趣味だった演劇が僕の観光ガイドの仕事を支えている、というようなこと。

今の僕は、仕事で観光ガイドのようなことをしている。元々「編集者・ライターとして」旅行業の仕事に就いたつもりだったが、いつの間にやら地元の人と協力して観光のプログラムをつくり、自分でもガイドをするようになった。
最近では観光ガイドをする機会が非常に多くなってきていて、お客さんからの反応もとても良く、自分で言うのもなんだが、わりと人気のガイドになってきたようだ。

僕は学生時代、小さな演劇サークルに所属していた。最初は役者をやっていたけれど、演出や脚本にも興味が出てきて、最後の卒業公演では無謀にも「脚本・演出・主演」に挑戦したりした。

今、ツアーやプログラムを企画し、試行錯誤してブラッシュアップして、当日のガイドも担当したりしていると、ふと、「あ、これって、脚本・演出・主演みたいだな」と思う。特に、出演しつつ演出をするという「主観と客観の視点を同時にもつ」みたいなことは、今の役割にも間違いなく活かされている。

もちろん、学生時代に演劇をやろうと思ったとき、「将来の仕事の役に立つように」なんてことを考えたことは欠片もなかった。それがこんなふうに巡りめぐって、今の僕のスキルになっているのだと思うと、本当に不思議な気持ちになる。

「人生に無駄なことなんて何もない」なんていう格言は、さすがにキレイゴトだと僕も思うけれど、「何が役に立つかはそのときになってみないとわからない。だから、興味を持ったことはなんだってやってみればいいのだ」というような教訓は、次の世代の人たちに、身をもって示せるかもしれないな、などと思う。

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