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【ネタバレあり】Kutulu公式シナリオ『見ると死ぬ鏡』セッションログ

※以降の文章には、Kutulu公式シナリオ『見ると死ぬ鏡』のネタバレが多分に含まれます。シナリオ閲覧済み・プレイ済みの方以外はブラウザバックを推奨します。


はじめに

 以下の文章は、2022年5月7日にクトゥルー神話をモチーフとしたTRPG『Kutulu』の公式シナリオをプレイした際のセッションログをまとめたものです。(公開にあたり、読みやすいように多少の修正を加えています)
 まだ日本ではルールブックの翻訳版PDFが発売されたばかりであり、リプレイ動画やシステム紹介の数も限られている為、賑やかしになれば良いなとい思い、一緒に遊んでくれたPLである友人達の許可を得た上でログを公開させて頂くことにしました。

 私自身も今回GMをやるにあたって確認したものはルールブックとシナリオのみである為、処理に幾つか誤りがある可能性があります。
 基本的には友達と楽しく遊んだ記録以上のものではないのですが、PCが恐怖小説の中にそのまま放り込まれたかのような体験のできるKutuluのシステムはとても特異で面白いものだったので、もしご興味があればお読み頂ければ嬉しいです。

 なお、今回公式シナリオのセッションログの文章での公開の可否について規約を見つけることができず悩んでいたところ、

 とても有難い事に、公式アカウント様より直接リプライを頂きました。
 
フットワークが軽い……本当にありがとうございました。


基本情報

システム:クトゥルフ神話系ミステリーホラーTRPG『Kutulu
シナリオ:カズま様/スタジオQNR作『見ると死ぬ鏡
使用ツール:CCFOLIA Skype 

GM:きつねもり(このnoteを書いている人)

PC1:坂上 群青(さかのうえ ぐんじょう) 小説家 男性 25歳 
PL:きゅーびさん
技能:弁舌4 家格3 射撃1 隠密2 敏捷2 筋力1 人類学&民俗学2 芸術&工芸2 犯罪学2 医学1 オカルト2 言語学1
キャラクター背景:自称病弱。グロテスクと耽美を追求した小説を書いているがなかなか理解されず、別名義で官能小説を書いている。

PC2:納戸 一郎(のと いちろう) 旧制中学校教師 男性 27歳
PL:萩原さん
技能:名声2 信用3 家格1 射撃1 白兵1 隠密1 敏捷2 筋力2 考古学&歴史学1 図書館&古文書学2 経済学&法学1 機械工学2 自然科学2 心理学2
キャラクター背景:健康的で力仕事も得意だが、子供や年下の相手をするが好きな教員。 薄給のためレース編みの内職をする器用さはあるが、婦人へのプレゼントに、相手が作るより上手いレースを贈ってしまうような男。

(※上記のPC1・2は、シナリオ内で便宜上振られている番号とは別のものです。当日のココフォリアの駒の並び順でした)


セッション環境について

 当日のセッションは、ココフォリアとSkypeを併用した所謂『半テキ』形式で行いました。
 そのため、ココフォリアから出力したログだけでは状況が判り難い部分に、当日PLとGMが口頭で交わした会話の概要を挿入しています。

 また、GMがKutuluの狂気の進行が数値ではなくPCに見えている世界の変容によってのみ表現される(=同じものを同時に見てもPCによって見え方が違う)システムに魅力を感じ、この『自分に見えているものがどこまで本当か分からない怖さ』をなんとかプレイ体験にも盛り込めないかと考えた結果、今回のセッションでは片方のPCしか知りえない情報は可能な限り秘匿機能でお渡ししています。


セッションログ

GM : 時は大正 2 年、長野県、遠退村。地元の名士であり名主の「左衛門」が亡くなった。
血縁にあたる PC たちは左衛門の蔵の整理を頼まれる。
そこで古びた銅鏡を見つけるのだが……。

 クトゥルーシナリオ「見ると死ぬ鏡」開幕です。

GM : 大正2年、7月6日。あなた達は親戚である徳造からの呼び出しで長野県遠退村を訪れていた。
目的は、納戸の祖父であるこの村の名主、左衛門の遺品整理だった。
先日亡くなった左衛門は、物を捨てるということができない男であった。 
そんな左衛門の性格をあまり快く思っていなかった息子――徳造は、当人が亡くなったこの機に、全てを一掃する心づもりでいるのだろう。

蔵の中の整理を任されたのは親族であるあなた達二人だけだが、外には幾人かの村人や下宿人がおり、あなた達が不要と判断したものを次々と運び出していた。

納戸 一郎 : 「これ捨てていいんだっけか?」

坂上 群青 : 「――ああ、暑い……(ぐうたらサボっている)」

納戸 一郎 : 大きな荷物をどんどん運び出している

納戸 一郎 : 「群青、休んでるのか?」

GM :納戸が外に運び出したものたちは、手伝いに来た村人達が大八車でゴミ捨て場へと運んでいく。
左衛門の収集品の大半は、虫食いが酷い書物や、錆びたり壊れたりした道具類だった。

坂上 群青 : 「いいかい君、こんな暑い日に働くのは蝉くらいのもんだ。まぁ君は蝉と同類かも知れないけどね」

納戸 一郎 : 「これも仕事だ仕事、ゴミでも運び出しの手間賃は出る。お前だって、お手当が出ないなら来なかったんだろう?」

坂上 群青 : 「問題ない。君が二人分働けば万事解決だ。僕はここで応援しているから頑張ってくれよ」

納戸 一郎 : 「給料さっぴくぞおい!」

坂上 群青 : 「ああ、でかい蝉が鳴いてるねぇ」

納戸 一郎 : 「まったく……」

📢(GM:これから私の方から都度秘匿を飛ばしていきます。秘匿でお伝えする情報は、他のPLに秘密にして欲しい情報という訳ではなく、『あなたのPCの持つ技能で分かった情報』『あなたのPCに見えている世界』を描写したものなので、積極的に開示して頂いて大丈夫です)

【秘匿】GM →坂上 群青 : 殆どがゴミに見える左衛門の収集品。工芸の知識を持つあなたは、これらの品物がどれも江戸時代やそれ以前のものである事が分かる。ゴミだけれども。

【秘匿】GM →納戸 一郎 : 殆どがゴミに見える左衛門の収集品。歴史の知識を持つあなたは、これらの品物がどれも江戸時代やそれ以前のものである事が分かる。ゴミだけれども。

納戸 一郎 : 「しっかし、ずいぶん古いゴミだな。どんだけ溜め込んでたんだ?」

坂上 群青 : 「……それにしても、いや、……あの爺さん、古道具屋に通う趣味でもあったのかい?」

納戸 一郎 : 「お、わかるのか? ふっるいよな、年代モンばっかりだ」

坂上 群青 : 「そうさねぇ。わざわざ古いものを買い付けるなんてとんだもの好きだ。だったら僕に小遣いの一つでもくれれば良かったんだよ」

GM : 片付けも大詰め。二人の……殆どは一郎のかもしれない働きにより、蔵の中は概ね見られる状態になってきた。

納戸 一郎 : 「はぁ……後でニィチャン小遣いでもやるから手伝ってくれ。運び出さなくてもいいから、値の付きそうなもんはないか?」

坂上 群青 : 「……ないね。あったらとっくにくすねてるさ」

納戸 一郎 : 「手癖が悪い!」

坂上 群青 : 「手練手管はお手の物ってねぇ。教えてやろうか? イチ兄ちゃん」

納戸 一郎 : 「はぁ~~昔はあんなに可愛かったのに……」

納戸 一郎 : 「こんっなにちっさくて、うちの生徒よりよっぽど可愛げがあったってのに」

坂上 群青 : 「ああ、僕をお嬢ちゃんだと勘違いして花を摘んできたころの話かい?」

納戸 一郎 : 「そうそう、その頃はもう可愛くて、うちの親までメロメロだったからなぁ。ってことでうちのお袋から青ちゃんに、土産のスイカがあるから、後で切ってやるよ」

