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『ちっちゃな王子さま』(超意訳版「星の王子さま」)

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『星の王子さま』で知られる、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの「Le Petit Prince」の新訳。逐語訳や直訳にこだわらず「今のこどもや若者にもすっと通じることばで」新…
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2020年4月の記事一覧

ちっちゃな王子さま(超意訳版『星の王子さま』) vol.1

ちっちゃな王子さま(超意訳版『星の王子さま』) vol.1

まえがきへ

レオン・ウェルトにささげる この本は、ひとりの大人にささげるよ。
 こどものみんなには、そのことをゆるしてほしいんだ。これにはちゃんとした理由があるんだから。
 まず、その人はぼくの世界でいちばんの親友だ。それから、その人は大人だけど、こどものための本だってちゃんとわかる人だ。そして、いちばん大事なもうひとつの理由は、彼が今、戦争まっただ中のフランスにいて、飢えと、寒さに苦

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ちっちゃな王子さま(超意訳版『星の王子さま』) vol.2

ちっちゃな王子さま(超意訳版『星の王子さま』) vol.2

Ⅲ その子がいったいどこからやってきたのかを知るためには、ずいぶんと長い時間がかかった。この王子さまときたら、ぼくにはやたらとたくさん質問をするくせに、ぼくからの質問はぜんぜん聞いちゃいなかったんだ。だけどそれでも、ふいにこぼれた言葉のかけらをつなぎ合わせて、少しずつ少しずつ、すべてのことが明らかになっていった。
 たとえば、初めてぼくの飛行機を見たとき(飛行機の絵を描くのはやめておくよ。ぼくには

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ちっちゃな王子さま(超意訳版『星の王子さま』) vol.3

ちっちゃな王子さま(超意訳版『星の王子さま』) vol.3

Ⅴ ぼくは毎日新しく、王子さまの星のこと、旅立ったときのこと、そして王子さまの旅のことなんかを知っていった。王子さまがぐるぐると考えているのにあわせて、ぼくの頭の中でもだんだんとあいまいだったイメージが鮮やかになっていったんだ。
 3日目にぼくが知ったことは、「バオバブの恐ろしさ」についてだ。きっかけはやっぱり、ヒツジの話だった。ちっちゃな王子さまは、真剣に思いなやんだ表情で、いきなりぼく

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「ちっちゃな王子さま」(超意訳版『星の王子さま』)について あるいは「まえがき」

「ちっちゃな王子さま」(超意訳版『星の王子さま』)について あるいは「まえがき」

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「ちっちゃな王子さま」は毎週土曜日の朝9:00に更新「ちっちゃな王子さま」は、フランスのアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリが1943年に書いた小説、Le Petit Princeを文月煉が独自に翻訳したもの。
(2020年現在、日本国内でのサン=テグジュペリの著作権は失効しており、Le Petit Princeはパブリックドメインとなっているため、自由に翻訳・出版することができる。)

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