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設計ツールと協働

建築設計においてやり方は本当に色々とある。設計の目的はいい建築を実現することであり、ツールはその手段でしかないと思う。だが、どんなツールと手法で設計するかによって結果が変わってくるのも事実だと思う。前回書いた地方建築士の協働においても設計ツールがとても重要な役割を果たしていたし、これから続けていくのならそれがとても大切になる。
建築設計はお客様との協働でもある、設計過程でいかに具体的にイメージしてもらい要望や意見を出してもらうかということが大切だと考えている。これは設計者によっていろいろな意見があると思う。
具体的に言いたいのはBIMをどう使うかということである。私もまだまだ完璧な答えを見つけられているわけではないけれど、設計をするのに便利なものであることは間違いない。それはあらゆることにAIを活用することにも少しだけ近いのかもしれない。
設計にBIMを使うことについてnoteしてみる。


イメージが共有できる

まず言えるのはイメージの共有だろう。常に3次元の立体が存在するので、お客様とも、設計者同士でもイメージを共有することがすぐにできる。設計者同士であれば図面やスケッチを使えば共有できるだろうという意見があるかもしれない、もちろんそれはそうなんだけれど、早いし簡単である。

とりあえずの図面にするが早い

これもイメージ共有に近いのだが、設計していると図面で確認したくなることは常にあると思う。この図面にするという行為が早い。というか立体を立ち上げると同時である。お客様との対話でもどんな感じの建物かは立体でもイメージできるが、どんな間取りでどんな部屋の大きさかということはやはり図面をみないとわからない。図面を細かく描いていくのはやはり時間がかかるがとりあえず描くのはとても早い。
手書きや2次元CADなどの2次元を描くツールしかなかった時は建物のイメージは設計者の頭の中にあり、それを表現するために図面やスケッチがあったと思うが、設計者のイメージをバーチャルで再現してしまい、それをイメージ共有し、解像度を上げるために図面があるという感じとも言えると思う。

検討中をデータに入れられる

設計が進むと、建物のある部分について悩むことはよくある。その検討をデータ化するときに上手いツールがないと、データを2つ作って、2つ開いてということになる。BIMはそれを1つのデータで行うことができるのでとても便利で、イメージの違いも共有しやすい。

データシェアの環境が整いやすい

データが一つであることでそのデータを設計者同士で共有しやすい。また今後はお客様とも共有していくことになるかもしれない。データが共有できるし同じデータを同時に編集する環境も整えやすい。
こうして改めて考えてみると、BIMは共有のためのツールとも言えるのかもしれない。かつて製図板に向かって手書きで設計していた頃(その時代を知らないので想像だが)は設計図はその人の手元に閉じていた。2次元CADが出てきても、その人のパソコン画面に閉じていることはおそらく変わっていない。設計に没頭することを否定するわけではないが、設計を開いていこうという何ともない要求がこうしたツールを進化させているのかもしれない。

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