GM : 開け放たれた蔵の入り口から、陰り始めた夏の日差しが差し込んでいる。光が届かず薄暗いままの蔵の奥の方で、何やら黄色い人影が動いている事に、あなたたちは気が付いた。

坂上 群青 : 「いいねぇ。今から井戸で冷やし、……ん?」

納戸 一郎 : 「ん? 誰だ?」

GM : 人影は、小さな子供のもののようだった。村の子供でも迷い込んだのだろうか。

坂上 群青 : 「――ガキは苦手だ」

納戸 一郎 : 「コラコラ、ここは危ないぞ、片付けの真っ最中だからな。用があるなら母屋にいってくれ」

納戸 一郎 : 「いつの間に紛れ込んだんだ?」

GM : 荷物の影に隠れていた影が、一郎の声に反応して姿を現す。

子供 : 「………………」

GM : それは、黄色い雨がっぱを着た小さな子供だった。子供は蔵の奥まった場所を指差すと、不思議な事にまるで闇の中に溶け込むように、すっと消えてしまった。

坂上 群青 : 「……――なんだ?(指さした方を見る)」

納戸 一郎 : 「おい、ちょっと(子供の姿を目で追う)」

納戸 一郎 : 「あれ、どこ行った? おい、群青そっちに子供行ってないか?」

坂上 群青 : 「さてね。座敷童かなんかだったのさ」

納戸 一郎 : 「座敷わらし、かぁ?」

GM : 子供が指さした場所には、綺麗な木箱があった。つくり自体は古めかしいものの、虫食いの跡や日焼けもなく、保存状態は良好に見える。

GM : あなた達が頼まれているのは蔵の整理だ。状態のどうしようもない物は捨てるように言われているが、まだ使えそうなものがあるのであれば、それは蔵に残すように言われている。

坂上 群青 : 「(歩いていって箱をじっと見つめる)珍しくまだ使えそうなもんがあるな」

納戸 一郎 : 「使えそうなもの?」

坂上 群青 : 「まぁ、それじゃ、給料分働きますか…」

📢(群青PL:箱を開けます)

GM : 箱を開くと、裏返しになった銅鏡と、かなり古そうな和装本が出てきた。

納戸 一郎 : 「(覗き込む)おお、形のあるものか?」

坂上 群青 : 「本、……どれどれ」

GM : 和装本の表紙には「志那都比古神熟饌儀」と書かれていた。

GM : あなた達は和装本を捲ってみたが、古いものであった為か、その内容を解読することはできなかった。

坂上 群青 : 「はぁ、分からん」

納戸 一郎 : 「古くて俺には読めないな。箱はきれいだから、値打ちものかも知れないが」

【秘匿】GM →納戸 一郎 :この村には蒜影神社という神社がある。左衛門の孫であるあなたは、村の古い記録などにも詳しい宮司であれば、この本の中身を読めるのではないか、という事を思い出すだろう。

納戸 一郎 : 「……そうだ、読めそうな奴がいたな」

納戸 一郎 : 「ここの近くの神社に宮司がいたはずだ。こういうものなら、そこで分かるかもしれないな」

【秘匿】GM →坂上 群青 :あなたには、本の内容を詳しく解読することはできなかった。ただこの本の表題が「しなつひこのかみじゅくせんのぎ」である事と、村の神事について書かれている事は、おぼろげに理解できるだろう。

【秘匿】GM →坂上 群青 : また、表題を正しく読むことができた事で、民俗学に造詣の深いあなたは「熟饌」が神事で神に奉納する食事の事である事も、思い出す事ができるだろう。

(※ここでは群青が人類学&民族学を持っており、『熟饌』についての知識を持ち合わせている事から、情報を一部先渡しする形の処理を行いました)

坂上 群青 : 「なんかの神事みたいだからなぁ。聞きに行ってみるかい?」

納戸 一郎 : 「そうだな、捨てるばっかでこのままだと蔵の中が空になりかねん、価値があるなら捨てずに済むだろう」

坂上 群青 : 「つまりまぁ、こっちの鏡を使う儀式ってことだよねぇ」

坂上 群青 : 「でも鏡で食事って、まるでうつったやつを捧げるみたいでゾッとしないね」

納戸 一郎 : 「食事?」

坂上 群青 : 「しなつひこのかみじゅくせんのぎ」

納戸 一郎 : 「どこが食事なのか、さっぱり」

坂上 群青 : 「神様にお出しする食事、それに関する書と鏡ってことみたいだね」

坂上 群青 : 「だからさ、皿なら分かるんだよ。でもこいつは鏡だろ?」

納戸 一郎 : 「鏡に食事でも映して捧げるのかねぇ」

📢(一郎PL:鏡を見ます。掃除の手伝いに来てるので、手袋とか持参してると思うのでそれをつけてから)

納戸 一郎 : 「よいしょ(手袋をして裏返す)」

GM : 納戸は鏡を手に取り裏返した。なんてことはない普通の鏡だ。長く蔵に仕舞われていたものにしては、少しばかり綺麗過ぎる気もするが。

納戸 一郎 : 「小綺麗な鏡だな?」

坂上 群青 : 「どうも美味しい牛さんですよ、ってか?」

納戸 一郎 : 「割れてもないし、サビも浮いてない。……牛???」

坂上 群青 : 「神様どうぞ、私をお食べ下さいな」

納戸 一郎 : 「おいおい、冗談でもやめてくれよ」

📢(GM:ところで群青さんは今、一郎さんの近くに居ると思うんですけど、鏡面は見ますか?)

📢(群青PL:……いい加減逃れられないと思うので見ます 笑)

📢(GM:シナリオタイトルが「見ると死ぬ鏡」ですからね、PLは警戒しますよね……笑 はい、では処理します)

GM : 群青は、一郎の横から鏡を覗き込んだ。

GM : 綺麗な鏡。一郎はそう言った筈だ。しかし群青の目には、その鏡の鏡面がまるでタールを塗ったように真っ黒であるように見える。

【秘匿】GM →納戸 一郎 : あなたの目には、鏡の鏡面は綺麗なままに見えています。

坂上 群青 : 「……小奇麗って言ったかイチ兄」

納戸 一郎 : 「ん? ああ、磨かなくても大丈夫だろ、俺のヒゲもバッチリ映ってる」

坂上 群青 : 「…………ふぅん」

【秘匿】GM →坂上 群青 : あなたの目に映る鏡の鏡面は、相変わらず真っ黒のままだった。

納戸 一郎 : 「何だよ、気になることでもあるのか?(鏡をひっくり返したり、表を見たり)」

坂上 群青 : 「僕の目に見えるのはくら~いくら~い深淵だ」

納戸 一郎 : 「……なに、怖い話?」

📢(群青PL:これ鏡の裏面はどうなってます?)

