ビタミンDについて


牧野です。

ビタミンDは日本人の70〜90%が不足・欠乏しています。
特に50歳以上の女性では90%のかたが不足していると報告されています。
年齢とともに骨格筋のビタミンD受容体数が少なくなり、
若い時のようにビタミンをからだのなかに取り込みにくくなります。
それゆえ、どんどん不足・欠乏が増悪してしまいます。
老齢マウスにビタミンDを補充するとヒラメ筋が回復するという報告もあり★、
正常な筋肉の働きを維持し、転倒防止に役立つことが知られています。
(同時にタンパク質の摂取も必要です)
不足は筋肉だけへの影響でなく、
連動的にカルシウムを低下させ、骨にも悪影響を与えてしまいます。
骨折を防止するに大切なビタミンといわれている所以です。
実はわかい人だからこそ、より必要であることをご存じでしょうか?
骨量のピークが約20歳といわれますので、骨貯金のために、
思春期のみなさんにぜひ積極的にとりいれていただきたいのです。
妊婦さんも、胎児の骨のためにもとても大切ですので、カルシウムと一緒に
とりいれてみましょう。

ビタミンDについては骨や筋肉以外でも多くの研究があり、
以下のものが報告されています。

① 免疫力調整作用(感染しにくい働き)
② がん、感染症などの予防
③ 動脈硬化、心臓病の予防
④ うつ病や社会的不安障害予防
⑤ 認知予防
⑥ アンチエイジング

個人的には、
ホモシステインという悪玉アミノ酸に作用することに興味があり、
アンチエイジングに注目しています。

「食べもの」と「皮膚」で合成されるビタミンDは、
「食べ物」では単独ではなく、カルシウムといっしょにとることが大切です。
皮膚からは紫外線をとおして合成されるため、美白を気にされるかたは
血液中のビタミン不足があるかもしれません。
日光浴は1日15分を推奨されているようですが、
日焼け止めをしていると効果はありません。
また、住む場所(北海道と沖縄)や冬と夏では合成量が異なります。
夏は2〜3分くらいでもよいともいわれています。
私は日焼けやしみなどを無頓着に過ごしてきましたので、
学生時代は前と後ろの区別がつかないくらい日焼けで真っ黒でした。
おかげさまで骨貯金(骨密度)はいまのところ大丈夫ですが、
みなさんは、美容と健康のバランスでよいビタミンDを摂取してください。

女性予防医学チームでは、
「まず自分のからだを知る」ことをひとつのテーマにしております。
ビタミンD(25(OH)D)の検査の希望があれば、
婦人科外来・健康管理室でご相談ください。

★文献
 中岡加奈絵ら 日本栄養・食糧学会誌 第72巻 2019

★参考資料★

一般社団法人日本内分泌学会, 一般社団法人日本 骨代謝学会, 厚生労働省難治性疾患克服研究事業 ホルモン受容機構異常に関する調査研究班 : ビ タミンD不足・欠乏の判定指針. 日本内分泌学会 雑誌. 93: 1-10, 2017

参考:公益財団法人 骨粗鬆症財団