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オンラインコンクールを開催するまでにやったこと

開催までの裏側

自分の備忘録として、また、オンラインでイベント開催をお考えの方への参考になるかとも思い、開催までにやったことを羅列していこうと思います。

新型コロナウィルスで弘前開催を断念

ゴールデンウィーク明けごろには通常の生活が戻るだろうと楽観的な予測をしていた私の憶測は見事に外れ、いろんなものを見直さなければいけないと気づいた2020年4月上旬。

その頃僕はライブ活動も、笛の指導もイベントもほぼキャンセルになり、今までのやり方を全否定されたような絶望的な状況でした。ほんと一瞬でここまで状況が変わるのかと現実が受け入れられなかった。
でもこんなところで負けてられない! アーティストたるものこんな時にみんなに勇気を届けるべきだと自分に言い聞かせ、今までやっとことのないオンラインレッスンやライブ配信、みんなと交流する飲み会の開催をし始めた頃で、サラ地からもう一度街を作り直そうとバタバタ動いてる頃でした。

6月27,28日青森県弘前で毎年開催のコンクールも中止の運びとなり、皆さんに中止の連絡や出場料の返金処理をし始めました。

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落胆の声が原動力

笛の講座やコンクールの中止の連絡は、お詫びも含めせめて直接お話したいと思い、僕が出場者へ電話で一件ずつかけました。

その中で多くの方から、
「色々イベントがなくなり、これを希望に笛を吹き続けてきたけど、仕方ないですよね。でも明日から何を心の支えにして生きたらいいのか。。。」
という落胆の声を聞いて、胸を締め付けられる思いと、このままではやっと盛り上がってきた横笛の業界がまた一気にトーンダウンしてしまうのではないかと心配になりました。

思い切ってオンライン開催しちゃう?

最終的にはノリです(笑)

ニューノーマルの時代を見据えると、もうここは清水の舞台から飛び降りる気持ちでオンラインコンクールやってみようと。

演奏を撮影した動画を事前に集め、こちらで編集したものを配信だったら簡単なんだけど、それだと出場される皆さんの緊張感がなくなってしまう。

なるべく弘前のコンクールに近づけたい。

ということでLIVE演奏を生配信する方法でやろうとヒラメキました。

笛を吹く方はもちろん、楽器を愛好する皆さんに新たな提案をできるかもしれない。失敗したらみんなに平謝りしよう(笑)

と、弘前でのコンクール参加予定者へオンライン開催の旨を伝えると半数以上が参加してくれることになりました。

みんなでコロナを乗り越え勇気を届けよう!

そんな思いが結集した感じがしてとても嬉しかった。

泣けてきた。



でも。。。

僕も含めオンライン配信ってどうやってやればいいのかよくわからないところからのスタート。

波乱含みの船出でした。

zoomを参加者と共有

コンクールの準備はGW前から参加者と始まっておりました。

まず行ったのがzoomを覚えること

私も含めネット配信って何者?って言う感じが大半の我々。色んな意味で絶望的(笑)。

なのでまずは自分が何度も配信をしてみて感覚を僕が掴むところからスタート。1ヶ月くらいは格闘してなんとかわかってきたので4月下旬から参加者へ今まで分かったことを共有開始。



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ニート。

ギャグにならないトークもしてました(笑)

1、zoomアプリの理解と配信設定の共有
zoomを使えるようにするところからのスタート。まずはネットへの抵抗を無くするために説明会と題してzoomミーティングを開催。
ぎこちなかった頃がもはや懐かしい。


2、zoomから出る音の検証実験会
少しづつみんな慣れてきてzoomへのログイン、iPhone、iPad、Android、pcからそれぞれ私が笛を吹き、どんな音で届くのかを聞いてもらう検証会を行い、自分でできる最良の音設定を考える機会を作りました。

音量テスト

3、ネット配信初心者でも使いやすい外部取り付けマイクとリバーブを効かせる為のミキサー兼オーディオインターフェイスの紹介と使い方の検証のため購入&使用感等のレビューをzoomでライブ配信

4、実際に配信してみよう

これでみなさん少しづつ前向きに捉えてくれるようになりました。

その後出場者の皆さんは情報共有をしながら機材をそれぞれ購入したりして音質を向上させていくのでした。


配信方法を検討

同時進行で多くの方に見てもらうためにzoomでの様子をyoutubeで配信する方法を模索したところzoom→OBS→YouTubeの方法を見つけました。

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やり方を学ぶのも兼ねて5月末に僕のオンラインライブを開催。このときはOBSの仕組みを詳しく知るために色々やってみました。(その時の映像は公開期間終了)

実際に自分でやってみてやれることと難しいところを精査し、配信内容の構想を練り、5月下旬から本格的に構築開始!