📢(GM:あ、情報出してなかった)

GM : 鏡の裏面には、見事な花のレリーフが彫られている。

納戸 一郎 : 「細工もされてるな」

GM : あなた達はそれぞれに、その鏡が工芸品としての意味でも、歴史的な意味でも、価値のあるものである事が分かるだろう。

坂上 群青 : 「ああ、気持ちが悪い。売り払ってしまおうぜ」

納戸 一郎 : 「おいコラ! 持って帰るのも売り払うのもダメだぞ、この家の物なんだからな」

徳造 : 「何をしている!!」

GM : 突然、蔵の入り口から大声が聞こえた。

GM : 怒鳴り声を上げたのは、あなた達にこの蔵の整理を依頼した徳造だった。徳造は大股で蔵の中に足を踏み入れると、納戸の手にある鏡を見て、顔を青ざめさせた。

徳造 : 「馬鹿者!! しまえ!! 早くしまえ!!」

納戸 一郎 : 「えっ!!!!」

坂上 群青 : 「そんな大きな声出さなくたって聞こえますよ」

徳造 : 「一郎!! それを早く元の箱に戻せ!!」

納戸 一郎 : 「あ、はい、ハイ戻しますね」

GM : 一郎が鏡を箱に戻すと、徳造はそれをひったくるように取り上げて、蔵の奥へと戻してしまった。

徳造 : 「…………お前達、見たのか?」

坂上 群青 : 「なんだったんですか、それ。イチ兄は真っ黒で何も見えなかったっておかしなことを言ってましたよ」

納戸 一郎 : 「えっ!!!!!」

坂上 群青 : (足を踏む)

納戸 一郎 : 「お、おい群じょっッッ!!!」

徳造 : 「……鏡を、見たんだな?」

坂上 群青 : 「――イチ兄がね」

納戸 一郎 : 「え、えっ!! ええ、ああ、はい、見ました。片付けてたので」

坂上 群青 : 「それとなんか」

納戸 一郎 : (チラチラ群青を見ている)

坂上 群青 : 「古文書みたいのも読んでましたよ。神様への捧げものの神事がどうとかって」

納戸 一郎 : 「えっつつ!!!???!」

納戸 一郎 : 「おま、おまえまたッ(小声)」

徳造 : 「…………二人とも、今日のところは片付けはもういい」

GM : 徳造は、顔を青くしたまま2人の背を押して、あなた達を蔵から追い出した。

徳造 : 「明日、蒜影神社にいく。今日はもう休みなさい」

坂上 群青 : 「あ~あ、またイチ兄のせいで怒られた」

納戸 一郎 : 「え、片付けまだ……神社に、行くんですか? そんなに大事になるなら、事前に言ってくださいよ」

坂上 群青 : 「そうだそうだー」

徳造 : 「…………あれは、呪いの鏡だ」

坂上 群青 : 「え、じゃあイチ兄が見たっていう黄色いガキも?」

納戸 一郎 : 「(群青をにらんでから)そんなものあるなら、最初にどけといてくださいよ」

徳造 : 「黄色い子供? なんの事だ?」

坂上 群青 : 「……黄色いマントのガキが突然出て来て、鏡の箱を指さしてふわっと煙みたいに消えちまったんですよ。……ってイチ兄が」

徳造 : 「消えた? 暑さにやられて幻でも見たのではないか?」

納戸 一郎 : 「(もう一回睨んでから)呪いの鏡だから、お祓いに行かなきゃって事ですか」

坂上 群青 : 「ははは、イチ兄はもとから頭やられてるからなぁ」

徳造 : 「そうだ。あの鏡を見てしまったのであれば一郎をそのまま帰す訳にはいかない。立ち会ったお前もだ、群青」

坂上 群青 : 「頭蓋をかちわったら中から綿でも出て来、……ぇ、僕も?」

納戸 一郎 : 「群青の話を真に受けないでください。え、帰っちゃダメなんですか」

徳造 : 「当たり前だろう。その場に居たのはお前も同じだ。何か障りがあってからでは遅い」

📢(GM:あ、ちなみにこの時代の長野の田舎に来てるので、お二人とも最初から泊りの予定ではあったと思ってください。そのつもりでたぶん荷物とか持ってきてます)

坂上 群青 : 「まぁそういうことなら風呂と飯と、それからさっさと寝たいもんだねぇ」

坂上 群青 : 「一日中あくせく働いてくたびれちゃったよ」

納戸 一郎 : (遂に群青の耳を引っ張り始める)

徳造 : 「ああ、風呂の用意はできている。とにかく今日はもういい。二人とも早く休みなさい」

納戸 一郎 : 「はぁ……すいません、仕事も途中で。お手間かけます」

坂上 群青 : 「痛い、痛いってイチ兄! 乱暴なのは嫌いだっていつも言ってるだろう?」

納戸 一郎 : 「痛い目を見ないと分からないだろうお前は」

GM : 追い立てられるように母屋に連れて行かれたあなた達は、風呂に入り食事をして、宛がわれた同じ部屋で眠りにつくだろう。

納戸 一郎 : 「ああ、どっこいしょ、疲れた……なぁ群青、黒い鏡ってのを見たのはお前だろう?」

坂上 群青 : 「さて、どうだったか。忘れちまったよ」

納戸 一郎 : 「忘れるな、忘れるな。俺は普通の鏡しか見てないんだからな」

坂上 群青 : 「まぁいいじゃないか。どうせ目を閉じれば誰だって見えるのは真っ暗闇だ」

坂上 群青 : 「君だってそうだろ? くら~いくら~い穴の中に落ちていく。人はそういう生き物だよ」

納戸 一郎 : 「目を開けてても真っ暗だったから問題なんだろう。……あれだぞ、明日は逃げるなよ。ほらお前の仕事に役立ちそうな、きな臭い話だし。俺だけ行っても、何の意味もなさそうだし……」

坂上 群青 : 「はいはい。イチ兄様の言うことには従いますよ」

納戸 一郎 : 「よし、それでいい(よしよし)」

GM : 1d2 (1D2) > 1 
(※単に朝パートをどちらから進行していくか決める為のダイスだったのですが、折角なのでPLに疑心暗鬼になって貰おうと思って何も言わずに表で振りました。1なのでPC1の群青からの進行)

GM : 何やら騒がしい声がする。
耳に届いた田舎には似つかわしくない喧騒に、群青の意識は浮上した。
背中が痛い気がする。身を起こしてすぐに、あなたはその理由に気付く。
そこは、蔵の入り口の前だった。
身体が冷たい。見ればどうしてか、群青の夜着は湿っていた。着物の裾には、泥がついている。

坂上 群青 : 「――づ、……なんだ、え? ここは(蔵の入り口で不思議そうに首をかしげている)」

坂上 群青 : 「……寒い、……おいおい、ちょっと、……」

男の声 : 「名主さんが死んだぞ!!」「池だ!! 針子池に浮いてたそうだ!!」

GM : 遠くから、声が聞こえる。複数の男の声は、口々にそう言いながら遠ざかって行った。

坂上 群青 : 「池、……死んだ、そらちょっと……不味いんじゃないか?」

📢(GM:ではここで、一郎の方に場面転換します)

* * * *

GM : 一郎は割り当てられた部屋で目を覚ました。
田舎の静かな朝……の筈であったが、どうしてか外が騒がしい。スズメの鳴き声に混じって、人の声が沢山聞こえる。
身を起こしたあなたは、違和感に気付くだろう。
昨晩確かに隣で眠った筈の群青の姿が見当たらない。

GM : そして。
あなたの手には、昨日確かに蔵の奥に戻された筈の手鏡が握られていた。

納戸 一郎 : 「ん……おい、群青……、なんか騒がしく……(手を見て顔を上げる)おい、群青、おいッ、まさか外の、鏡探して、とかじゃ!?」

納戸 一郎 : (慌てて飛び起きて、部屋から外の様子を伺うコソコソ)

