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3代目の闘い②〜決意〜

2009年3月13日(金) 

2代目社長である父が急逝した



仕入先メーカーに勤務していた私は、
信じられない想いで神戸から長岡に戻った


父の遺体を前にした時、
何とも言えない無力感と絶望感が私を襲った


悲しみに暮れるまもなく、
事業承継の問題が立ちはだかる

時の役員に社長就任を打診されたが、
当然のことながら即答などできない

なんせ28歳だ

ようやく仕事を覚え、歩き出したばかりの頃だ

しかも時はリーマンショックの真っ只中で、
社は毎月赤字を垂れ流している・・・

渦中の栗を拾う度胸などなく、母をはじめとする親族も私の就任に反対した


そもそも私は、幼少の頃からこうした家に生を受けながらも自身の経営者としての素質に疑問を感じていた



商才も無ければ、天賦のリーダーシップも無い

そもそも私にそんな才覚は無かったのだ



そうなるようにできていたのだ


祖父や父にはわるいが、ここで歴史を閉じることになる・・・

そう想うと気持ちは軽くなった

今思えばとんでもない話だが・・・


父の葬儀は親族だけの密葬で執り行われた

そんな不埒な思いで、葬儀会場を出た私の視界にある光景が広がった

社員が整然と立ち並んでいる 

その一糸乱れぬ様に、
祖父や父が築いてきた「歴史」を感じた

瞬間 私に電撃のようなものが走った

「守らねばならない」

もうこれは

できるとかできないとか

向いてるとか向いていないとか

好きとか嫌いとか

そんな次元の話では無いのだ

「命に替えてもやり抜かねばならぬ」

「失敗は即ち死を意味する」

私は決意した

経験なければ才覚も無い

しかし、全てを投げうれば、事は動くだろう

私の闘いは始まった





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