閲覧者を増やすためのアイディアをひねり出す

配信に向けて出場者の皆さんがこんなに前向きに取り組んでいるのに、閲覧者が少なかったらどうしよう。今年は全国どこでも祭りが軒並み中止でワクワクするものが減ってしまった横笛界隈。そこでお祭り感覚を味わう閲覧者を増やす3つの方法を考えました。


1,投票を視聴者にお願いする。

ファンが多いほうが勝つ。という問題があると認識した上で前向きに考えたところ、各クラスごとに2名選ぶという方法に至りました。これで自分の推し以外の方の演奏も聞いてくれると思うし、ファンが多いのも実力のうちというアドバンテージも丁度いい形で活かせるかと考えました。

2,出場者紹介動画を事前にUPしてお祭り感を演出

本番でも出場者が演奏前に紹介するための動画を事前に公開することにしました。視聴に繋がる動画がほしいのと、
事前に出場者にお見せした紹介動画サンプルは結構ぶっ飛んだものを作り、おもしろ動画になるように自然に誘導(僕は極悪人❤)
そしたら皆さんの能力が開花したのか、僕の予想の遥か斜め上を行く動画がずらり!作業手順は

1,出場者にそれぞれ10秒くらいの動画を撮ってもらう
2,ワクワクする&和のイメージのBGMを制作
3,それを25名分動画編集ソフトで編集

これだけで一週間(笑)でも、動画に一番ワクワクしてたのは作っている最中の僕だったに違いない。


全出場者ダイジェスト

これでかなり多くの方が「コンクールなのになんじゃこれ??」
って思ったらしい(笑)

3,演奏の間に入れるジングル動画を一般公募し、本番で放映

今回一番気をつけたのが、LIVE配信ならではな「出場者&配信元&お茶の間」の一体感。だから多くの方に当事者になってもらうことがオンラインコンクール成功のカギを握ると考えていました。

そこで演奏の間にちょいちょい「オンライン全日本横笛コンクール2020」というセリフの入った10秒ほどの動画を一般募集することにしました。するとこちらも尖った動画が集まる集まるv
なんと海外からも!!!
一例を紹介❤

もうこんなの真剣な演奏の合間に流れたら箸休め感半端ない!
=視聴者は2時間の演奏でも集中できる(コンサートやる時にいつも緩急の大切さを感じるのでこれは絶対いいこと)

面白く個性あふれる動画があつまったのは

もうこれはコンクールが格式高いものではなく、「お祭りモード」に入れたと手応えを感じた瞬間でした。

そして、香川県尽誠学園の和太鼓部のメンバーがオープニングアクトを飾ってくれることになり、益々お祭り感UP 

>>みんなでコロナを乗り越え勇気を届けよう!

当初出場を決断した多くの人と思い描いていたスローガンが達成できるような気がしてきた。


OBSでの番組構築が一番大変だった

一度オンラインライブで使用したとはいえOBS初心者の僕が25組の奏者とZoomで繋がりながら各奏者を紹介する動画を流したり、不測の事態に対応できる準備をするのは困難を極めました。

作ったシーン設定は100以上。

演奏者紹介の10秒位のうちに、

1、zoomで演奏する奏者をスポットライト設定

2、演奏者にミュート解除の要請と解除の目視確認

3、OBSで次の場面(演奏画面)の用意

を全て行うので、これ以上操作を増やさないようにしたら膨大なチャンネル数に。。。


加えて、いろいろな場面を想像し、その場面の音は配信に出すのか、モニターにだけ出すのか、会話がZoomだけに聞こえてYoutube にながれないようにするのか、という設定をすべてにしなければいけなくて、結局本選では紹介動画の音が出ないトラブルも発生。