男の声 : 「徳造さんの遺体はどうなったんだ」「まだ池だ。これから運ぶとこだ、手が空いてるんならお前も来い」

GM : 下宿人達が顔を青くしてそう言いながら、屋敷の外へと出て行くのが見える。

納戸 一郎 : 「徳造さん、が……いや、まずいだろう、群青余計なことしてないだろうな」

📢(一郎PL:蔵にあった筈の鏡を持ってるし、群青が居ないので、手掛かりがありそうな蔵に行ってみます)
📢(GM:はい、では蔵の方で合流しましょう)

納戸 一郎 : (鏡を隠しながら蔵へ向かう)

GM : 一郎はそう言いながら、こっそりと蔵に向かった。

📢(GM:という訳で、ここから場面が蔵の方に移ります)
📢(群青PL:群青は蔵の中じゃなくて前に居るんですか? 蔵は開きます?)
📢(GM:前ですね。特に鍵なんかはないので、入ろうと思えば中に入ることはできます)

坂上 群青 : (参ったなと思いながらひとまず蔵の中に隠れる)

GM : 一郎は蔵の中に入り、そこに群青の姿を見つけた。何故だか着物が濡れ、裾が泥で汚れていることに気付く。

坂上 群青 : 「……いや、無理だ、僕の腕じゃぁあの人を池に運ぶなんてことは、でも、……――」

納戸 一郎 : 「おい、群青、いるんだろう、どこだ(小声)……いた」

坂上 群青 : 「だとしたって、理由がない。ああ、そうだ、動機、……動機だ、…――それ以外は、ああ」

納戸 一郎 : 「おい、群青、おい、コラ!」

坂上 群青 : 「――!!! 違う! 僕じゃない!」

納戸 一郎 : 「シーーーッ、静かにしろ」

坂上 群青 : 「僕じゃない、僕じゃないんだ、イチ兄、本当に違う」

納戸 一郎 : 「……はぁ……、念のため聞くが、徳蔵さんに乱暴されそうになって、とか、殺しの現場を見て口封じされかかった、とかはないな?」

坂上 群青 : 「――…………朝起きたら、蔵の前にいたんだ。何も覚えてない。なにも、なにも」

納戸 一郎 : 「そうか、なら怖かったろうな。……この鏡を持ってきたのも、お前じゃないよな?」

坂上 群青 : 「鏡……? 見せてくれ、……」

納戸 一郎 : (ポケットから出す)

【秘匿】GM →坂上 群青 : あなたが覗き込んだ鏡面は、相変わらず真っ黒に見える。

坂上 群青 : 「黒、黒、黒、……おじさんには、何色に見えてたんだ…?」

【秘匿】GM →納戸 一郎 : あなたの目には、鏡はやはり昨日と変わらず綺麗なままに見える。

納戸 一郎 : 「……キレイなままだ、普通の鏡にしか」

坂上 群青 : 「いや、なんでイチ兄がこれを?」

納戸 一郎 : 「朝起きたら握ってたんだよ。それで、お前はいないし、徳蔵さんは池に浮かんでるって騒ぎになってるし、だ」

納戸 一郎 : 「お前にも何かあったんじゃって焦ったが、まぁ、まずは無事で良かった」

坂上 群青 : 「おじさんはやけに怯えてた。コイツを覗くと死ぬって分かっていたからだ。それなら次に池に浮かぶのはこの僕か……ははは」

GM : 蔵の外からは、相変わらず断片的に人の声が届き続けている。「警察は……」「……が呼びに行ったが、隣町だ……」「まだ暫くは……」

📢(GM:この時代の田舎の事なので、通報手段は基本徒歩です。警察を呼ぼうとしても、来るまでには結構時間が掛かる感じですね)

納戸 一郎 : 「まてまて、何でもそう呪いのせいにするな、徳蔵さんが何で死んだかも、まだなにもわかってないんだぞ。……とりあえず、服を着替えよう」

坂上 群青 : 「神社、ああそうだ、神社だ。そこに行けばなにか……」

坂上 群青 : (三角座りでぶつぶつ言ってる)

📢(一郎PL:群青の着替えを取りに行きつつ、自分達が疑われてる様子がないか探りたいです)
📢(GM:はい、了解しました。じゃあ母屋に下宿人を生やしておきますね)

納戸 一郎 : 「……ここで待ってろよ」

納戸 一郎 : (群青を残して服を取りに行く)

GM : 一郎が母屋に戻ると、下宿人のうちの1人が廊下を足早に歩いているのが見えた。

納戸 一郎 : 「おい、何があったんだ? ずいぶん慌ただしいが」

下宿人 : 「ああ、一郎さん!!大変なんですよ、針子池で徳造さんの遺体が上がって!!」

下宿人 : 「朝に魚釣りに行った村の連中が見つけたそうです。奥様は倒れちまうし、もうどうしたらいいか……」

納戸 一郎 : 「徳蔵さんが? 本当なのか? ……なんでまた針子池なんかに」

下宿人 : 「さぁ、なんでも溺れたみたいだとか……。一郎さんも手が空いてるんなら来てください、取り敢えず遺体をここまで運んでこようって話になってるんです」

📢(GM:という訳で、話していると分かると思うのですが、あなた達を疑っている様子は全然なさそうに見えます)

納戸 一郎 : 「わかった、ちょっと支度する、針小池だな?(そう言って準備をして蔵に戻る)」

📢(GM:では場面を蔵に戻します)

納戸 一郎 : 「着替えろ、群青。外は大騒ぎだが、誰もお前を犯人だなんて思ってないぞ」

坂上 群青 : 「…………(むくっと起き上がる)……分かったよ。君がそういうなら起きるとも(もぞもぞと服を着替える)」

納戸 一郎 : 「着替えたら、針子池に行くぞ……俺は徳蔵さんを引き上げに行く」

坂上 群青 : 「はぁ、それはいいね。おじさんが僕の髪でも握ってたらこっそりむしりとっておいてくれ」

納戸 一郎 : 「冗談でも、そういうこと、言うな」

📢(群青PL:GM、昨日の本って持ち出せますか?)
📢(GM:持って行きたければ普通に持ち出せますよ)

坂上 群青 : (蔵から出る際に書物をひっそりと持ち出して一郎のポケットに詰める)

GM : 少しいつもの調子を取り戻した群青と一郎は、連れ合って池へと向かった。あなた達を見て不審な顔をする者はいないようだ。

◆針子池

GM : 大きな池だ。あなた達も昔、幾度かここで遊んだり魚釣りをしたことがあるだろう。

GM : 池のほとりに到着したあなた達は、筵に乗せられた徳造の遺体を見ることができるだろう。

GM : あなた達が彼の親族である事は、この村の皆が知っている。望むのであれば、辺りを囲む村人達にどいてもらい、じっくり遺体の様子を確認することもできる。

納戸 一郎 : (遺体に近づき、切り傷等ないか、異常がないか確かめる)

納戸 一郎 : 「徳蔵さん、……(じっと故人の様子を見る)」

【秘匿】GM →納戸 一郎 : 遺体を観察したあなたは、徳造の手が何かを握りしめている事に気付いた。
それは根付だった。新しいものではない。そして、見覚えのあるものだ。
あなたはその根付が群青のものである事を知っている。

警察はまだ来ない。あなたが望むのならば、どさくさに紛れてそれを隠してしまう事ができるだろう。

【秘匿】納戸 一郎→GM : そっと隠します。

【秘匿】GM →納戸 一郎 : 了解しました。もし群青さんにそれとなくこの事を知らせたい場合には、それっぽいRPを表で入れてみてください。

📢(群青PL:同じく遺体を見ます)

