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消泡剤の基礎・仕組みについて

消泡剤の作用機構

【発泡とは】
液体が薄い膜になって空気を包むこと
→表面張力・泡の粘性などが泡の生成の重要因子となる。

【消泡剤とは】
対象液体の発泡を抑える薬品。
→泡膜の表面を部分的に不均衡な状態にし、泡を不安定化させる。

(破泡作用)
泡の表面は界面活性物質が疎水基を上面に出して規則正しく並んでいます。一方、消泡剤は親水性の部分と疎水性の部分が混在しているため、この物質が添加されると、泡表面の分子配列の一部は消泡物質に置き換わります。本来、泡の薄膜はある一定の厚さを保って非常に弾性的な性質を持っていますが消泡物質の侵入によって膜の弾性は失われ、膜厚は限界以上に薄くなり、ついには破泡します。

fig1.消泡剤による破泡作用

(抑泡作用)
消泡成分をあらかじめ発泡液に分散させておくと、液表面に並んだ界面活性剤物質の中に、消泡剤がその配列を乱すように割り込みます。さらに、液中の気泡が表面に出て薄膜を形成しようとした際に消泡成分が薄膜の安定化を阻害し、泡の生成を不可能にします。

fig2.消泡剤による抑泡作用

(脱気作用)
消泡剤成分が発泡液内部中の気泡同士をくっつける接着剤的な役割を果たします。接合された内部 気泡は一つの大きな泡となりその浮力によって液面に上昇してきます。小さな気泡の状態より大きな気泡の方がより速く液面に上昇すると考えられます。液の表面に出てきた泡は先に述べた2つの相互作用により破泡します。

fig3.消泡剤による脱気作用
  • 消泡剤の種類

    1. オイルタイプ
      鉱物油等に消泡成分を分散させたものです。特に表面の泡を速やかに破泡させる場合に適しています。熱にも強く、高温での使用にも耐えます。非常に安価です。欠点としては即効性はあるのですが、持続性が弱いことです。また、油性がかなり強いため、油浮きすることがあり排水用では河川などで問題になることもあります。

      活性剤タイプ
      界面活性剤の一種です。通常、洗剤などは親水性が高く、発泡性であるのに対して、このタイプの消泡剤は疎水性が高く油性です。水に入れるとある温度以上で白濁分散するため、自己乳化型消泡剤とも言われています。このときの温度を曇点(cloud point)と言います。有効成分が90~100%と高く、少量添加で高い消泡効果を発揮します。また、安定性に優れ長期保存が可能です。欠点としては、高価なことであり、添加量の厳密な管理が必要になります。また、被消泡液の温度が消泡剤の曇点以下の場合、消泡剤を添加することで発泡を助長する場合があります。


  1. 活性剤タイプ消泡剤の構造

    R:アルキル基 EO:エチレンオキサイド PO:プロピレンオキサイド n,m,a,b,c:任意の数

    上述した活性剤タイプの消泡剤の中でも特に代表的なものは高級アルコールにEO(エチレンオキサイド)、PO(プロピレンオキサイド)を付加させたものです。 (表中のエーテル型 R‐O‐EOn‐POm‐H に該当します)   EO、POの付加モル数を変化させることによりあらゆる発泡条件に最適な消泡剤を設計することが出来ます。 また、このタイプの消泡剤は脱墨剤、洗剤等の界面活性剤と類似の構造をしています。(単純に述べるとEO、POの付加モル数が異なるだけです。)そのため、消泡剤を添加して逆に泡立ってしまうといった現象が見られるのはこのためでもあります。

    エマルションタイプ
    消泡剤成分(高級アルコール、エステル等)を水に乳化分散させたものです。消泡剤としての機能を発現させるため消泡剤成分を水中に乳化分散させているためO/W型(オイルインウォータータイプ)と呼ばれています。被消泡液への分散性に優れ、系内への影響(サイズ度への影響等)も少ないとされています。また、脱気性にも優れています。欠点としては貯蔵条件に制約があることです。長期保存による増粘固化、分離により消泡性能が損なわれることがあります。この経時的品質劣化を防ぐために直射日光の当たらない屋内での保管が望ましいです。




    消泡剤の種類別の特徴としては、一般的にオイルタイプが破泡性、活性剤タイプが抑泡性、エマルジョンタイプが脱気性に優れていると言われています。しかし、各タイプ単独だけで泡を消そうとする場合、その特徴だけでは消泡剤として満足な結果を得られない場合があります。このような時には違うタイプの消泡剤を併用して使用して頂いたり、予め他の特徴も併せ持つ消泡剤を使用して頂いたりしております。

参考文献
https://www.nissin-kk.co.jp/product/syouhou.html#sh_03

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