『雨になり風になり』

窓を叩く雨粒を風が連れ去って行く。
彼らは何の為に生まれてきたのか。
人を、木々を、大地を濡らし世界を潤すため?
それとも自然界の掟に従っただけ?
川を伝い海に帰った彼らは飽きもぜずまた同じ事を繰り返す。
母なる海にして生命の起源。
おそらくこの先も続けて行くのだろう。
でもそれでいい。だってそれが正解なのだから。

それは私達も同じだ。
いちいち考える必要はない。
ただ従えば良いのだ。
誰かが作った社会のルールに。
どうせ誰かが消えても世の中は周り続ける。
だが、これだけは言える。
例え世界が滅びようとも自分という個性だけは残ると。

だってそうだろう。
俺達は一人じゃないんだ。
必ず誰かと繋がっている。
なら残るさ。
その人の心の中に。

そう考えると、
当てもなく生きて行くのも、
悪くないと思うんだ。

だからさ、俺達も、
時には雨になろう。
時には風になろう。
そして、人に戻ろう。
何かに怒っているように。

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