出場者へとても申し訳ない思いでとっても凹んだけど、時間は待ってくれない。心を保ついいトレーニングになった(相当疲れた)。

支えになったのはチャットでの温かい応援メッセージ。

出場者にだけではなくて僕にまで応援が来たのは嬉しかった。

詳しい構築の内容をお伝えできると良いのだけど、説明が難しすぎて今回は割愛。感覚的にはホームページを100ページ作る感覚でした。

いつか上手にわかりやすく説明できるようになったら紹介したい。

本番当日の心配事項

いっぱいあったけど代表的なのを抜粋

1,配信が止まる:配信練習をwifiでしてたら途中で切れた。顔真っ青! すぐさま20mのLANケーブルを個人購入し、モデムから廊下を伝って配信場所まで有線ケーブルで接続。でもあの日の恐怖は本番当日も消えなかった

2,Zoomが切れる:参加者のネット環境で突然配信が止まったらどうしようと心配した。実際当日も事件発生!すぐ配信が戻るのか、切れっぱなしなのか、判断にできない状況に陥る。そんな時用のCMとアナウンス用のシーン設定、困ったときの特別審査員狩野先生(栃木県)とのトークを用意

3,音が出ない:音を実際に配信までに届けるまでに設定だけで選択4つほどあったので、どこかの設定ミスで演奏音がでない、BGMが流れないという事故への心配(演奏以外はたくさんやらかしました。反省)

4,出演者がいない:演奏予定の奏者がいなくて進行が止まってしまう懸念も。そこで呼び出し係スタッフを配置、近くなってもいない場合はZoomへの入室を促した。

5,不要な声が入る:これが一番怖かった。配信スタジオ(僕の自宅)でのやり取りの声とか、次の出番の方が自分の音のミュート解除をして演奏に声が入ったらすべてが台無しに。

実際本番演奏中にzoom上で起きた事件。次の順番の方がミュート解除を今するしないで口論してる。もしミュート解除すると口論が今演奏してる音と一緒にYouTubeに流れてしまう。不安は的中。演奏中に次の順番のサポートの方がミュートと解除ボタンを押してしまった!ヤバそうだとケアしてた分、ミュート解除の瞬間すぐミュートし直すという力技も数回行いました。演奏の裏で見えない戦いが行われていた。(笑)

(本来であればこちらからミュート解除申請をしないと解除できない設定すべきだったのだけど、本番に限ってうまく行かず心がすり減る結果に)

6,配信元のPCの負荷過多によるダウン:今回OBSで使った動画だけで70本、画像は約100枚それにZoomとOBSとYOUTUBE配信。
かなりパソコンには負荷がかかりずっとファンが回っている状況。いつ本格的に動画がカクカクしてもおかしくない中、祈るように動向を見守った。
外部HDDに重いものはだいぶ移したけど、それでも本体はギリギリだった。

7,演奏者が演奏開始カウントダウン映像が見えていない問題:これは本番中にわかったことで本当に青ざめました。スマホやタブレットの方はZoom上にカウントダウン担当の映像が出ていないらしく、映像が切り替わっても演奏が始まらない。 音声で「始めてください」の声にびっくりして慌てて始める方も。ここは双方準備が不十分だった。

段取りの重要性

ことわざで「段取り八分」と言いますが、オンラインライブ配信は「段取り九分」いやそれ以上でした。

最初にフォーマットを作ること、配信サイズを設定すること、飽きない内容にするために演出を考えること、生放送時は、裏方との連携が必須なこと。

反省点も多々ありましたが、今回の経験はのちに大きな実りに繋がると思いました。
↓こんなところで配信してました。


どんな配信になった?

御覧くださいな

2020年6月27日

エントリークラス(キャリア六年未満)

一般クラス予選(オープン参加)

初日結果発表


2020年6月28日

一般クラス本選

結果発表


今後のウィズコロナ時代には必要な選択肢なのだと思うので、今後も勉強していきたい。

最後に

最終的に盛り上がるかどうかは出場者に掛かっていることを最後に書かせてほしい。いくらいい感じで配信準備しても奏者の熱がお茶の間に届かないと感動は伝わらない。

今回盛り上がったのは奏者の熱があったからこそ。

出場者のみなさん、審査員の狩野せんせ〜、スタッフみんなお疲れさまでした。





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