電子書籍に掛かる費用はいくら?

紙に印刷をせず、電子データと言う形で書籍を配信する電子書籍は、登場以来「より手軽に本を楽しむ方法」として人気を集めるようになりました。

スマートフォンやタブレット端末が普及するようになって以来はそうした動きもさらに強まってきており、現在では出先にいながらにして最新の本を楽しむことが出来るようになっています。

電子書籍を購入するというような場合には代金を支払う必要がありますが、消費者の多くは「紙に印刷するわけじゃないから原価が安くなるはずなのに、価格が普通の本と変わらない」という風に感じています。

ではなぜそうなるのかというと、これには電子書籍マーケットでの配信にかかる費用が関係しているのです。

では電子書籍が配信される際にかかる費用とはどういったものなのかというと、費用の中でも最も多くなっているのがロイヤリティ、つまり書籍を出版する会社が受け取る利益です。

それぞれのマーケットによってその割合・比率は変わってきますが、日本国内でも最大規模のマーケットとなっているamazonの例を見ると、出版社は配信価格の35%、もしくは70%のどちらかの比率でロイヤリティを受け取ることが出来ます。

この二つのロイヤリティは設定する当たっての細やかな条件が異なります。

例えば70%のロイヤリティを使用する場合、出版社は多くの利益を受け取ることが出来るようにも見えますが、配信時には1MBあたり1円の配信コストが差し引かれることとなりますし、販売できる国も制限がかかります。

35%のロイヤリティを設定した場合には配信コストもかからず、あらゆる国に対して販売をすることが出来ますが、セール販売時などの価格決定権はamazon社に譲渡することとなってしまいます。

出版社としては電子書籍が一冊売れたという際の利益を通常の書籍が売れた際の利益よりも低くするということを好みませんから、受け取りたい利益、つまりロイヤリティにマーケットの取り分を上乗せした形で価格を決定するのです。

もちろんこれらのほかにも「書籍をスキャンして電子化するためのコスト」や「電子書籍を管理する社員などの人件費」なども費用として考えることは出来ますが、特に「マーケットにおける費用」としてあげられるのは、ここまでに挙げたような「ロイヤリティ」と「マーケットの取り分」ということになってきます。

一見すると原価の低い電子媒体が今日のような価格設定をされているのは、こうした事情があるからなのです。

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