坂上 群青 : 「…………」

【秘匿】GM →坂上 群青 : 医学と犯罪学の知識のあるあなたには、徳造の死因が溺死である事が分かる。
しかしその首には微かに絞められた痕跡が残っており、気を失っているうちに池に捨てられたのではないかと思うだろう。

納戸 一郎 : 「……本当に、亡くなってるのか」

坂上 群青 : 「不幸なことだねぇ。夏の宵にふらふら誘われて足でも滑らせちまったのか」

納戸 一郎 : 「オイッ……すまない、誰か屋敷まで運ぶのを手伝ってくれ。奥様が、倒れてるんだ」

村人 : 「奥様が。そりゃあこんな事があったんだもんなぁ。ようし、みんなで徳造さんを運ぶぞ!」

【秘匿】GM →坂上 群青 :自分がやったのではないか。朝目覚めた時にそう疑っていたあなたは、ここでもう一つのことに気付くだろう。自身が持っていた筈の根付がないのだ。

【秘匿】GM →坂上 群青 :病弱を自称するあなたは、常に印籠を持ち歩いていた。昨日着替えた時に着物の上に置いた時には、印籠には確かに見慣れた根付がついていた筈だ。

【秘匿】GM →坂上 群青 :しかし、今朝一郎に着物と一緒に持ってきて貰った印籠には、根付がついていなかった。

(※今回「片方にしか分からない情報は秘匿で渡す」という形で回していた為、群青本人にも根付が紛失している情報を渡さないとPL同士の話が噛み合わなくなるという事にここで気付いた為、慌てて群青の方にも秘匿を飛ばしてます。ぐだぐだ気味になってしまって本当に申し訳なかった)

坂上 群青 : 「――ッ、……おじさん、昨日あったのが最後だなんて……(がばっと遺体に縋って肩を震わせる)」

【秘匿】坂上 群青 →GM:ひっそりオジサンが根付を持ってないか探ります。

【秘匿】GM→坂上 群青:笑 持ってはいないようですね。

納戸 一郎 : 「あ、おい、………(じっと群青の様子をよく見る)……このまま、運んでくれ、コイツは連れ添わせるから」

納戸 一郎 : (そういいつつ、自分がほとんど担ぎ上げてしまう)(なので群青がすがった先は見えない、いや見えないようにしている)

村人 : 「あ……ああ。群青さん、そんなに徳造さんの事を慕っていたのか……?」

納戸 一郎 : 「……急ごう」

坂上 群青 : 「なんだよ、僕だって情ってもんがあるさ(拗ねた顔をして離れる)」

GM : あなた達は村人と協力して、徳造の遺体を家に連れて帰ることができるだろう。

納戸 一郎 : (家の者に遺体を引き渡す)

GM : あなた達が針子池から戻ってきてから数時間後、屋敷に警察がやってきた。

GM : 警察が家の者達に聞き込みをしたところ、「徳造が昨晩深酒をしていた」という情報が複数上がった。

GM : あなた達も、徳造がかなりの酒好きである事を知っている。

GM : 酔って池に落ちた、事故死だろう。

GM : どうやらそういう方向で、話は纏まりそうだった。

坂上 群青 : 「――僕は一晩中、イチ兄の隣で眠ってたからね。夜に何があったかは知らないよ」と、もしアリバイを聞かれたら答えただろう。

納戸 一郎 : 「ああ、昨日は蔵の片付けが終わってからずっと一緒だったし、寝てただけだな(と、朝の事を言わない)」

📢(GM:そうですね、警察があなた達の証言を疑う事は特にありませんでした。自由に行動しても見咎められたりはしないでしょう)

坂上 群青 : 「イチ兄、今の時間で神社に行ってみないかい?」

【秘匿】納戸 一郎→GM : 根付って、いま納戸が持っていますか?

【秘匿】GM→ 納戸 一郎: その辺に捨てたりしていなければ、普通に持っています。

納戸 一郎 : 「(頭が痛そうな顔をして)そう、だな……なぁ、これお前のだよな? この根付」

坂上 群青 : 「……違うよ。僕のじゃないって、言っても信じないだろう?」

納戸 一郎 : 「そりゃ見覚えがあるからな」

坂上 群青 : 「ははは、いいね。僕らは共犯だ。仲良くやろうじゃないかイチ兄」

納戸 一郎 : 「まったく、厄介なことになったぞ。だが、乗り切ってしまったから、なお質が悪い」

坂上 群青 : 「で、そいつはどこでくすねたんだい?」

納戸 一郎 : 「それこそ本当に、呪われた鏡のせいなら、マシだ。(ささやく声で)徳造さんの死体が握ってたんだよ」

坂上 群青 : 「ああ、それならこういう事か。昨晩、すっかり寝入った僕を悠々と気絶させたイチ兄は酒に酔ったおじさんを誘い出す。池の側まで連れ出し、首を絞めて気絶させて池に投げ込んだ。そうして僕のことは蔵の前に放り出しておいた、と」

納戸 一郎 : 「……お前の力じゃ無理だ、って言う前に先回りして筋力で俺を犯人に仕立てるんじゃない」

坂上 群青 : 「五分五分だろう? 警察が僕とイチ兄とどっちを信じるかってのは。確かなのはおじさんが首を絞められて池に放り込まれた、他殺だってところだ」

納戸 一郎 : 「絞殺だってのは初耳だな」

坂上 群青 : 「首にかすかに跡が残ってた。まぁいいさ。それはともかくも、呪いが二本足の生えた人間ってならいいけどね。違うってなら神主の話を聞きに行った方がいいんじゃないかい?」

納戸 一郎 : 「お前が犯人なら、蔵前で倒れてるのはお粗末すぎる。蔵から鏡を出したのに、わざわざ蔵前に戻って倒れるのも意味がわからないしな」

納戸 一郎 : 「まぁ、お祓いには行きたい気分だな、心底。仏さんを背負ったわけだし……」

坂上 群青 : 「お粗末な犯罪ならイチ兄のがお似合いだな」

納戸 一郎 : 「……俺ならもっとうまくやるさ。知られてない殺し方なんて、いくらでもあるからな」

坂上 群青 : 「……――おまわりさ~ん!」

納戸 一郎 : (ガッと口を押さえて止める)

📢(GM:おまわりさん生やしましょうか? 笑)
📢(一郎PL:いらないです 笑)

納戸 一郎 : 「神社行くぞ、神社」

坂上 群青 : 「――(もごもご)」

◆蒜影神社

GM : あなた達は、蒜影神社に向かった。蒜影神社は、V字に並んだ鳥居が印象的な村の神社。志那都比古神を祀っている。
志那都比古神は五穀豊穣の神である。

GM : 鳥居の奥では、宮司が掃き掃除をしているのが見えた。

納戸 一郎 : 「……群青、声かけてくれ」

坂上 群青 : 「はいはい。……――(鳥居の前で丁寧に一礼してから社に入っていく)……どうも、こんにちは」

納戸 一郎 : (真似をして後をついていく)

宮司 : 「こんにちは。……ああ、名主さんのとこの」

宮司 : 「……災難でしたねぇ。片付けの手伝いに来てたんでしょう」

坂上 群青 : 「ご無沙汰しております。坂上家の群青です」

納戸 一郎 : 「どうも、納戸の一郎です」

宮司 : 「それでどうしてこんなところに。名主さんのところ、今は大変でしょうに」

坂上 群青 : 「ええ、こんな時に大変恐縮なのですが、少々込み入ったお話がありまして、お時間頂戴してもよろしいでしょうか?」

納戸 一郎 : (後ろで切り出せずそわそわしている)

