て広々感じる駅です。
昭和のまんまの薄暗さなので、こちらも早くリニューアルして欲しいですね。明るくなれば、実際よりもっと天井を高く感じられる筈ですから。
◾️天王寺駅
またひと駅飛ばしました。
実は、動物園前駅もリニューアルの最中。今回のテーマ(高い天井)とは違い、近くの天王寺動物園にマッチする『自然』をテーマにした工事が佳境です。完成した時、改めて紹介したいと思います。
さて、そして南大阪の玄関口:天王寺駅。こちらはリニューアル工事が始まったばかり。しかし、貴重な昭和の面影が残っている今、記録しとかないと。。。って事で。
そうなんです。
心斎橋駅とは対照的に、天王寺駅のリニューアル工事は、昔から有る意匠は無視されるようなのです。
出来上がれば美しさに感動するんでしょうが、昭和民のオッチャンには残念で。子供の頃から親しんだ意匠が残ってるウチに記録したくて、今回撮影しました。
◾️まとめ
この昭和前期に作られた御堂筋線の各駅は、それぞれに凝ったデザインで作られました。それ以降の路線、駅は、実用性重視で何処も似たような低い天井でアッサリしたデザインばかりで作られたので、子供の頃(昭和40〜50年代)から御堂筋線に乗るたびに、ワクワクして窓の外を見ていたものです。
鉄道デザインというのはなかなか難しいもので、多くの人が利用するからこそ、奇抜なものは受け入れられにくい面が有ります。とはいえ、パッと見て何処か?判別付く特徴というのも大事です。例えば、ウトウトしていてハッと目を覚まして外を見る!って経験無いですか?駅名標を見ずとも一瞬見たら、何処の駅か?分かる事って必要です。
それはホームの形状、屋根のカタチ、階段の位置。。。色々考えられますが、それをトータルにデザインする事の大事さを、90年前に手掛けた関市長たちは分かっていたんでしょうね。
「アルキメトロ」特集記事によると、当時は駅ごとにホーム壁面が色分けされていたそうです。
梅田:イエロー
淀屋橋:水色
本町:小豆&グリーン
心斎橋:ピンク
正に一目瞭然ですよね。
まぁそんなにアイドルの推しカラーみたいな派手さは要らないでしょうが、そういった工夫は忘れちゃいけない事だと思います。
そしてインバウンドが戻ってきた今だからこそ、日本語が読めなくても一目で分かる鉄道デザインは必要な時代だし、今回の心斎橋駅リニューアルを見ると、今後の各駅デザインもきっと素敵なモノになりそうな気がします。
「オーサカのサブウェイ、ヒトがイッパイで疲れたけど、どのステーションもビューティフルだったネー。ウチのマチにもあんなステキなトレイン、ステーション欲しいネー」なんて感じて欲しいアルよ。
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