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人と場所の関係を豊かに語る

大学時代の恩師である鈴木毅先生の最終講義に参加してきました。
タイトルは「人と場所の関係を豊かに語る」
私みたいな教え子だけではなく、教育者、設計者など様々な人が参加していた。
先生が長年積み重ねて来られた関係がそこに凝縮されているような講義空間だと感じた。
「狭いですけれど、大きな講義室ではなく親密に話がしたい」という場所選びのコンセプトにも先生の人柄が出ていると感じました。
先生の経歴を一気に聞くことができたのはとても勉強になり、特に先生の問題意識の部分をしっかりと聞くことができたのはとても良かった。

先生の問題意識

・建築計画における人間と建築の関係モデルが貧弱すぎないか、人間はその程度か

・空間認識の発展

・3つの立場、建築研究者・環境心理研究者、生活者としての視点から語る

・専門家でない人が発する言葉の方が場所を鋭く表現する。

「居方」

人間がある場所に居る様子や人の居る風景を扱う枠組み

人と人、モノとモノの関係は多重である。
人の居る情景を語る「言葉」を増やす。公共的空間を表現する「にぎわい」以外の言葉を

他者の居方は環境認識の材料である。

居方についてのこの記事は読み返すたびに発見がある。
http://osoto.jp/howto/index.html

https://newtown-sketch.com/blog/20230115-33471

「生態幾何学」

JJギブソンの生態幾何学論を用いた空間評価の研究
止まっている状態では奥行きなどは感じられないけれど、動くことで空間同士の相対関係から奥行きなどが感じられる。

とても興味深いがキーワードが並ぶ
建築とまちのダイナミックタッチ
手ごたえのある空間
動くことで認識される空間

「当事者」

建築計画の前提を再検討する必要があるのではないか、という問題提起があった。
こういう空間を準備すればよいという考えで専門家が建築を企画・計画してきたけれど、主体的に場所を設え、営む人たちが現れてきている。

主がいることが大切

「ディスカバー千里」

千里ニュータウン研究・情報センター(ディスカバー千里)の活動ではニュータウンの歴史と価値を発見するために、調査・研究、アーカイブ、デザイン、情報発信などの活動をされている。
改めてディスカバー千里の話を聞いて、地元にもあてはまることがたくさんあると感じた。特にアーカイブと情報発信について、未来にまちの魅力を伝えるために今できることはたくさんあるように思えた。講演後に購入した絵はがきを見ながら、これは他の地域でもできることだなと感じていた。(表現が絵はがきでなくてもよいが、まちの風景を伝えることは
https://discover-senri.com/

私みたいな不出来の教え子が簡単には語れないのだけれど、先生はとことん「リアルな人間とは?」という問いを持っていると改めて思いました。建築は重厚長大な側面をどうしても持ってしまうので、研究者であれ、実務者であれ、それを作り出すために設計者、計画者、観察者の目線つまり上からの目線になりがちだと思う、それをいかにその空間を使う人の目線でみるか、しかし生活者としての目線だけではよい空間の未来は語れない、研究者・計画者の目線を同時に持つことで、よりよい空間を目指していく、当たり前のことかもしれないけれど、とても大切なことに改めて教えていただいた。先生に教えていただいたことを実践するのが教え子の役割だと思うので、背筋を伸ばして、でも先生のように柔らかいスタンスで自分のできることをやっていこう。


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