宮司 : 「込み入ったお話ですか。……まぁ、名主さんのとこのお二人です。断る訳にもいきますまい」

坂上 群青 : 「志那都比古神熟饌儀の件で、……」

宮司 : 「おや、どこでその神事の名を?」

坂上 群青 : 「蔵の整理を任された時に、偶然にあるものを発見いたしました。叔父が亡くなったのはその直後でしたので、どうしても気になってしまったのです」

宮司 : 「あるもの、とは?」

納戸 一郎 : (うまいこと言うな、と思ってる)

坂上 群青 : 「――箱です。叔父はそれを見て大層青ざめていました。そして、すぐにでも神社に行く必要があると…」

宮司 : 「箱……? 箱ですか?」

宮司 : 「箱に何か書いてあった、と?」

坂上 群青 : 「そうです。叔父はあなたを尋ねれば分かるとおっしゃっていたのですが、何もご存じないのでしょうか? 私はとても不安なのです。叔父はあの箱を見て障りがあると、そう言って怯えておりました。よもや、叔父の死は、そう思うと不安で仕方ないのです」

宮司 : 「箱……箱に障り、ですか? すみません、何の事やらさっぱり……」

坂上 群青 : 「では恐らく箱の中身に何かがあるのでしょうか。それが志那都比古神熟饌儀に関わると伺っているのですが」

 宮司 : 「志那都比古神熟饌儀に関わる……ああ、ならば鏡でしょうか」

宮司 : 「ですがあれは、別に呪いの儀式などではないのですが……」

坂上 群青 : 「それは一体どんな神事なのでしょうか? 叔父は触りがあると大層怯え、青ざめ震えておりました」

宮司 : 「はぁ。そうですな。ではお話しましょう。志那都比古神熟饌儀は昔、山向こうにあった蒜影村で行われていた神事です」

宮司 : 「この神社と名が同じでしょう。ここは元々、山向こうの村にあった蒜影神社の分社でしてな」

宮司 : 「儀式の内容はこうです。飢饉になった際に身熟饌(しんじゅくせん)を奉納する。3回『身熟饌』を奉納した後、針鏡を池に浸す。そうすると池は輝き、繁栄と長寿が約束される」

宮司 :「鏡はですな、確か蒜影村が廃村になった折りに、名主さんが引き取ってきたものですよ」

坂上 群青 : 「――針子池と鏡とになにか因果関係があるのでしょうか?」

宮司 : 「ああ、その儀式で鏡を浸す池というのが針子池です」

宮司 : 「まぁ、とうに廃れた儀式ですが」

坂上 群青 : 「身熟饌、というのは?」

宮司 : 「熟饌というのは、神に奉納する食事の事なのですが……」

 宮司 : 「先程も言った通り、儀式を行っていた方の蒜影神社は既になく、私も儀式の詳細は知らんのです」

宮司 : 「分社の宮司として、ただそういうものがあった、と聞いているだけです。ですので神事に使う鏡もこの神社に奉納されることなく、名主さんが引き取られた」

坂上 群青 : 「儀式について書かれた書物が箱の中にあったそうなのですが、宮司様はそれを読み解くことは出来ますでしょうか?」

宮司 : 「はぁ、どんなものか見てみなければ分かりませんが。その本は今お持ちで?」

納戸 一郎 : (群青をちらっ)

坂上 群青 : 「ええ、イチ兄様が、叔父上の身の上が心配だと言って、持ってくると聞かなかったもので」

納戸 一郎 : 「……あの、この本なんですが(和綴じ本を出してくる)」

宮司 : 「ふむ。では失礼して……」(本を受け取って捲る)

宮司 : 「……確かに儀式について書かれた本のようです。しかし、先程私がご説明した以上の事は書かれていませんな」

【秘匿】GM→ 納戸 一郎: 心理学を持つあなたは、宮司の言葉に嘘はない事が分かるだろう。

坂上 群青 : 「なるほど。ありがとうございます。因みに、以前この神事が行われたのはいつであるかご存じですか?」

宮司 : 「さぁ……詳しくは。ただ、結構な昔の事であると、そう聞いています」

宮司 : 「ですからまぁ、そんなに心配する必要はないと思いますよ。名主さんが何を言っていたかは分かりませんが、そう縁起の悪いものでは――――」

GM : 赤。穏やかな顔をしていた宮司の口元から、不意に赤が溢れる。

GM : 血の匂いだ。あなた達がそう気付いたのと同時、宮司はその場に倒れ込む。

坂上 群青 : 「そうでしたか。ありがとうございます。……イチ兄様、ほかに何かあり、……」

納戸 一郎 : 「……なっ」

宮司 : 「なにをする!!やめろ!!やめろ!!」

GM : 宮司は滅茶苦茶に腕を振り回す。まるで見えない何かに襲われているかのように。

GM : 玉砂利が、ぐにゃりと渦を巻き始める。

GM : 非現実的な光景。目の前で起こった異常に立ちすくむあなた達の口の中に、焦げたような、饐えたような、甘い匂いが広がった。

GM : 先程まで暴れ狂っていた宮司が、不意にあなた達の方をまっすぐに見た。

宮司 : 「――呪いなんて、ないですよ」

GM : 赤く染まった宮司の唇がそう言って笑みを浮かべたのを見た瞬間、あなた達の意識はふっと途切れた。

* * * *

GM : 1d2 (1D2) > 1 
(※朝パートの進行順番決定の為のダイス。相変わらず特に説明せずに振っているので、PLに程よく疑心暗鬼になって頂けて楽しかった。PL1の群青から開始)

GM : 不意に目が覚めた。
記憶が混乱している。あなたは神社に居た筈だった。そこで何か、恐ろしいものを見た筈だ。

GM : どうしてか、後頭部が酷く痛んだ。頭を抱えながら身を起こした群青は、そこが蔵の中である事に気が付いた。

GM : 腕には擦り傷があり、足は泥だらけになっていた。服はすっかり濡れており、池の臭いがする。見れば、蔵の床には水溜まりができていて――そして、あなたは手に鏡を持っていた。

子供 : 「呪いを解きたいの? だったら、鏡を池に入れて、清めるといいよ」

GM : 不意に、そう声が聞こえた。
黄色い雨合羽の子供。あなたの視界に映った子供の姿がぐにゃりと歪み、あなたの顔になった。
床にできた水溜まりに、酷く憔悴したあなた自身の顔が映っている。見間違い、だったのだろうか。

坂上 群青 : 「おい、待て、……勘弁してくれ、……」

坂上 群青 : 「鏡は、黒いまま、……池に、……けど、それじゃあ供物が、」

坂上 群青 : 「……い、…イチ兄、……?」

GM : 蔵の中には、あなた以外の姿はなかった。

坂上 群青 : 「呪い、僕だけ呪われているのか、なら、鏡を、池に、……?」

【秘匿】GM→ 坂上 群青 : 少し医学の知識を持つあなたは、先程痛む後頭部に触れた際、それがただの頭痛ではない事に気付いた。

【秘匿】GM→ 坂上 群青 : あなたの頭には、こぶができていた。まるで何かにぶつけたかのように。

坂上 群青 : 「ッ、……痛、…――とにかく、外に」

📢(GM:では一旦ここで一郎の方に場面を移します)

