見出し画像

ドイチより無事帰還

ドイツへの弾丸ひとり旅から無事帰還。最後の最後に疲れて免疫が落ちてるところに何かを拾ったらしく、惜しくもゴール寸前で何らかのウィルスにかかりました。

翌朝起きれず、楽しみにしていたお呼ばれもホームパーティも泣く泣く中止。ひたすら寝る→レモンとグレープフルーツをを怪獣のようにかじる→寝る→梅干しと生姜と醤油のお白湯を飲む→寝る→蜂蜜レモン生姜を飲む→寝る、を繰り返しています。すごいねー。病気、久しぶりになりましたが、こんなに体が柑橘を欲するとは。あと欲しいのは大根と蓮根だけど、これもう永遠の悩みだな。早く育てないと。

ベルリンへの道中は、何らかの力が働いて電車のトラブルが続き、ダウツブルグでそろそろ諦めて引き返そうかな?と思っていたら、結局電車は来て私をベルリンまで運んでくれた。

4年ぶりに訪れた街は、都会!という印象で、こんなだったっけ?と面食らった。疲れていたので日登美かあちゃんにお供え物渡すだけにしようと思ったのに、蚤の市が想像以上に楽しく、箱と家具を見ていたら沼にはまりあっという間に一日が終わっていた。

オランダから行くとドイツは改めて広い。端から端まで、6時間半。遅延に巻き込まれると10時間。そこからデュッセルドルフへは5時間。

最終日ホテルのチェックアウトが12時だったので、あれ、行けるかも、と中央駅からてくてく歩いてMimi fermentsさんに行った。

新しい工場は、入った瞬間にパン屋さんの匂い。いい匂い!とはしゃいでいたら、向日葵の種を今煎っているのでその匂いなのだそうだった。電車の時間が心配だったのでせわしなかったけど、マーカスさんとれいこさんとの再会を果たし、どぶろくをごくごくとそこで頂き、お土産のお味噌を買い、電車に飛び乗ってデュッセルドルフへ。やっとのことで春菜さんに会えて、あれこれ甘やかされ、夢のようなデメターの畑に連れて行ってもらい、預けていた種麹も無事受け取った。

私は、いつもどこへ行っても甘やかされている。優しくしてもらうと、ほろほろほどけていく。ふたりが撮った写真の中の私を見ると、びっくりするくらい安心して緩んだ顔をしている。

この一年の間で、瞼の裏に浮かぶ顔がずいぶんと減った。

過去一年を振り返って、少しでも弱音を漏らしてしまった相手には、後悔しか残っていない。中途半端に打ち明けて元気になるのを待たれてしまうくらいなら、初めから終わりまでごまかしておけばよかったのだ。
真実を知る覚悟も責任もあるのは、自分だけなのに、なんて愚かだったんだろう。

でもそのおかげで踏ん切りもついた。このまま、運んでいくしかない。

そう思っていた矢先に、ぶつけられた清らかさに、一瞬覚悟が揺らぎそうになった。誰も得しない、こんな情けない話を思わず打ち明けそうになった。

話してほしい、と言われて、じゃあいつか、と言った時。例えようもない安堵感と罪悪感のようなものがどっと背中から流れ落ちた。

話せたら、誰かに理解してもらえたら、どんなに楽になれただろうか。

言葉が消えてしまってから、もうずいぶんと時間が経つ。このまま、一文字に口を結んだまま、水の流れるこの場所で、わたしは手だけをせっせと動かしていく。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?