夢の日記

結構前のやつ。
起きた直後の夢のメモと、それを元にきちんと書いたもの。

死ぬのがわかっている 踏切を通る ほつれている 壊れる 手を繋いで 走る 暗くて見えない だから死ぬんだ、と私はわかる、 こわくなる、焦っている 寒い だから失敗するんだよと言われる


私は彼女が近い未来死んでしまうことを知っていた。近い未来とは今日中とか、今週中とか、そのぐらいの近い未来のことだ。だから私は彼女に手を引かれて走っている間、彼女の掌のじっとり湿っているのを「もうすぐに乾燥してしまうもの」として慈しむような感じだった。踏切は間も無く閉じてしまう。とにかく走って、走って、踏切を抜けるが、振り返ると線路への侵入を阻むフェンスは次第にほつれていっていた。彼女はそれに気がついているのかいないのか、さらに速度を上げてトンネルへ入った。トンネルの中は明かりがひとつも無い。暗くて周りがなんにも見えない。足を踏み出して地面を蹴るたびに体が空気をかき分けて頬やおでこが冷たく痛い。彼女の手だけが暗闇の中で頼りだ。なんとなく、だから死ぬんだなと思っていた。私は彼女の死だけは明確に認識している。怖くなる、焦っている。寒い、寒い、寒い。走りながら、私は彼女に何と伝えればいいのかを考える。どうすれば彼女の死を回避できるのか、と考えていると、「だから失敗するんだよ」と耳元で囁かれた気がした。

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