* * *

GM : 一郎は、身に覚えのない激しい筋肉痛とともに布団で目を覚ました。
記憶が混乱している。あなたは神社に居た筈だった。いつの間に戻ってきたのだろう。どうして布団で寝ていたのだろう。

GM : 外が騒がしい。村人たちが口々に「宮司が針子池に浮かんでいるぞ!!」と話しているのが聞こえてくる。
あなたは昨日の事を思い出し、真っ先に隣を見た。
群青は居ない。酷く身体が軋む。腕が痛い。

納戸 一郎 : 「……、なん、なんだ……おい嘘だろ」

納戸 一郎 : (自分の体を見る)

GM : あなたは自分の身体を見た。いつの間に着替えたのだろう。昨日とは別の服を着ていた。

納戸 一郎 : 「記憶が、ない、群青も、いない。昨日と同じだ、また人が死んだ。いや、目の前で襲われたのに、どうして俺は戻ってるんだ」

GM : あなたは全身をひとつひとつ見回していく。両足、胴体。

GM : 最後にあなたは腕を見た。そして思わず息を呑むだろう。悲鳴を上げるかもしれない。
あなたの目には、昨日までは普通だった筈の自身の腕が、肩口まで青白く変色しているように見えた。
まるで血の通わない、死体のような色だった。

納戸 一郎 : 「……ッ、なん、だこれ、腕がッ」

納戸 一郎 : 「……群青は、蔵か、また……(服を用意する)」

納戸 一郎 : (こそこそ蔵へ向かう)

📢(GM:はい、では場面を蔵に移します)

GM : 群青が外の様子を伺っていると、誰かが蔵に向かって近付いてくる気配がした。

坂上 群青 : (慌てて物陰に隠れる)

納戸 一郎 : (蔵に入ってくる)

GM : 一郎は蔵の中を見回すと、何故か床の一部に水溜まりができている事に気付いた。

納戸 一郎 : 「水たまり?濡れてる……(覗き込む)」

📢(群青PL:因みにこれ、私の方から見た一郎の腕ってどうなってますか?)
📢(GM:えーと……そうですね……)

【秘匿】GM→ 坂上 群青 :あなたが物陰からそっと様子を伺うと、一郎が蔵の中に入ってくる姿が見えた。ひどい姿の自身とは対照的に、一郎は身綺麗な様子だった。
(※狂気の深度が同一でも幻覚はあくまでも個々が見ているものである、という判断から、ここでは群青には腕の異常は見えていないものとして処理しているのですが、GMもこれで正しかったのか正直今一つ自信がないです)

坂上 群青 : 「……イチ兄?」

納戸 一郎 : 「群青、無事だったか?」

納戸 一郎 : (群青の様子をよく確認する)

GM : よく確認するまでもなく分かる事だが、群青は濡れている上に足が泥だらけになっている。

納戸 一郎 : 「おま、はぁ、怪我は?」

坂上 群青 : 「君はなぜそんなにぴんぴんしてるんだよ」

納戸 一郎 : 「してるように見えるか? この腕が痛くて仕方ないんだが(袖をまくって腕を見せる)」

納戸 一郎 : 「あと、全身ぎしぎし軋む、そんな運動した覚えもないのに」

【秘匿】GM→ 坂上 群青 : いつもと変わらない腕だな、と思う。

坂上 群青 : 「――はぁ、別に君の腕なんて見慣れてるから見せつけてくれるなよ。まったく筋肉痛ごときで騒ぐなんてのんきな男だな」

納戸 一郎 : 「……これが筋肉痛に見えるか? 血の気がないだろう……。 ほら、濡れてるだろうと思って、服持ってきた。泥を落として、着替えておけ。……昨日の宮司さん、池に浮かんでるそうだ」

坂上 群青 : 「血の気?(首をかしげる)ああ、服は有難くいただくよ。……なぁイチ兄、あの宮司さん、昨日、……――」

納戸 一郎 : 「……宮司が『呪いなんてない』って言ったところまでしか、俺は覚えてないぞ」

納戸 一郎 : 「お前も、どっか痛いところないか、着替えるついでに見てやる」

坂上 群青 : 「あと一人か、……いや大丈夫だよ。もうガキじゃあないんだ。自分で着替えるさ」

納戸 一郎 : 「大丈夫か? 本当に? 着替えたら池にいくぞ」

納戸 一郎 : (右腕をぐっぱして、確認している)

GM : 群青が着替えを済ませた後、あなた達は針子池に向かった。

GM : 宮司の死体が浮かんでいる。そう聞こえた筈だが、あなた達が池に辿り着いた時、辺りに人の気配はないようだった。
(※結構時間が押していた事と、ここにNPCが居るとクライマックスの処理がちょっと大変そうだったので、先手を打って退場して貰いました)

納戸 一郎 : 「…………どう言うことだ」

坂上 群青 : 「ぁー、これでイチ兄が僕を池に沈めれば万事解決って事かねぇ」

納戸 一郎 : 「そんな解決があってたまるか、おかしい、……」

坂上 群青 : (鏡を手に持ったままじっと池を見つめている)

納戸 一郎 : 「……群青、お前は外の連中が騒いでるの聞こえたよな?」

【秘匿】GM→ 坂上 群青 : 蔵の外の様子を伺った際に、村人の声は聞こえています。

【秘匿】GM→ 坂上 群青 :宮司が池に浮かんでいると話す村人の声は、あなたにも聞こえていました。

坂上 群青 : 「そうだね、聞こえたよ」

【秘匿】納戸 一郎→GM : 心理学で、群青の発言を疑えますか?

【秘匿】GM →納戸 一郎: 言葉に嘘はないようです。

GM : あなた達がそう話していると、辺りに突然深い霧が立ち込めてきた。

【秘匿】GM →納戸 一郎: あなたは突然、酷い吐き気に襲われます。

納戸 一郎 : 「………ッ、~~ッ!?」

GM : 不意に、一郎がその場に膝をついた。

坂上 群青 : 「イチ兄…!?」

納戸 一郎 : 「うぇっ、ゲッ、ぅ」

GM : 群青は、がほがほと激しく咳き込んだ一郎の口からありえないものが出てくるのを見る。

GM : 腕だ。

GM : 黄色い袖。子供の手。目の前の光景は、どう考えてもおかしい。

GM : おかしい、筈なのに。

GM : 一郎の口から、黄色い合羽を着た子供が、ずるりと這い出してくる。

子供 : 「最後は、どっち?」

坂上 群青 : 「……――、……!!(後ずさる)」

納戸 一郎 : 「げっ、ごぇ、おッ…………」

GM : 子供はそう言って、あなたたちを見つめた。

📢(GM:さて、という訳で、お二人にはこれから行う行動を選択して頂きます)
📢(一郎PL:これ、1ターンでできることですよね)
📢(GM:そうですね。複数の行動は取れないです)
📢(群青PL:他にできる事もなさそうなので、鏡を池につけに走ります)
📢(一郎PL:それなら追いかけますかね。でも今、私のPC蹲ってるんですよね。追いつけないかな……)
📢(GM:はい。では行動が決定したところで描写を進めていきます)

