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四国水族館

建物の印象

あまり大きくない規模なので四国の人が訪れる場所として定着するような気がする。兵庫県民しかわからないけれど須磨水族館と似た規模感を感じた。海に面する立地は水族館としてはセオリーだろう。風が抜けて気持ちがいい季節だった。
夏休みでなかったこともあるのかもしれないけれど、開館時間30分後に訪れたけれど、そこまで人が多い感じがしなかった。大規模施設であればどっと人が押し寄せてすぐにグッタリしてしまうところだろう。
建物は本棟とイルカ棟に分かれていて本棟に隣接して屋外施設がある。本棟とイルカ棟の間に大屋根が架けられ、そこが屋外のエントランスホールのような役割を果たす。外観では大きな屋根下空間のように見えるのだけれど、入ってみると規模に見合ったスケール感だなと感じた。
エントランスに面してショップがどんと見ている雰囲気は私は好きではなかった。水族館は窓がないので、開放的にできる部分を正面にもってきたいということもあったのかもしれないが、入館する前に多くのグッズを目にするのは良い感じがしなかった。

https://www.mapple.net/original/202787/


サインと平面プラン

イルカプールが海に開いているのがとても良かった。海をバックにイルカショーが見れる。ここも小さいスペースなのでショーと観客が近く、小さなイルカでも迫力がある。
展示室で印象的だったのは、サインの情報がとても少ないことである。各水槽には〇〇景と魚名一つだけが記載されるのみで、補足的な情報は飼育員さんの手書きによる黒板が各水槽前に置かれていた。部分的にサイネージで対応しているところもあったが、ほとんどは手書き黒板である。飼育員と来場者が近い感じがした。
平面プランは階段やスロープの縦導線が多く取られていて、それを介して瀬戸内ゾーン、深海ゾーンなどが分かれているので、一筆書きの動線ではなく、好きなところを回れる。来場者を多く捌くためには、非効率な動線であるが、来場者が多すぎなければ選択肢が多くて良い。バックヤードの取り方なのかもしれないが、展示場内に飼育員さんの姿が見えるのが印象的だった。アザラシの世話をする道具が隠されずに見える場所に置いてあったりする。スペースの関係もあるのだろうが、こんな部分にも飼育員と来場者が近い感じがした。

地方の水族館

水族館はレジャー施設か、文化施設かという取り方も関係するかもしれないが、地方のレジャー施設として、いい場所になるような気がした。観光地として多くの来場者を見込んでも、それが当たるかはわからない。もしこの規模感で地元や四国周辺の人たちを主なファンとして、きちんと維持管理をしていければ、しっかりとファンはつくのではないだろうか。
子連れの方にもそうでない方にも私はお薦めしたい。
外から多くの人を呼ぶこともとても大切だと思うけれど、建物が愛されることは長期戦である。長期戦を戦い抜くにいい規模感であったかそうか、10年、20年後この水族館がどうなるか、比較的近くに住むファンとして見ていきたいと思う。

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