GM : 群青は池に向かって走り出した。黄色い子供はあなたを見ている。追ってくる気配はない。

GM : 立ち上がった一郎が追いかけてくる。普段であれば追い付かれるであろうが、先程彼は子供を一人吐き出したばかりだ。

GM : 誰にも止められる事なく、群青は池の水に鏡をつけた。

GM : ぱしゃん。そう音がした瞬間、一郎は空にありえないものを見た。

GM : 天女だ。

GM : 羽衣を纏った美しい天女たちが、こちらに近付いてくるのが見える。

【秘匿】GM→ 坂上 群青 : 群青は空を見上げた。――ありえない。そう思うのに。

【秘匿】GM→ 坂上 群青 : 空に天女の姿が見える。神々しい姿。

【秘匿】GM→ 坂上 群青 : しかし、あなたは気付いてしまう。

【秘匿】GM→ 坂上 群青 : ――――違う。

【秘匿】GM→ 坂上 群青 : 先程は美しい天女のように見えた筈のもの。それは無数の禍々しい触手だった。

【秘匿】GM→ 坂上 群青 : それは霧を割り、まるであなたたちを捕えようとするようにこちらに迫ってくる。

坂上 群青 : 「――な、…――ッ…(驚愕の表情で、尻もちをつく)」

納戸 一郎 : 「なん、……なんだ……」

坂上 群青 : 「イチ兄、……逃げろ、…はやく!!!」

納戸 一郎 : 「逃げ、逃げるなら、お前が」

納戸 一郎 : (群青が動けないなら、逃げずにまっすぐ助けに向かおうとします)

坂上 群青 : 「全部、全部こいつらがやったんだ! オジサンを絞め殺して、それで池に引きずり込んで、贄が、あと一人、駄目だ、逃げないと……!」

【秘匿】GM →納戸 一郎:あなたの目には、美しい天女が見えています。群青の異様なまでの怯え様を、少し不思議に思うかもしれません。

坂上 群青 : (もつれる足で必死に立ち上がって一郎の方へ走り出す)

納戸 一郎 : 「天女、だろうが、おかしいだろ、何なんだよ」

坂上 群青 : 「ちがう! ちがう! 天女なんかじゃ……」

GM : 群青は、一郎の方へと必死に駆け戻る。

納戸 一郎 : (駆け寄ってくる群青の手を取って逃げようとする)

GM : 天女なんかじゃ。そう告げられて見返したところで、一郎の目に映るのは羽衣を纏った天女の姿だった。

📢(GM:ではもう一度ここで行動を選択して頂きます。ちなみにこの先、このシナリオ初の判定が入ります。何の技能を使うかは行動次第になります)
📢(群青PL:走って逃げ……るしかなくない? 逃げます)
📢(一郎PL:同じく!!)
📢(GM:はい、ではお二人とも走って逃げるという事で。敏捷で判定をお願いします)

坂上 群青 : 2d6 (2D6) > 2,1 失敗

納戸 一郎 : 2d6 (2D6) > 4,6 成功

📢(群青PL:あっ)
📢(GM:あっ……)
📢(一郎PL:GM、一郎は群青と手を繋いで走ってます。引っ張って行けませんか!)
📢(GM:なるほど、そうですね……では)

GM : 二人は手を取り合って池から逃げ出した。不意に群青が何かに躓く。手を繋いでいた一郎はそれに気付くだろう。

納戸 一郎 : 「ッ、走れっ、そのまま!」

GM : あなたはきっと群青を見捨てないだろう。その腕で、なんとしても群青を引きずって行こうとするだろう。

📢(GM:という訳で、一郎が群青を引っ張って逃げられたかどうか、筋力で判定してみましょうか)

坂上 群青 : 「イチ兄、……!!!」

納戸 一郎 : 2d6 (2D6) > 6,5 成功

📢(GM:おお、出目が高い。いいですね、それでは)

GM : 一郎は必死に群青の腕を引いた。バランスを崩しながらも、群青は一郎に引きずられるようにして走り続ける事ができる。

GM : 前を向く一郎の目には、それは見えなかった。

GM : 故にその光景を目にしたのは、群青だけだった。

GM : 池の方からあなた達に伸ばされていた触手が、やがて諦めたように引いてゆく。

GM : 霧が消えた。

GM : そのことに気付いたあなた達が池の方へと振り返った時、そこは普段と変わらぬ静寂を取り戻していた。

GM : まるで先程の奇妙な光景が、夢か幻であったかのように。

納戸 一郎 : 「はぁっ、はぁ……い、いない……?」

坂上 群青 : 「――……、…ああ、諦めて、戻ったみたい、だな」

納戸 一郎 : 「何に追いかけられて、たんだ、人影にしか、見えなかった、が」

坂上 群青 : 「は、はは、見えなかったのか? なら、きっと、そのままのが幸せだよ」

納戸 一郎 : 「……俺の口から、何か子供出てたのは、見た、よな?」

坂上 群青 : 「ああ、次に出産する時はちょっと考えなおせよ」

納戸 一郎 : 「産まない、まだ吐き気、収まってないんだぞ(そう言いながら自分の体を確認する)」

GM : そんな話をしながら、二人は屋敷へと戻って行った。

GM : おかしな出来事。2人の人間の死。散々な数日間を経て、あなた達は日常へと戻るだろう。――時折妙な夢を見たり、あり得ざる光景を幻視する事は、あるかもしれないけれど。

GM : そしてその年、あなた達は風の噂にこんな事を耳にした。

GM : 遠退村は今年、原因の説明がつかない程の異常な豊作に恵まれたそうだ。

 
 『見ると死ぬ鏡』 了

 

雑感などいろいろ

 今回はGMもPLも全員初見、完全に手探りの状態からセッションを行ったのですが、事前にこれをやっておいてよかったなと特に思ったのは『舞台となった時代の文化レベルについての情報の共有』『Kutuluのシステムの特徴を改めて説明しておくこと』でした。

 前者についてはキャラクター作成の前段階でPLのきゅーびさんが自ら真っ先に調べて下さってとても助けられたのですが、kutuluのシステムそのものが1920~30年代を舞台としており、現在公開されているシナリオも必然的にこの設定に沿ったものが多い為、この時代にあるもの、ないもの、特に移動手段や通信手段についての事情をGM、PL間で事前に共有しておくと、諸々スムーズに進行できるのではないかなと感じました。
(今回遊んだシナリオを例にとると、『この時代、長野の村に警察が来るまでには結構な時間が掛かります』みたいな部分をすんなり飲み込んで貰いやすい、みたいな話)

 後者については、初めに述べた通り個人的にkutuluのシステムの一番の魅力は『PCが恐怖小説の中にそのまま放り込まれたかのような体験のできる事』だと思っているのですが、放り込まれる先が『冒険小説ではなく、ホラー小説の中である』という認識はセッションの予定を立てるより前に、しっかり共有しておいた方が安心かなと思います。(PLがダイスを沢山振って行動の成否を決める他システムに慣れている場合なんかは特に)


 個人的な反省としては、もう少し事前準備をしっかりして、狂気描写を練りこんでおけば良かったなという気持ちです。
 シナリオ購入済みの方はお気付きになられたと思うのですが、最後に池を光らせるの忘れてたりします。
(セッションログだけ読むと割とスムーズに見えますが、実際は結構色々もたついて申し訳なかったので、本当にこの辺りは要改善)

 自身が信用できない語り手となるシステムはGMをやっていてとても楽しい経験だったので、機会があればまた遊んでみたいです。

最後に

 今回一緒に遊んで下さったPLのお二人が今回のセッションについて感想を書いて下さったので、最後にご紹介させて下さい。
 それぞれkutuluというシステムを初めて遊んでみての感想/今回のシナリオのアフタープレイを経ての感想と、切り口が違って面白いので是非。
(きゅーびさんの感想にはリプ欄に続きが、萩原さんの感想はふせったーに主な記述がある為、それぞれ直接ツイートに飛んで確認頂けると幸いです。

PC1:坂上 群青/PL:きゅーびさん

PC2:納戸 一郎/PL:萩原さん


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